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寝とられ男の足掻きと挽歌  作者: ピョン太郎
18/24

婚約

翌日、俺は聖竜騎士団の団長にリュークに特別任務につかせるよう要請した。

俺の補佐という名目だ。


リュークには王宮の兵舎の近くにある花畑で待つように言付けて貰った。

余談だが、この花畑、見るだけならとてものどかなものであるが、実際には麻薬の原料だ。戦時にはここの花からとれる成分を用いて痛み止めや、白ポーションに混ぜて恐怖心の抑制につかっている。

なので、長年兵士や騎士、冒険者をしている連中には麻薬中毒者も多い。

職業病という奴だ。


「よう、顔は大丈夫か?」

「ふぁっ、ひょうはらほほひふほへわひはひはふ!」

何言ってるかわからんので高級ポーションをぶっかける。痛みをごまかさなくとも傷がすぐに治るので麻薬成分は入っていない、上物だ。目玉が飛び出るほど高いが、俺には王宮からタダで支給されているので惜しくはない。

「はっ、今日からよろしくお願いします」

「ああ、よろしく頼む。昨日はすまなかったな、娘から誤解だと聞いた」

「いえ、滅相もありません。」

「ところで、今日どこへ行くかしっているか?」

「いえ、聞いておりません」

「龍退治だ。」



龍 古より生きる歴史の証人であり、強靭な肉体と無尽蔵の魔力を持ち、その知能は人間よりも高く神にさえ近いと言われる。

また、龍の血肉には神秘的な力が宿っているといわれ、それを体に取り込む事で飛躍的な身体能力の向上を得る事が出来る。



「む、無理です、龍など自分の手には負えません」

「大丈夫だ、俺がついてる」

俺は全く目が笑っていない笑顔を向けてやる。


逃がさん



この国の東端、山脈のふもとの村近くに最近龍が現れたという報せがあったという。


俺は空間に時空の歪みを発生させそこにリュークを放り込む、次いで自分も入る。

「ゆ、勇者様は空間魔法も使えるのですか?」

「まあな」

伝説の武器を探しているときに見つけた指輪に秘められていた魔法だ。いったことのある場所なら大体の場所には行ける


「こ、ここはどこなのですか?」

「ここは国で一番東にある村だ、ちょっと待ってろ。」

ここへは魔王軍の四天王だか五天王だかを倒しに来た時に立ち寄った。

俺は見知った顔を探す

と、この村の村長がやってきた

「おお、勇者様、この度は勇者様直々に悪龍退治をなさって頂けますので?」

「ああ、そう大型のものでは無いと聞いている。この若い奴の鍛練も兼ねてな」

「それは、かたじけのうございます。只今案内の者を寄越しますので」

「いや、気遣い無用だ。大体の場所さえ教えて貰えれば後はこちらで何とかいたそう」

俺はそう告げ、粗方の場所を聞いた後、リュークを引き摺るように探索を開始する。

探索も訓練の内だ。

道中現れる魔物共との戦闘は全てリュークに任せる。

そういえば、リュークの事を調べている内にわかった事だが、リュークはカトレアにりゅうくんと呼ばれているらしい。まじ死ねばいいのに。

そんな事を考えつつ、リュークの戦闘を見ているが、全く危なげなく魔物を撃退していく。ちっ

そして龍がねぐらにしているという洞窟までやって来た。

奥の方に白い巨体が見える。

エンシェントドラゴンの白龍種のようだ。


「勇者様、龍の相手は勇者様がなさられるんですよね?」

震える声で尋ねてくるリューク

何言ってるんだりゅうくん、それでは君の訓練にならないだろう。

確かに龍の血肉を得るだけなら俺一人で戦った方がいいだろう。

しかし、それでは実践的なスキルや状況判断力及び根性や、しぶとさといった精神的なものは伸びない。

これは俺の持論だが、苦労せずに手に入れた物には執着心が沸かない。

一般的に執着心といえば悪い事のように思われるが、それは臥薪嘗胆の故事にある様に、全くもって違う事もある。

時によりけりだが、それは物を大切にする事であったり、伝統を語り継いでいくという事にも繋がる。

リュークがその力を慢心しないように、そしてカトレアの事を長く、長く大切にするよう、今死ぬほど苦労させておかなければならない。


そう思い洞窟内に蹴り出してあげる。

大丈夫だ、危なくなれば俺が助けてやると言ってやる。マジ俺優しい。

まぁ、5分程で殺されそうになり、リュークの襟首を掴んで退散したんだが。


それから半年の間、リュークにその龍と戦わせ続けた。

そして洞窟に挑む事172回目、ようやくリュークが白龍を追い詰める事に成功した。

すると白龍の後ろから一際小さな白龍の幼体が出てきて、巨大な白龍を守るよう立ち塞がる。

リュークが目を白黒させている。

その時初めて白龍が語りかけてきた。

「人間よ、私は戦いに負け、敗れた。だから私はどうなっても構わない。しかしこの子はまだ幼い。まだ自分の力も上手く操ることも出来ない。どうかこの子は見逃してもらえないだろうか?」

リュークが

「わかった」

と頷き、白龍に手をかける




所で、

「ちょっと待て!」

おれが全力で走り寄り、リュークの後頭部を押さえつける

「その前に聞きたいことがある」

「貴様は……勇者か」

「そうだ。」

「何だ、言ってみろ」

「龍は誇り高く、人と交わる事を嫌うと聞く。何故この様な人里に下りてきたのか教えてくれないか?」

「…………ここより東に行った所に山脈がある。その山脈の頂き、人の力では辿り着けぬ場所に我らの里があった。数ヶ月前、地の底より魔物が出でて、里は壊滅、我はまだ幼き娘を連れ逃げていたが、娘は幼く長く飛ぶことは出来ぬ。ここでしばらく体力を蓄えるつもりであったがうぬらに見つかったという訳よ」

「では、その里とやらを解放すればここから立ち去るのか?」

「いや、もう里は障気が立ち込め住めぬ。」

「そうか……龍よ、あんたは人を襲わないか?」

「手を出されぬ限りは襲わないと誓おう」

「わかった」

さすがに子連れの母親には手をかけられない。因みにこいつは雌だ。雄より一回り小さく髭も鬣も短い。

俺はリュークを引っ張り洞窟から出ていく。

リュークが俺の半年間の成果が……努力の結晶が……とかぶつぶつ言っているが気にしない

何故なら半年の成果はもう実っている

リュークは半年龍と戦い続ける事により、全身にその血を浴びている。それは少量ずつであるが体に蓄積し、身体は大幅に作り替えられている。

もうすでに英雄、ドラゴンスレイヤーの身体だ。



俺は半年間、付きっきりで育て上げたリュークの力を確信しながら王都に戻った。

王都に戻ると何かパレードをしている。

何事かと思い、俺はパレードの先頭を見るとカトレアとどこぞの若造が幸せそうに手を繋ぎ馬車に乗っているではないか。

あっ、若造がカトレアにキスした。

あっリュークのアゴがはずれた。

俺は前回の失敗を思い出し、直ぐに襲い掛かることはせず、見物人に話を聞いてみる

「何でも聖女様と公爵様のご長男との婚約パレードらしいっぺよ」





俺は腰を抜かした







リュークは血の涙を流した

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