【誰の鈴?】
透達一行の6人は、良質の雪を求めて200km離れた街のゲレンデを目指した。
借りたワゴン車に揺られること3時間。
幾つかの峠を越えて到着したF市のゲレンデは最高にゴキゲンのコンディション。
リフトの1dayパスを買うと待ち合わせの時間を決めてフリーに滑走。
このゲレンデはコースが豊富で滑り倒すにはグズグズしてはいられない。
午前中はそんな感じであっという間に待ち合わせの時間が来た。
麓のレストハウスで昼食を取りながら午後の計画を話す6人。
結論は満場一致のゲレンデ移動だった。
実はこのスキー場、第二駐車場からまた別の5コースを持つゲレンデに行けるのがウリ。
しかもリフト券は共通だ。
行かない理由は無かった。
昼食後、ワゴン車の運転席に乗り込んだ透は車内を見回した。
(気のせいか……)
キーを回してエンジンを掛けて皆が乗り込むのを待つ。
それぞれのシートに皆が腰を掛けた時、やはり聞こえた。
チリン。
チリン。
鈴の音。
よくある普通の鈴の音だ。
「なぁ、誰か鈴を持ってる?」
透がそう聞くと皆が首を振った。
確かにそうだろう。
皆が乗り込む前から聞こえたのだから。
だが透も鈴は持っていない。
一体……
それから鈴の音は第二駐車場に着くまで鳴り続けた。
とても不自然に鳴り続けた。
車の揺れとは無関係に鳴るのだ。
薄気味悪かったが気を取り直して午後のスキーを楽しむ事にした。
が、やはり皆も鈴の音が気持ち悪いようだ。
集合時間は1時間後に決まった。
そして早めに帰ろうと誰とはなく言った。
帰り道、鈴の音は暫く鳴っていた。
来る時には聞こえなかった鈴の音。
止まっていても走っていても不規則に鳴っている。
チリンチリン。
チリリリン。
チリンチリリリチリリリン。
そしてF市の隣町のカントリーサインがある辺りで音が消えた。
誰が持っていた鈴なのか……
透が持って来てしまったのか……




