わたくしを間に挟まないでください
主人公失格
俺がコタツを発明したせいで働かなくなった奴隷ちゃんが何人か増えた。
やはり、これまた人族の連中である。
ふざけるな!
どうして人はこんなにも怠惰なのだろうか。
9ヶ月間不登校だった俺が言うのもなんだけど、人ってみんなだらしいないよな。
俺がコタツを作った日、クハクとのお昼寝から目を覚ますと大半の奴隷ちゃん達がコタツムリになっていた。
ちなみにかなり大きめのサイズにしているため詰めれば30人は入れると思う。
言うまでもなく、キノはトイレの時ぐらいしかコタツから出なくなった。
「あるじ〜もしあるじがこんなもの作らなければ明日から本気出そうと思ってました〜」
とはキノのセリフである。
ちゃっかり俺に責任を擦り付けるあたり、プロの手腕であるといえよう。
典型的なニートの図である。
ニート奴隷キノ。
うん。いいキャッチコピーって感じがするな。
家族として迎えるって言ってしまったことを後悔するばかりである。
まぁ、そんなキノ達も流石に鬼教官の稽古はサボれないようで、昼間はみんなリシアと模擬戦を行っているようだ。
俺は何をしてるかって?
そんなん言うまでもないだろう。
俺はコタツでぬくぬくとしながらエレナのエルフ耳を齧っているのだ。
「はむはむ」
この子は俺の正式な奴隷だ。誰にも文句は言わせない。
まぁ、一応この行為には理由があるのだが、話すと長くなるので割愛する。機会があれば酒のつまみに語るとしよう。
とは言っても、俺、酒飲めないんだけどね……
さっき少し飲んでみたらバカ酔い。頭痛い。
しばらくその耳を堪能していると洗濯物をしまいに来た他のエルフの子が部屋に入ってきた。
──交わる視線。
──3秒の静止。
そしてその子はいち早く耳を隠すと顔を赤くして逃げて行った。
「あ!待ってよ!違うんだこれは!ひっく」
行っちゃった……
まぁいいか、顔は覚えた。後であの子の耳も齧ろう。
「ご、ご主人様?」
「なに?」
「ひゃっ……あの、あまり耳元で喋られると……」
「あぁ、ごめんエレナ。気をつけるよ」
「ひゃうん」
「あんたら何昼間っからイチャイチャしてんのよ」
「あーリシアさんお疲れ様でーす!ひっく」
みんなの稽古を終え、風呂から上がってきたリシアはジト目で俺を見ながら隣に座る。
俺は再び悶えだしたエレナを一旦置いてリシアとの会話を進めていく。
「リシアはエルフの耳って齧ったことあるか?」
「あるわけないでしょ。そんなことして何が楽しいの?」
「はい出ましたー。今日のオススメ商品はズバリ!無知故に他者を排他する人です!」
「別にそこまではする気ないけど……」
「なら1回齧ってみろよ!」
「そこまで言うなら……エレナ、ちょっと失礼するね」
そう言ってリシアはエレナの耳をもしゃもしゃと噛み始めた。
──あれ、なんだろこれ、見てるだけですげぇドキドキする。まるでイケないことをしてる2人を見てるみたいだ。
「ど、どうだ?」
「うん。思ったより美味しかった。噛んだ時に出てくる汁みたいのが甘くてよかったよ。正直病み付きになりそう」
汁?何言ってんだ?耳からそんなの出て来るわけないだろうに。
「リシア様?多分それ翔太様の唾液かと……」
「へっ?」
「え!」
まじか……。
何となく気まずくなった俺とリシアは互いに目を逸らしソワソワしだした。
やばい、なんだろ。めっちゃ恥ずい。
一気に酔いが覚めた。
いたたまれなくなった俺はこたつに潜って、リシアはみかんの皮を向き始める。
こういう時なんて声を掛けたらいいんだ?
「リシア、ごめんな?汚かったな」
「いや、いいの。私が確認取らないで同じ方齧っちゃったから。あははー」
急にリシアがしおらしくなっちまうもんだから俺も対応に困る。
「というか、エレナが変なこと言うからだぞ!」
「えぇ!わ、わたくしのせいですか!」
「そうだぞ!お前が誘惑するから!」
「し、してませんよ!」
俺はちょっとした恨みも含めて、さっきより強く耳を齧った。
何故かその耳が先程までよりも甘く感じたのは気のせいだろうか。
この主人公性癖が特殊すぎて少し気持ち悪いかもしれませんが、一生懸命生きてます。
見逃してやってください。




