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怪 談   作者: 冬月 真人
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【運命・中編】



K市での1件目の納品が終わった。

伝票袋から納品書を取り出すとサインを貰い店を出た。

手早く終わらせるつもりが30分。

除雪をしながらの作業はいつもの倍の時間を費やしてしまった。

いつの間にか来ていた排雪業者は駐車場の除雪を半分終えていた。

見ると道路の除雪も開発局委託の建設屋が始めている。

透は巻いたチェーンを外そうか一瞬迷ったが、時間が押したこともあり次の店での納品を済ませてから外す事にした。


K市2件目の納品はとてもスムーズだった。

時間は押したが、他の街からのトラックが来ていなかったからだ。

中・長距離輸送のトラックは透の会社以外は納品を諦めたらしい。

賢明な判断だ。

今流れているラジオの交通情報では、東ルートも止まったと伝えている。

正直ホッとした。

きっと帰社命令が出るだろう。

透は会社に電話を掛けて状況を伝えた。

が、現場を知らない事務屋の答えはGO。

透に西ルートでの大廻りを命じた。

これをすると1日の勤務時間は20時間を越える。

明らかな労基違反だ。

だがやれと言われたならやるしかないのが現場だ。

透は「了解」と告げるとトラックを降りた。

チェーンを外す為だ。

チェーンを装着していると出せる速度も出せない。

後輪から伝わる振動も好きではない。

降りてドアを閉めようとした時、何故か1件目の納品先の伝票が無性に気になった。

透はもう一度トラックに乗り込むと伝票袋を覗いた。

透は深くため息をつくとエンジンを掛けた。

…………1枚出し忘れていた。




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