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試行錯誤




「最近は特に冷え込むなぁ」


 今、俺たちは教会の地下三階で夕飯を食べている。


 本来夕飯は地下一階で、と決まっているのだがあまりにも寒過ぎたのでみんなで避難してきたのだ。


 普段は巨体なネギまも、クハク先生から教わった伸縮自在のスキルで地下に入って来れるので家族全員揃ってぬくぬくと野菜スープを飲んでいるところである。


 ネギまが部屋に入るギリギリまでサイズを戻してからその羽毛に埋まるようにしてリシアやペトラ、キノやミリィ、エレナといった奴隷の子たちと小さく身を寄せあって暖を取っている。


 ふわふわモコモコ最高だぁ。



 周りを見渡すと最近オシャレに目覚めたリシアにファッションのアドバイスをしている子がいたり、ミリィにスプーンの持ち方を教えている子がいたり、ペトラと早食い対決をしている子がいたりと、他の家族達もみんな楽しそうである。



 因みに今、我が家は25人家族である。大分増えたものだ。ネギまとクハクの2匹を入れると全部で27になる。


『女神を一柱入れて28よ』


『ははっ、そうでしたね。──最近はこういうのも悪くないって思えるようになりました 』


 昔から孤独癖のあった俺は他者との関わりを閉ざしてきた。


 ぺちゃくちゃ喋りながら飯を食う奴が嫌いだった。


 けど、今は間違いなく楽しいと言える。


『女神様、こういうのを幸せって言うんでしょうか?』


『さぁね。あなたはどう思うの』


『俺にも、正直よく分かりません。けど、こんな生活が例え何年続いたとしてもきっと飽きたりなんかしないと思います』


『そう。なら答えは出てるようなものね。私もその輪に加われる日が来るのが楽しみだわ』


『はい、必ず。なのでもう少しだけ──』




──〇〇〇〇──


 翌日の朝、俺はクハクと一緒に頭を捻っていた。


「こたつなるものがどういうものかはわかりました。後はどうやって長時間魔力で熱を維持するかなのですが……」


 そうなんだよなぁ。

 こたつの形なんてハンバーガーみたいなもんだ。


 机で布を挟む簡単な作りだしな。


 だから大事なのはどうやってヒーター部分を再現するかである。


「……あれ、こたつとハンバーガーってどっちが先に出来たんだろ」


 ていうか、そもそもこたつの発祥の地はどこなんだ?造り的には日本だけど……それとも中国からかな?

 あ、でも室町時代に……


「主様、そろそろ戻ってきてくださいまし」


「ん?あぁ、ごめん」


 それで。熱を逃がさないように蓄えて、継続的に放出する方法を探すわけだけど……


「あ!わかった!熱を生み出した後、空間魔法で隔離すれば温度が下がらないまま保てるんじゃね?」


 要するに魔法瓶の応用である。真空状態を作ることで内部と外部の熱のやり取りを無くすのが魔法瓶の仕組みなら、この世界の魔法で外部から内部への熱の動きだけを止めることができるのではないだろうか?


 しがない高校生の俺の科学脳は無理って結論を出しているが、ここはファンタジーの世界だ。


「とりあえずやってみるか!」


 俺はスキル習得欄から空間魔法を探す。本来空間魔法は上級職の魔法系の職業についていなければならない。


 それをスキルポイントで無理やり習得するとなるとポイントもえぐい事になる。


 うわ、30ポイントもするのかよ……。


 ちなみに1レベル上がると1ポイント貰えるようになっている。


「やむを得ないな」


 ペトラなんかは多分、空間魔法を取得しているだろうが、第三者を経由しながら試行錯誤するのは困難になると思う。


 俺はなくなく30ポイントを注ぎ込んで空間魔法を取得した。


「クハクは今から俺が想像するものを創造してくれ」


 なんちゃって!


「御心のままに」


 なんだその返事!かっこいい!


 こうして俺たちは各自コタツ作りに勤しむのだった。




 ──7時間後



「できた!完成したぞ!」


 俺の手元にはガラスのようなもので丸く囲まれた炎が揺れている。


 素手では触れないほど熱いし、多分これで大丈夫なはずだ。


 俺はそのガラス玉を3つ造り、コタツにはめる。


「よし、クハクちっちゃくなれ」


「はい」


 俺は座布団と木のお椀を用意し、魔法袋からみかんを取り出すと、お椀の上に何個か置いてコタツに入る。


「完璧じゃんか!」


 俺は懐に子猫サイズのクハクを抱き入れると座布団を枕替わりに昼寝を開始した。


「大成功だな、クハク」


「はい! 主様!」


 俺はもふもふのきつねちゃんを撫でながらその尻尾に顔を埋める。



「──ハァハァ」

 いや、クハクさんハァハァうるさいです。犬かよ……


 俺は首をぴちゃぴちゃ舐めながらでハァハァ言ってるクハクを胸の方に抱き、気を取り直して眠りにつくのだった。



ブックマークありがとうこざいます!


書きだめておいた短話を後何本か消費したら、次は悪役令嬢編になります。

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