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怪 談   作者: 冬月 真人
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【カラス】


類は友を呼ぶというのだろうか。

透の母親の和恵がそうであるように、翔の母親も不思議な夢を見る。


「俺の母ちゃんさ、透のお母さんと似たような夢を見るんだよね」

翔の両親は翔が高校生の頃に離婚して離れて住んでいた。

「似たようなって、予知夢?」

「透のお母さんみたく事件や事故の夢じゃなくて、ごく近い関係の夢を見るんだよね」

「そうなんだ!」

透は驚きつつもなんだか嬉しかった。

周りから行動や思考が似ていると言われる親友同士、そんな所まで似ているとはなんだか嬉しい。

「母ちゃんの予知夢って後出しジャンケンみたいだったから信じてなかったんだけどね」

「信じ得る何かが起きたの?」

「うん。母ちゃんって、知り合いの家の屋根にカラスが止まる夢を見るんだってさ。そしてその屋根の家で不幸があるって言うんだけどさ、いっつも新聞の死亡広告を見ながら『ああ、やっぱり!夢に見たもの』って」

「あはは、後出しジャンケン」

透は翔の的確な例えに思わず笑った。

「そんなだから誰も信じないよね」

「そうだねぇ」

「でもね、この間の話。母ちゃんが朝っぱらからイキナリやって来たんだよ、オヤジの家に」

「ほう」

まだ話の見えない透は微妙な相づち。

「血相変えてやって来た母ちゃんは、オヤジや俺、婆ちゃんの姿を見て『良かったぁ!』って言うのさ」

「何で?」

「うん。カラスが屋根に止まる夢を見て飛び起きて、すっ飛んで来たんだって」

「あら、まさかのハズレ?」

「ほら、オヤジの家って5軒の集落じゃない」

翔の実家は農業をしている。

畑に囲まれるようにして5軒の家が集落を作っていて、それがひとつの町内会の班となっていた。

正確に言うと、5軒の家と1軒の集会場の集落。

「でさ、集会場の屋根にカラスが止まっていたんだって」

「集会場でお通夜とかもやったりするからねぇ」

「そうなんだよ。実はその日、朝っぱらから母ちゃんが来たって俺が言うってことは、俺も朝っぱらからオヤジの家に居たってワケで……」

翔が皆まで言う前に透は悟った。

そして背筋を寒いものが走る。

「まさか…」

「そのまさかさ。朝早くに隣の爺さんが亡くなって手伝いに駆け付けたのさ」

「死亡広告は……」

「まだ出す前」


翔のお袋さんもとんでもない能力を持っていたようだ。


「お袋さんに伝えて。『絶対にウチの屋根の夢は見ないでね』って」

笑いつつも半分本気で言う透だった。





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