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エデンの園  作者: 北東
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第二十話【勇者】

『えー、聖教国在住の国民諸君に告ぐ!ただ今より聖教が掲げる人族(ヒューマン)至上主義という糞みたいな制度を廃止させる為に、聖教国及び聖教関係者に対して攻撃を開始する!死にたくない者は速やかに退避しろ、巻き込まれた場合此方側は一切責任は取らないのでそのつもりで居る様に!なおこの警告を悪戯の類いだと思っている者も居ると思うので、この警告が事実だと証明する為に聖教国の税関を5分後に破壊する!無関係、もしくは死にたくない者は税関から速やかに退避しろ!以上!』


念話拡声(テレパシーメガホン)》を使用して聖教国全土に宣戦布告をすると同時に、無関係な人々に退避を薦めておく。こうしておけば万が一一般人が巻き込まれても俺達は警告したって言い訳できるからな。


こういうのは事前に言ったっていう事実が必要なので、相手がそれを信じるかどうかは気にしない。警告を聞いてなお信じずに巻き込まれたとしても俺達は一切の責任はとらないので、そこんとこよろしく!


そんな事を考えているとラジーが話し掛けてきた。


「オレは1人で行くけどぉ~、皆はどうすんの~?シシシシシ!」


「ギャハハハハ!おれもラジーに同じで1人で行くぜ。」


ラジーが自分は1人で行くと言ったのに対してソニックが便乗し、2人は各々で動く事になった。


「ワッシはクリミと組んで動くかのぉ。」


「小生とカトラーだけでは少々心許ないわね………レギィも一緒に行かないかしら?」


「うむ、ならば俺はカトラーとクリミと組んで3人で行く。」


一方カトラーは戦闘職ではないのでクリミと組む事にしたらしい。しかしクリミはカトラーと2人だけでは心許ないと思ったらしくレギィを誘って3人で組んで動く事に決まったみたいだ。


「我は1人で行くぞ。アラン=ディアス、どちらが多く敵を倒せるか勝負だ!」


「今から戦うって言うのに不謹慎だよガイア!いくら相手が悪人でも殺すのは最小限にしないと。」


「甘い!甘過ぎるぞぉ、アラン!こうゆう悪徳宗教は根絶した方が後の為になるのだぁ!因みに我は1人で行くぞぉ!」


ガイアがアランに勝負を持ち掛けるが、アランはそれを不謹慎だと怒る。しかしそれに対してマッスルが甘いと口を挟み、アランの説教を止めさせる。そして結局3人は各々1人ずつで動く事で纏まった。


「自分はリジット殿の護衛をするので、2人で行ってきます。」


「私の護衛?まぁ良いだろう………。私などを護衛しようとするとは、愚かだ。」


3人の話が纏まった後、レベリーが遠距離戦しか出来ないリジットをカバーする為にリジットと2人で組むと言い、それをリジットが渋々ながらも了承し2人で動く事が決まった。


「俺は1人でOKだよ、そうそうdefeatする事はないだろうしね。」


T=Vが残りの連中にも「皆もそれでOKだよね?」と聞いて全員が頷いたので残りの5人ーーー俺、グレイアース、イサム、ジョン、T=Vは各々で動く事になった。


「んじゃあ各自別れて東西南北から攻め込んで、中心地の聖都で落ち合うとしようか?」


「「「「「おう!」」」」」


俺達15人はほとんどが単独での戦闘を好むタイプなので、今回は各地に散って全方角から一斉攻撃する事になった。

因みに配置は東が俺・リジット&レベリー・イサム・ガイアで、西がカトラー&クリミ&レギィ、南がラジー・T=V・マッスル、北がジョン・アラン・グレイアース・ソニックだ。


それぞれの配置が決まれば後は思い思いに動くのが俺達のやり方だ、事実配置が決まれば全員すぐに《転移(テレポート)》で移動してしまった。

円陣を組んで気合いを入れるとか無いのかよ………と思ったが、すでに警告から5分が経過していたので警告通り、草薙の剣を振り衝撃波を放ち周辺の建物もろとも税関を吹き飛ばす。


「よし!それじゃあ行くとするか。『えー、聖教国の国民諸君に再度警告する!ただ今より東西南北から一斉攻撃を開始する!死にたくない者は聖教に関する建物には近付かない様に!』………こんだけ警告してりゃあ大丈夫だろう。」


草薙の剣を鞘に戻しながら再度警告をしてから、吹き飛ばした税関跡地を通り聖教国内に入る。するとすぐに聖教のシンボルである人族(ヒューマン)獣人族(ビースト)妖精族(フェアリー)等の他種族を土台にして、その上に立っている石像が目に入った。


胸糞悪い石像だ、よくあんな物を教会のシンボルにしようと思えるよな。他種族を土台にして人族(ヒューマン)が上に立ってるなんて思い上がりもいい所だ、この世界ではドワーフの製鉄技術は全種族が利用しているし、エルフの魔法技術は多くの種族が利用している。


それは人族(ヒューマン)とて例外ではない、と言うかむしろ人族ヒューマンの方が他種族の技術を大量に取り込んでいる分、他の種族よりその恩地に与っていると言っても過言ではない。


にも関わらずあんな糞みたいな石像を聖教のシンボルとして掲げ、人族(ヒューマン)至上主義などと言う頭のおかしな制度を国内どころか国外にまで広げようとしているのだ。


もしも聖教国がそこまで大きくない国だったなら、今頃周辺各国に叩き潰されていただろうが、なまじ無駄に国力がある国だった為に誰も止められずに勢いに乗ってしまっている。


「ここで潰しておくのが後世の為にもなるだろう。」


2割りの善意と1割りのサービス精神、7割りの私的ムカつきで構築された《フレイム・バズーカ》で石像を設置してある教会ごと爆破して破壊する。これで少しは気が晴れた。


そんな風に憂さ晴らしをしていて気付いたのだが、さっきから誰も来ないな?普通こんだけ暴れたら憲兵くらい来てもいいと思うんだが、どうなんだろうか?やっぱり情報伝達手段が少ないから暴れていても分からないのか?


しかしまぁ誰も来ないとつまらないな………よし、誰か来るまで他の奴等の様子でも見ていよう。


《千里眼》と《億里眼》と《兆里眼》の3つの望遠スキルを重ね掛けして聖教国一帯を見渡せるようにして、ついでに建物や地形で視界が塞がるのを防ぐ為に《透視》も使用して視界を良好にする。


さて、手始めにアランの様子でも見てみるか?






side アラン=ディアス…


「うーん、どうしよう………?マッスルさんは情けは掛けない方がいいって言ってたしなぁ。」


困ったな。モンスターなら殺すのも仕方ないと割り切れるけど、流石に僕も人間を殺すのは躊躇する。でもマッスルさんは情けは掛けない方がいいって言ってたけど………どうしようか?


確かに聖教の人族(ヒューマン)至上主義はいい考えとは思えないけど、もしかしたら不本意ながらも聖教国で暮らす為に仕方なく入信した人だって居るかもしれない、なのに聖教の教徒だからって殺すのは少し過激過ぎると思う。


でも聖教国では人族(ヒューマン)以外は奴隷として扱われるという実害も出ているから、聖教の教徒達は許せない。僕はどうすればいいんだろう?

そうやって悩みながらも歩いて行くと、聖教国の憲兵らしき人達が僕の下まで来て囲んで持っていた槍の矛先を向けてきた。


「貴様だな!この地区にある教会を破壊した異教徒は!」


「異教徒って訳じゃないんですけど………でも教会を壊したのは僕です。」


今話し掛けて来た隊長?みたいな人がが大声を出すから思わず反射で答えちゃったけど、大丈夫かな?

教会を破壊したのは間違いなく僕だから認めるけど、異教徒か?って聞かれたら違うと答えるしかない。僕は宗教にはあんまり関心がないから何処にも入信してない、だから異教徒って訳じゃないと思う。だから多分今の返答で大丈夫だと思うんだけど………。


「我等聖教の教会を破壊するなど、汚らわしい亜人共の神を崇める異教徒以外にはあり得ん!皆の者、あの異教徒を排除せよ!」


どうやら僕の返答が気に入らなかったのか、隊長が僕の周りを囲む憲兵らしき人達に指示を出して此方に向かって《ファイアボール》を撃ってきた。


流石に魔法(マジック)スキルで攻撃されれば動かない訳にもいかないので、すぐに腰に提げている白に金の装飾が施された剣ーーーエクスカリバーを引き抜く。ーーーと同時に僕に向かってきた《ファイアボール》の前に半透明な青く薄い四角形の板が現れ、全ての《ファイアボール》を防ぐ。エクスカリバーの能力《絶対防御》が発動したのだ。


エクスカリバーあらゆる攻撃を障壁で防ぐ為、抜いている間は相当な事態がない限りダメージを負う事はない。この能力のおかげで僕はオリジナル称号持ちとして他の皆と渡り合えていると思っている。僕は防御を捨てた攻撃極振りのステータスだ、低レベルの相手からの攻撃でも食らえば致命傷になる。

攻撃力だけならクロウさんにも負けない自信はあるが、防御力は空っきしだ。だからエクスカリバーの《絶対防御》には凄く助けられている。


「先に攻撃してきたのはそちらですから、これは正当防衛です!」


攻撃された以上戦わない訳にはいかないので、エクスカリバーを正面に構え移動系スキル《動作無し移動ノーモーションダッシュ》で、予備動作無しの急加速を行う。このスキルを使えば棒立ち状態からの高速移動が可能なので、相手の不意を突くのに最適だ。


「《三連斬り》!」


動作無し移動ノーモーションダッシュ》により生み出された急加速を利用して高速で包囲網の中を駆け抜け、《三連斬り》を複数回繰り出して全員にダメージを与える、しかし意外な事にエクスカリバーの攻撃を受けても誰1人倒れなかった。


「意外だな………最近のNPCは総じてレベルが低かったのに、貴方達はそれなりにレベルが高いみたいですね?」


「クッ!………嘗めてもらっては困る。我等聖火隊はlevel:250以下の者は入る事が出来ない精鋭部隊なのだ!この程度で倒れる程弱くはない!」


level:250以上か………今の時代からすれば凄く高いレベル何だろうけど、僕の敵じゃないな。さっきの《動作無し移動ノーモーションダッシュ》での高速移動に反応出来ていなかったみたいだし、level:250程度では初期の魔法スキルくらいしか使えない筈だ。


それにどんな攻撃をしてもエクスカリバーの《絶対防御》を貫く事は出来ない。それこそ僕が知覚出来ない距離からか、知覚出来ない速度で攻撃するかしない限りは僕にダメージを与えるのは不可能だ。現状上記の条件をクリア出来るのはオリジナル称号持ちの皆くらいだ。


「でも少しやりにくいかな?エクスカリバーじゃ攻撃力が高過ぎて手加減しにくいし。」


攻撃も防御も速さも僕の方が上回っているが、それが仇となって殺さない様に攻撃するのが難しい。さっき使った《三連斬り》は一瞬で3回斬れる代わりに威力が非常に弱いスキルで、手加減して攻撃する際には使い安いのだが如何せん威力が低過ぎる。


1人に集中して10回くらい連続で食らわせれば効果的にダメージを与えられるだろうが、それをしていたら時間が掛かる。そしたらクロウさんやガイア達に文句を言われてしまう、それは嫌だ。なら、スキル無しで肉弾戦のみを使って衛兵達を瀕死に追い込まなければならない。


「薄く削ぐ様に斬る、それが手加減の基本だってラジーも言ってたな………。」


ラジー曰く、生ハムを切り落とす時の様に、薄く削ぎ落とす様に斬れば程々のダメージを与えられるらしい。その話を思い出しながら、憲兵達の内の1人に近付き、肉を薄く削ぎ取る様に優しくエクスカリバーを振るう。


それだけでも高い切れ味とそれなりの攻撃力を持つエクスカリバーの効果で、憲兵は右肩からザックリと斬られた様な傷を負い倒れる、しかし死にはしないギリギリのラインを見極めての攻撃なので死ぬ事はないーーーと思う………多分。


まぁ《直感》系のスキルで生きてるかどうかを確認したので生きているだろう。だから倒した相手には目もくれず次のターゲットに肉薄する。しかしそこで相手も反応を示し、自らに迫り来るエクスカリバーの刃を迎え撃とうと持っていた槍を構えてエクスカリバーを受け止め様とする。


どうやらこの憲兵は他の憲兵達より2~30くらいレベルが高いみたいだ。他の衛兵達は仲間が倒されたのに反応すら出来ていないのに対して目の前の彼は、僕の動きを見て対応しようと槍を構えて迎え撃った、その感知能力はNPCにしては称賛に値する高さだ。


でも槍で受け止めようとするのは駄目だ。


「残念、エクスカリバーと君達が持つ量産品の槍では格が違うんですよ!」


エクスカリバーは聖剣、一方憲兵達が持つのは量産品の槍、根本的に格が違う。衛兵達が持つ剣は低級(ロー)、エクスカリバーは神級(ゴット)、最低ランクと最高ランク、当然エクスカリバーの方が優っている。


その為衛兵がエクスカリバーを受け止めようと構えた槍は、何の抵抗も無く両断され破壊される。それを見て驚きで硬直してしまった憲兵はさっきの憲兵と同じ様に斬られて地面に倒れ伏す。


そして2人目が倒れた時、漸く他の憲兵達が仲間が倒されたのに気付き此方を向く。でもその動きは遅い、勿論衛兵達がわざと遅く動いている訳じゃない、僕の感覚が研ぎ澄まされている為に景色がスローモーションになった様に見えるだけだ。


そのスローモーションの中でも僕の動きだけは普段と変わらない。だから一瞬で衛兵5~6人が集まる場所に走り、横を通り過ぎる瞬間に流れる様に全員を斬り伏せる。

多分他の憲兵達から見れば、僕が瞬間移動したと思ったら突然が仲間が倒れた様に見えるだろう。


「………武器を捨ててくれませんか?無駄な争いはしたくありませんから。」


これだけ力量に差があると分かれば憲兵達も退くだろうと思い降伏するように言うが、憲兵達は武器を捨てるどころか一斉に襲い掛かってきた。


「はぁ………リジットさんじゃないけど思わず言いたくなるねーーー愚かだ、と。」


溜め息を吐きつつもエクスカリバーを構え直し、襲い掛かってくる憲兵達の攻撃を《絶対防御》で防ぎ、動きの止まった憲兵から順に斬り伏せていく。《絶対防御》がある為防御や回避を考えていない太刀筋は強力で、何とか防ごうとした憲兵達の盾や武器、鎧ごと斬り裂いて倒す。


そうして相手を殺さない様に気を付けながら斬って行き、数分経った頃には僕を包囲していた憲兵の一団は、最初に話し掛けてきた隊長と他よりレベルが高い憲兵数人を残して全滅した。


「まだ戦いますか?」


エクスカリバーの切っ先を向けて隊長らしき人に話し掛ける。ここで降参してくれた方が僕としては嬉しいんだけど………。


「なっ、嘗めるな!我等聖火隊には天の加護があるのだ!貴様のような異教徒に負ける事などあり得んのだ!」


………狂信者ってのは何処にでも居るものなんだね、これじゃあ説得は無理かな?


「仕方ない………いくら口で言っても無駄みたいだし、実力行使です!」


これ以上説得しても無駄だと判断して、喚き散らしている隊長に近付き顔面と鳩尾を殴って気絶させ、その流れで素早く回転斬りを行い隊長の近くに集まっていた残りの憲兵数人を斬り伏せ倒す。


よし!これで終わり!

さぁ急いで聖都に行かないと、遅れたら皆が煩いしね。



次の投稿は少々遅れるかもしれません。出来るだけ早く投稿出来る様にしてみますが多分遅れます、と言うか確実に遅れます。

亀更新ですがこれからもよろしくお願い致します。


誤字脱字を発見したら指摘よろしくお願いします。

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