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魔術大会



 いよいよ、始まる魔術大会。


 俺はこの大会で優勝する。

 これはもう決定事項だ。


 最後の最後に実力を見せて「おい、あの留学生何者だったんだ?」みたいな展開に持って行ければ理想。


 俺がこの学園に通うのは今日で最後だし、多少やらかしたところで何の問題もないだろう。


「レナード……俺以外に負けるんじゃねぇぞ」


 特にあいつにはシレーナの分と、オリヴィアの分とで借りを返さないといけないからな。

 王子とかいうお偉いさんを堂々と殴るいい機会だ。



「……なんでレナード様の応援してるの?私の応援しなさいよね!」


 後ろから掛かった声に、俺はゆっくり振り返る。

 この声も大分聞き慣れたものだ。


 そこには案の定、化粧で誤魔化しつつも、うっすらと目を腫らしたオリヴィアが立っていた。


「よう、泣き虫」


「んなっ!誰が泣き虫よ!私は産まれてこの方泣いた事がないわ」


 オリヴィアは耳まで真っ赤に染め上げると、人類では有り得ない虚言を口にする。


「13歳でピーマンも食べれるようになったの」

 俺は昨日の彼女のセリフを思い出して口にした。

 丁寧に決めポーズまで付けてのハッピーセットだ。


「何それ!ムカつく!私のマネかしら?」


「そーだよ。なんだよ、鼻つままなくても平気って。それがなんの自慢になるんだよ」


「昨日は褒めてくれたじゃない!」


「そりゃ、昨日はお前が泣いてたからだ」


「サイッテー。少しでも貴方に心を開いた私が馬鹿だったわ」


「ははっ。自業自得ってやつだな。けど、昨日の今日でそれだけ元気そうなら、俺も嫌われ甲斐があるってもんだ」


 俺は昨日と同じようにグリグリと頭を撫でる。


「ふんっ」

 昨日とは違い、大分メンタルの回復したオリヴィアは鼻をひとつ鳴らすとパシっと手を払い除けた。


「さてと、そろそろ準備すっかな。決勝で会おう」


 俺は最後に彼女の肩を叩くとその場を後にする。


「ええそうね。貴方が辿り着けるのなら、だけど」


「まぁ、ぼちぼち頑張るよ」




──〇〇〇〇──



 この魔術大会、会場は2カ所に別れる。オリヴィアが普段使っている方の訓練所には、成績が半分よりも上の者。

 俺が今から向かう会場には、成績が半分よりも下の者が集まり、魔術を競い合う。


 前者をA、後者をBとすると、Aからは大会順位3位までの生徒、Bからは優勝者が選出され、最後にその4人でBEST3を決定する最終戦が行われる。


「よし、いっちょやりますか」



「第1回戦第4試合、ショータ・コン・ルーザス対ナベーパ・サソワ・レーナカッター!」


 初戦の相手は明らかに気弱そうな青年だった。

 今にも腰を抜かしてしまいそうな程プルプルしている。


 なんとなくだけれど、俺を恐れているような気がする。


 まぁ、俺そこそこ有名人だしな。陰では不良ホイホイって呼ばれてるらしいし。


「構えっ!」


 ナベーパ君は審判の声にビクリと肩を震わせる。

 おいおい、大丈夫か?


 この魔術大会は、アーティファクトで展開した相手の結界に一定数ダメージを入れた方が勝ちというルールだ。


 結界の強度は全て、展開した者のHPに準ずるもので、ダメージを全てアーティファクトが受けてくれるので、死ぬ事はないそうだ。


 これまでの3試合を見るに、杖で近接攻撃を行いつつ、詠唱時間を割り出し魔術でダメージを与える。みたいな流れだ。


「礼っ!」


 俺は深々とお辞儀をし──


「始めっ!」


 初手、俺は様子見。相手の出方を伺う。

 距離を取っての待機だ。



 一方のナベーパ君は髭モジャのオッサンが使ってそうなごつい杖を構えて魔法を詠唱する。


「ひゅんひゅんひゅん。ゆらゆらゆら、びゅー、びゅー、びゅー、風が吹くよ、さわさわさわ──」


 なんだこいつの詠唱。

 まるで子供向けの紙芝居じゃないか。


「いけっ!【ウインド】」


 緑色の風が吹く。


「やっぱり冬の風は冷たいな」


「ぼ、僕の攻撃が効いてない!?懇親の一撃だったのに!」


 そりゃ、効かんだろ。俺じゃなくても効かねぇよ。

 魔法の強さは魔力の高さと詠唱内容に準ずる。

 この場合、詠唱のせいで威力が激減している。ダメージを与えられると思ってる彼の方がおかしいだろう。


 俺はオドオド狼狽えるナベーパ君にゆっくりと近づいて行く。


「くっ!来るな!【ウインド】!【ウインド】!【ウインド】!」


 ナベーパ君はにじり寄る俺に対し、何度もそよ風を当ててくる。当然無詠唱の魔法では俺にダメージを与えられない。


「っあっ……あう」


「俺の番だな」


 ──すぱーん


 8割ほどの力を入れたビンダ。

 たったそれだけでナベーパ君は弾丸のようにすっ飛んでいく。


 結界強度0。俺の勝ちだ。


「……しょ、勝者!ショータ・コン・ルーザス!」


 ──うぉ?うぉおおおお!!!!


 一瞬、間が空いてからの歓声。

 俺は盛り上がる不良共に向かって手を振る。

 あ、パメラさんもいた!見てくれたんだ。


 俺はニヒルにキメ顔をしながらその場を去った。


ブックマーク、評価ありがとうございます!

どうにか、今月の目標である200ポイント届きそうです!


これからもよろしくお願いします!

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