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【書籍化決定】後宮の縁切り女官  作者: 山田露子 ☆ヴェール小説4巻発売中!


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『丹丹丹あのあのあのあいやあ』殿か!

 

 ――豊紈《ほうかん》の証言。


「一週間の旅程で、黄《おう》賢妃《けんぴ》率いる一行《いっこう》は、東北部の沶竟《いけい》に向けて旅立ちました。黄《おう》賢妃《けんぴ》は近々後宮を去り、沶竟《いけい》にある寺院に出家する予定がありまして、その出家先の下見というのが旅の目的でした」


 豊紈《ほうかん》は大柄でおっとりした顔つきであるけれど、少し神経質な性格をしているようだ。話しながら身に着けている襦裙《じゅくん》の帯位置を細かく調整したり、長方卓上に置かれた茶器の位置を横並びに揃《そろ》えたり、無意識に手を動かしている。


 性格が細やか……いや、あるいは……隣にいる桃義《とうぎ》を意識して、緊張しているのだろうか?

 ふたりのあいだに漂う空気は温かいものではないものの、かといって不仲という感じもしない。豊紈《ほうかん》は、桃義《とうぎ》に気を遣っているように見える。

 同じ女官であっても、横並びではなく、上下格差は明確に存在するだろう。

 ふたりの役職に上下があるのかもしれないし、そうではなく、家柄に差がある可能性もある。たとえば『桃義《とうぎ》の父は官品が六位だけれど、豊紈《ほうかん》の父は官品が八位』……というように。


 雪華はまず『誰と誰が寺院にいた』のか、はっきりさせることにした。


「寺院に泊まった人は、黄《おう》賢妃《けんぴ》、豊紈《ほうかん》さん、桃義《とうぎ》さん――以上の三名ですか?」


 尋ねると、豊紈《ほうかん》が顔を強張らせる。

 ……どうしたのだろう?


「いえ、そのほかに四名います」


「お名前を教えていただけます?」


「護衛役として武官が二名――程汧《ていけん》殿と、馬蓼《ばりょう》殿。そして宦官が一名――こちらは田《でん》丹《たん》殿という方です」


 雪華は驚きで目を瞠った。

 なんと――お騒がせ宦官の『丹《たん》丹《たん》丹《たん》あのあのあのあいやあ』殿か!



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