第30話 落ち着かない日々
玲子は小学校を卒業し、中学校へ入学しました。
震源地は離れているとはいえ、頻繁に起きる地震に玲子は怯えています。
わたしもそんな玲子を1人にしておくのは不安なので、中学生になっても相変わらず帰ってくるのは我が家です。
背も伸びて大人っぽくなってきましたが、やっぱり子どもです。
ただ中学生くらいになれば、変な男が寄ってきたりしますからね。
その辺の警戒も外せません。
わたしは庭で軽い家庭菜園を始めました。
趣味で花を育てていましたから、土いじりは嫌いではありません。
スイスチャードは見た目も綺麗で、玲子も美味しいと食べるので育てがいがあります。
シソやバジルも始めました。
ネギは……検討中です。
外で作業していると、軽い地震であれば気になりませんから、その点でもよかったです。
晴れた日は下校時間に合わせて庭に出て、ちょっとだけ作業しながら玲子を待ちます。
なぜ子どもって、道を歩いているだけであんなに可愛いのでしょうか。
生命力にあふれていて、見ているだけで元気をもらえます。
まだ入学したばかりの一年生は、部活も選んでいる途中なので帰宅が早いです。
地震が続いていますから、その辺の配慮もあるのかもしれません。
バタバタと忙しく、いろいろなことがありましたが、わたしが心を配ったのは玲子のことです。
ただでさえ不安定な成長期に、必要以上の不安を与えたくはありません。
なるべく平穏に、いつもと変わらないようにしてあげたい。
テレビをつければ物騒なニュースは流れてきますから、なかなか難しいことですが。
それでもことさら穏やかに。なるべく安心できるように。
明るくふるまうことで、玲子の気持ちが安定するのなら、そのほうがいいのです。
世の中は怖いことだらけですが、その中でも生きていかなくてはなりません。
わたしはなるべく玲子が笑顔になるように、気を使っていました。




