第33話 畑仕事は形から
玲子が畑仕事に興味を持ち始めたことで、自然と義兄夫妻の畑仕事に、わたしも巻き込まれるようになりました。
といっても、たいしたことはしませんけれど。
野菜をもらうのは嬉しいですが、本格的な畑仕事って大変ですよね。
「バーバ、私も野良着が欲しい」
玲子がそんなことを言いだしました。
やはりジャージは農作業に向かないようです。
「オバちゃんがね、ちゃんとしたのを一式、持ってたほうがいいって」
義姉の入れ知恵でした。
でも野良着を用意したほうが、便利ですからね。
農作業をするなら、それ用の長靴に長ズボン、長袖シャツを用意しておいたほうが便利です。
「おしゃれなのでなくていいの?」
「えっ? むしろ昔ながらの野良着のほうが可愛くない?」
わたしが玲子に確認すると、逆に驚かれてしまいました。
まぁ本格的に農業をやるわけではないし、服なんて着替えればいいだけですからね。
モンペでいいと玲子がいうのなら、モンペでいいのでしょう。
女の子は成長が早いですから、体格もわたしとさほど変わりません。
玲子が飽きたものはわたしが使えばいいだけですから、モンペに手甲、長靴に首の後ろまでしっかり隠れる農作業用のUVカット帽子などを揃えました。
手袋なども用意してあるのですが、若いせいが面倒がって使ってくれません。
手が荒れたり、自然の色素で肌に色がついたりしてしまうと思うのですが。
玲子は、あまり気にしないタイプのようです。
まだ地震が不安な時期ということもあり、畑は玲子にとって安全な場所という認識のようですが、紫外線のことやら虫刺されのことやら見ているこちらとしては気になることが沢山あります。
玲子が畑仕事へ行くとなれば、わたしも付き合うことになります。
これは完全に義姉の作戦勝ちです。
わたしは言われたことを最低限するだけですが、週末には健太郎さんも農作業に加わります。
玲子はもっぱら収穫をする係です。
地震のせいか部活に参加しない生徒も多いらしく、畑仕事に玲子のお友達が加わるときもあります。
そうなるとわいわいと賑やかで楽しいです。
面倒なこともありますが、天気が良い日に外で作業をするのは気持ちがよい。
問題は、晴れて温かい日以外でも仕事はある、という点でしょうか。
わたしは最低限のことしかしませんけど、健太郎さんは割とがっつり作業に参加しています。
玲子を喜ばせるためでしょうか。
「新鮮な野菜で作る悦子さんの料理は、ワンランク上のおいしさだから」
などと言っていましたが。
本当でしょうか。
ちなみに、わたしと健太郎さん、玲子の手甲は色違いで揃えました。




