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怪 談   作者: 冬月 真人
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【点滅】


長い山道を走る。

林を抜け、森を抜け、山を抜ければようやく人里に出る。

国道を曲がってから40分。

小さな集落に入る手前にあるパーキングエリアにトラックを停めた透は大きく伸びをした。

今は月明かりも眩しい午前1時。

頂点を極めた眠気を押し出すように深呼吸をすると、トラックのタイヤを順に蹴飛ばして廻った。

眠気覚ましとタイヤのチェックだ。

蹴飛ばせばパンクの有無が分かる。

チューブレスタイヤは空気の抜けが急激では無い分、気付きにくい。

完全に抜けてしまっては他のタイヤをバーストさせる危険もある。

始業前の点検も重要だが、経路途中での点検もまた重要なのだ。


そんな重要なタイヤチェックをする足が止まった。

木々の間で何かが光るのを見た。

よく目を凝らすと不規則に点滅している。

おかしい。

この辺りには原生林が茂るだけで、林の中には人工の施設などは無い。

それに、つい昨夜通った時にはそんな光はなかった。


人魂か鬼火か。

そう思ったが、伝え聞いているものとはイメージが違った。

光は相変わらずその場で不規則に明滅を繰り返している。

オレンジよりも黄色に近い明かり。

不思議なのは距離感が掴めないことだった。

光の大きさが変わらないことから動いていないことは分かる。

そしてその光はこちらを照らすように向かってくる光ではない。

更に言うと光っている時と消えている時の周囲の明るさが同じだった。

光っているのに周りを照らさない明かり。

しばらく魅入られたように凝視していた透だったがふと我に返って急に気味悪くなってきた。


急いでトラックに乗り込んでその場を離れた透は、おかしいだらけのこの出来事の中で最もおかしいことに気付いた。


(どうして俺はあの瞬間まで気味悪く思わなかったのだろう?)


深海の生物の中には発光してえさとなる生物をおびき寄せるものもあると言うが……




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