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殺伐ランチタイム

心配ではあったが、授業中はイヴは何かしでかすわけでもなく、大人しく座っ

ていてくれた。

案外、育ちがいいのかもしれない。

ただ午前中の四時限中座っていたその場所が俺の膝の上だっただけに足が痺れ

ている、それはもう真っ直ぐ歩けないほどに。

外見を裏切ることなく体重は軽い、だがそれでもだ。

これに関しては言うことを聞いてじっと座ってくれていたのが裏目に出た。



「お前、狙ってやったんじゃなかろうな。」


「何が?」



興味もない人間の授業を聞くのなんてこの上ない退屈のはず。

なんたって俺でさえ自分の欠伸の数を数えてたくらいだ。

その腹いせに……なんてことも十分考えられる。

この純粋無垢な瞳からこれ以上聞き出すことも出来ないが。



「これは疲れそうだ。」


「で?私はこの状況でどうすればいいわけ?」


「………………いたんだ。」


「あんたがお弁当食べるなら屋上だって言って、昼休みになった途端いきなり

教室から手を引いて連れ出したんでしょうが!」



そうだ、あまりに急いでいて前後不覚だった。

弁当を食べる約束も果たさなければならないし、かといってイヴがいる状態で

は人目の多い教室で食事なんてどうなることか。



「もう……それでこの子は誰よ?」


「どうも、妹のイヴです!(ニコッ」


「おい、イヴ……ナツにそれは……」


「なにそれ、ふざけてるわけ?」



ナツは初めからそんな冗談には取り合わないという態度だ。

こいつは付き合いが長いだけに色々知ってるからな。

本当にいた妹のことも。

だから、ナツにとってその嘘は無駄。



「いいんだ、イヴ。ナツには最初から隠すつもりはない。」


「ふぅん、随分ご主人様に信用されてるんだね。」


「ご、ご主人様って?」


「ご主人様とはどういう関係なの?」


「え、仁と?仁とは……なんだろ、腐れ縁かな?」


「腐ってんのかよ……」



とはいえ確かに俺たちの関係性を言葉で表すのは難しい。

幼馴染が近いのだろうが的確ではない。

もっともっと複雑な関係だ。



「じゃ、改めて……あたしはイヴ、最強の悪魔だよ。」


「っ!」


「おい、ナツ!」



イヴの言葉を耳にした瞬間、ナツの瞳が変わった。

止めようとしたときには竹刀を抜いて、イヴの首元に当てていた。



「何これ脅しのつもり?」


「竹刀でも人は殺せるわ。」


「だから人間じゃなくて、悪魔なんだけど。」


「関係ないわ、人間と同じように首が頭と胴体をつないでればね。」


「はぁ、しょうがないなぁ。……これで!」



イヴは四体を一切動かすことなく、膨大な殺気を放ってみせた。

先刻、教室で見せた、過ぎた戯れへのイエローカードレベルの比ではない。

小動物程度なら触れることなく殺してしまうのではないかという悪魔の本気。



「…………っ」


「へぇ、それでも竹刀を外さないってのは凄いね。普通、意識失うか失禁する

くらいのをお見舞いしたはずなんだけど。」


「……女の子が男子の前でそんな恥晒すわけないでしょ。」


「ふぅん、悪魔が相手ってことにも全然臆してないみたいだし。ご主人様のま

わりってこんなんばっかなの?」


「いや…………」



俺のまわりにはナツくらいしかいないという儚いつっこみは今は控えておこう。

それ抜きでも悪魔という存在に驚きもせず、腰を抜かしもせず、真っ先に武器

をとって立ち向かおうなんてのはナツくらいなもんだろう。



「観念しなさい、この外道。」


「本気で相手してあげてもいいけど、命の保証はないよ。」



って、暢気に状況判断してる場合じゃなかった。

ナツは喧嘩っ早くはないんだが今回は相手が相手なので仕方ないし、イヴはた

だ戦いたいだけだったりする。

結論、早急に不毛な争いを止めるべき。



「ちょっと待て、ナツ。これはあれだ、大丈夫なパターンの奴だ。」


「は?」


「イヴは悪い悪魔じゃない。いや、性格的には人間見下してるし、言動に敬意

も感じられないし最悪……じゃなくて!とにかく話すと長くなるんだが、一応

イヴは俺が認めた、だから大丈夫だ。ナツ、ありがとな。」


「え、あ……は!?なんで私がお礼言われなきゃなんないのよ、そんなことさ

れる覚えがないっての!」



いや、お前が悪魔を目の敵にする理由なんて1つしかないだろうが。

なんて偉そうに当人が言えることでもないか。



「ちっ、戦えるかと思ったのに。」


「お前はそのバトルジャンキー気質を少しは矯正しろ!」


「えー」


「“えー”じゃない。はい、これからは二人とも事あるごとに喧嘩しないこと。」


「私は仁がいいならいいわよ。」


「はいはい、ご主人様の言うことだから聞いといてあげよう。」



何ゆえそんな上から目線なんだ、奴隷よ。



「にしても流石ご主人様の腐れ縁。面白い人間だね。」


「私のどこが面白いのよ。」


「悪魔とそうやって普通に会話してるとこだと思うぞ。」



人のことを言えた身ではないが。



「お前の名前は?」


「立花奈津美よ。」



そんなわけでドタバタの昼休み。

…………弁当は急いで残さず食べました。

幼馴染っていいよなぁ……

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