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悪役(のはずの)令嬢


 私の名前はナザリア・スカーレット。転生者の悪役令嬢である。

 この世界は世界的な人気を博したとある乙女ゲームの世界で、その世界になんの因果か私は悪役令嬢として転生した。

 悪役令嬢であるナザリアは第二王子の婚約者であり、メインヒーローである第二王子とヒロインが結ばれるさいに障害となる存在である。ヒロインが第二王子と結ばれる際に婚約破棄をされるナザリアは、その後隣国の豚貴族と結婚することになるのだ。


 それだけは嫌だ。もやしならまだしも豚と結婚するのは御免被る。第二王子はメインヒーローだけあってすばらしい美貌を持っている。ショタの時点で将来有望さが見えるのだから末恐ろしいものだ。


 婚約破棄されるのならば最初から婚約しなければいいと頑張ろうとするも、気が付けば婚約はなされており、それならば王子に嫌われようとするもなぜか気に入られる始末。あの王子はマゾヒストではないのだろうか。

 あの手この手で嫌われようとするもなぜか好かれる一方で、そうして私は乙女ゲームの舞台である学園へと入学することになった。

 ゲームが始まるのは五月。母親の再婚によって伯爵令嬢となったヒロインが学園へと編入してくることで始まる。元々庶民だったことで貴族にはないものをもったヒロインに攻略対象たちは落とされるのだ。ハーレムルートはないが三角関係ルートがある。ヒロインがどのルートに進むかはわからないが、どのルートに進もうとも学園に波乱が訪れるのは間違いないだろう。あぁ、憂鬱だ。





 来た。ついに来てしまったこの日が。

 今日はヒロインが編入してくる日。つまりは乙女ゲームが開始する日だ。噂で聞いたヒロインはゲームで知っている優しくふわふわとした女の子ではないようで、もしかしたら私と同じ転生者なのではないのかと不安になってくる。もしそうだとしたら存在しないはずの逆ハーレムルートを成そうとしてくるかもしれないからだ。もしくは第二王子を狙ってくるかもしれない。攻略対象の中で一番の美貌は第二王子だ。


 編入初日、メインヒーローである第二王子との出会いの日。こっそりとその現場である学園の入り口が見える位置に隠れ、ヒロインが来るのを今か今かと待つ。他にも興味がある生徒は多いらしく、隠れて見ているものがいるので私の行動は咎められることはないだろう。


 からからと馬車の音が近づいてくる。

 ゲームでは母親似の金髪碧眼だったヒロインは、この国の標準的な色である赤茶の髪に赤銅の瞳をしているというが、彼女がヒロインであることにかわりはないのだ。彼女の行動によって私の未来が決まるのだから、しっかりと見極めなければならない。



 馬車が止まり、御者が開けた扉から出て来たのは可愛らしい少女だ。見た目は第二王子と並んでも遜色ないといえる美少女。惜しいのは髪が短いということだろうか。それにしてもなぜだろう、令嬢というより令息に見える。

 淑やかに歩みを進めるヒロインは庶民であったとは思えない淑女っぷりで、これがヒロイン補正かと恐怖する。ヒロイン、なんて恐ろしい子っ……!!


 ヒロインのヒロイン力に慄いていた私はだからこそ気が付かなかった。彼女が令嬢らしくない好戦的な瞳で学園を見つめていたことに。

 そうして彼女は改革を起こした。ズボンを履きたいが為に、ズボンを履いた女性の素晴らしさを広めるという偉業を成しえることで。






 あれ、ここは乙女ゲームの世界のはずじゃ……???

悪役令嬢(♀→♀)


悪役令嬢に転生した少女

婚約破棄されて豚に嫁がされるくらいなら、と色々と画策するも自業自得でヤンデレに進化した王子の前では無意味だった。


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