【護人・後編】
たしかにサボテンすら枯れる家だった。
涼子の友人が出入りするようになってからは、それが嘘のように植物が育っていた。
英雄と和恵が選んだのか、涼子が選んだのか。
それとも彼等は来るべくして来たのだろうか。
その答えはある日の涼子の話だった。
結婚した涼子の旦那の剛。
彼の親代わりになっている叔父夫婦の家に透は車で向かっていた。
涼子を送るためだ。
「でもどうしてオヤジの家に行かないんだ?」
透の素朴な疑問。
「小さい時にお母さんが亡くなって、お父さんとは一緒に暮らしていたけど精神的に疎遠なの。実家にはお母さんの妹が住んでいて、お父さんがどこにいるのかも知らないみたい」
「複雑なのか、複雑にしてるのか…?」
「私の友達は皆そうなんだよねぇ」
「そういやそうだな」
よくよく考えてみたならそれぞれに事情を抱えている子供達だった。
うち、ひとりは特に環境が酷くて英雄と和恵が児童相談所と掛け合って沢木家で保護する事にしたくらいだった。
成人式に涼子とふたり、貸衣装だったが振袖を用意した時には折角の化粧が落ちてしまう程に泣いていたそうだ。
彼等は皆、英雄をお父さん。
和恵をお母さん。
透の事は兄ちゃんと呼んでいた。
実家に居場所の無い彼等の実家となった沢木家。
透が上京して3人家族になるはずだった沢木家はまさかの9人家族になっていた。
事情を知らずに帰省した時、透は本気で家を間違えたと思った。
賑やかで、特に女の子が4人も居て華やかな沢木家。
ここまで華やぐと多少の怪奇現象も霞むらしい。
「昨日ね、初めて見たあ!」
「おめでとう、これで一人前の家族ね」
これでは幽霊も堪らないのかもしれない。
彼等は来るべくして沢木家に来てくれたのだろう。
そして彼等も成長して結婚。
それぞれに家族を持ち独立すると、沢木家の不可思議な現象もまた少しづつ増えていった。
笑えるような笑えないような……




