科学派の良さ、非科学派の良さ
後日二人は約束した場で再会した、レンは科学都市らしい便利な乗り物でこっそり抜け出し、サクラは村の目を掻い潜りこっそり抜け出した。
「やあ、また会ったね」
そう言うレンの手にはサクラが見たこともない科学製品を持っていた、それは「『ゲーム機』」だった。
レンはサクラに操作方法を教えた。サクラは長年の憧れのゲーム機に目を輝かせた。
「これ、すごく面白い……!」
サクラの瞳は、ゲーム機の明るさに負けないほどの瞳の輝きだった。サクラの心は、これまでの人生で体験したことのない楽しさに溢れた。
「非科学派の方も頂戴よ」
レンがそう言うと、ゲームに没頭していたサクラはすっかり忘れていた非科学派の物をレンに教えてあげた。
「これが村の畑で作ったトマトだよ」
サクラがレンにトマトを見せると、レンは目を丸くしてとても驚いた、本当に存在するんだと。科学派の食べ物は天然の食材は使っていなく、全て合成食品で食事をしていた。ゼリー状やカプセル状の食べ物しか食べてこなかったので、形になっている食材を見たことがなかった。サクラはレンにトマトをあげ、レンは人生で初めて天然の食材を食べた。
「……美味しい、こんなにも美味しいものがあったなんて……」
「わ!……どうしたの?泣いてる……?」
レンは思わず涙を流した、自分が今まで食べてきた物とは何もかも違う、美味しいと感じられる食べ物、レンもまたサクラと同じように長年、天然の食材を食べるのが夢だった、そんな彼にとって、人が気持ちを込め生まれてきた食材に涙を流さざるを得なかった。
「科学派にあるかはわからないけれど、私たちは料理というものをしているんだ、食材を使ってさらに美味しいものを作ることができるんだよ。」
「これよりもさらに美味しくできるのか……!、すごい!食べてみたい……!」
レンは初めて笑顔になった、これはサクラの前で初めて笑顔になったわけではなかった、レンは家に帰っても親の私利私欲に使われるだけだった、レンは非常に頭が良く、レンの住む街では、レンが開発した科学製品で溢れていたが、レンはそれを非常に嫌っていた、「自分はなぜ親と街にためにこんなにも働かなきゃいけないのか」と、それが嫌で科学派の文明が嫌いになったのだ。
サクラはレンに少し恐怖心を抱いていたが、この話を聞いた時「彼も自分と同じ、一人の子供なんだな」ということがわかった、自然に打ち解けていった。
「じゃあ明日トマトを使った料理を持ってきてあげるよ!」
「……本当?やった!…すごく嬉しいよ!」
サクラはレンのとびきりの笑顔に少し心が動いたような気がした、彼の境遇の話が心に響いたのか、はたまた恋心か。
整った顔立ちに冷たい表情でイマイチ感情がわからなかったレンだったが、それはただ笑い方を知らなかった悲しい少年だったのだ。サクラと出会ったことで彼は初めて笑うことができた、自分でもびっくりした。
お互いの生活を知ることになった二人は、これからもっと互いの文明を教え合い、この時間がずっと続くと思っていた、だが現実は非常だった、二人の出会いからあまり時間はかからず、非科学派と科学派が次第に対立を深めていった。




