彼らの出会い
あたり一面焼け野原と鋼鉄に包まれた大地、荒廃しきった未来の世界で、
「『科学派』」「『非科学派』」で派閥ができていた、地球存続など二の次、科学の力を使い裕福な暮らしをしている「科学派」、地球存続を目掛け科学を使わない生活をしている「非科学派」。
「『科学製品を拾ったら死刑』」――それが、非科学側の人類が滅びを免れるために作った最初の法律だった。
非科学派の村に育ったサクラにとって、その掟は絶対だった。破れば、10代の子供であろうが長老たちに容赦なく処刑される。
それなのに、サクラは今、科学派との境界線にある
「立ち入り禁止の廃墟」にいた。
カサリ、と乾いた草を踏む音が、静まり返った崩壊都市に響く。サクラはびくりと肩を揺らし、周囲を警戒した。鉄の錆びた匂いと、干からびた土の匂いが混ざり合う、不気味な場所だ。
「……あった」
崩れたビルの瓦礫の影。泥にまみれ、半分埋もれていたのは、長年夢にまで見た四角い鉄の塊――スマートフォンだった。
村の大人たちは「人類を滅ぼした悪魔の道具」と呼ぶ。けれど、科学派の人間たちはこれを使って、遠く離れた人と話し、夜でも太陽のような光を操るという。
「これが、科学の道具……!」
サクラがそっと手を伸ばし、その冷たい画面に触れた、その時だった。
「おい、そこで何をしているんだ」
背後からかけられた冷徹な声。振り返るとそこには、村の人間が誰も着ていない、汚れ一つない真っ白な服をまとった少年――科学派のレンが、冷たい瞳でサクラを見下ろしていた。
「いやあの、これは……!」
サクラの頭には、恐怖が渦巻いた「ここで殺される」と、だが、レンから返ってきた言葉は予想外のものだった。
「君を今ここで殺しはしない、殺すつもりもない、ただ交換条件として僕に非科学を教えて欲しい、君にも僕らの科学を教える。」
サクラは戸惑った、なぜ目の前に科学製品に手を伸ばしている非科学派の少女がいるのに殺さないのかと。
レンはサクラと同じく、自分たちの文明の生き方が嫌いで飽き飽きしていた、レンにとってもサクラにとっても、お互いの文明を共有するというのは好都合だった。
「ここから毎日この場所で、非科学派の物、科学派の物を交換し合い、お互いの文明の生活の仕方を教える、これが交換条件だ。」
そう言い、レンはサクラを殺さず、科学都市の人間らしい、整った顔立ちを少し緩めて微笑んでその場を去った。
科学製品を拾ったら死刑になる、非科学派の少女。
高度な科学に囲まれながら、土の温もりを求める、科学派の少年。
この物語は、お互いに自分の文明を嫌う、非科学派のサクラ、科学派のレン――同じ考えを持った青年たちが世界を変えていく物語だ。




