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「え? え? 紅くんと影山くんが、今人間の姿になったよね…? どういう事なのッ……?」
きっと『バケモノッ!』って言葉が続くんだ…。わかってたはずなのに、何故かつらい。
ここに居すぎたんだ、俺も紫雫も。ずっとここで暮らせるって勘違いしちゃうくらい居心地良かったから。
どこにも俺らの居場所なんて、あるわけ無いのに…。
グッと息を詰めて、審判の時を待つ俺と紫雫…。
『早く言ってくれ! そしたら二度とここには近づかないようにするからっ!』
紅葉さんに拒絶されるのが怖くて、キツく目を閉じる。
なんで俺達は、こんな紅葉さんの目につくところで、変化してしまったんだろう。
「なんで人の姿をしてるの? もしかして、喋れたのに黙ってたの?」
言葉ひとつひとつが責められているみたいで、心の柔らかいところが抉られるみたいだった。
「「騙しててごめん…」」
良くしてもらったのに、そんな言葉しか言えなくてごめん…。
「本当よ! 教えてくれてたらもっとお話出来ただろうし、お店のお手伝いとか頼めただろうし! ご飯だって一緒のもの食べれたんじゃないの!?」
「「ん?」」
「喋れるって知ってたら、名前聞けたし、淋しく一人で別のご飯食べなくてよかったのに!!」
『紅葉さん……? 怒る論点ズレてない?』
ポカンとする俺達に、ずっとここにいていいから、お手伝いして? だったり、お話相手になって? だったり、ご飯はこれから一緒の物を食べてね? …なんて事を約束させられた。
「「な…、なんで…?」」
呆然と聞くと、「モフモフは正義だし、君達と別れたくなかったんだ。自然にかえさなきゃって思うのに…。だから約束一緒にいよう?」
そう言うと勢い良く両手の小指を差し出す。
「小指差し出して何するの…?」
思わずと言ったように、紫雫が聞く。
「指切りしよ! お互いの小指を絡めて…、そうそう」
「これでいいの? 暁も早くもう片方の手にやんなよ!」
「本当は暁くんって言うのか。影山くんの本当の名前は?」
「紫の雫って書いて、紫雫っていうんだ。でも、紅葉さんに影山くんって呼ばれるのも悪くないけど…。こいつは暁って書いて、きょうって名前だよ」
「せっかく、素敵な名前があるならそっちで呼ぶよ。でも人間の姿になったら、更に影山くんって感じだね! あはは」
「小指、言われたみたいに絡めたけど…」
俺がそう言うと、コクリとうなずく紅葉さん。
「嘘ついたら針千本飲ーます。ゆび切った!」
「怖ッ! 人間の約束…、怖ッ!」
ガタガタと震える紫雫に「本当に飲ますわけないじゃ~ん! そんくらいの約束だからねって意味だけで…」
何やら顔を青くしてる紫雫と嬉しそうに微笑う紅葉さんのやり取りにホッとして笑みがこぼれた。




