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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第4章
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◇奇遇、再会、暗転◇



 「だめ!レオ!逝かせない!」

 俺はレオに縋ったままヒールをかけた。


 グリーンのエフェクトがレオを包む。

 うつ伏せになった身体を仰向けに直し、顔を近づけて、息を確認する。

 自発呼吸はない。


 「お願い。還ってきて」

 心臓マッサージを試みる。

 そしてまたヒール。


 息を吹き返さない。だめ、このままじゃ届かない。

 気道を確保するために、喉を逸らせれば、首の片側に切り傷があった。

 ヒールのせいでもう塞がりかけている。


 ヒールが効いている。まだ間に合うかもしれない。

 俺は夢中で人工呼吸をして、心臓マッサージを続けた。


 「レオ。レオ。起きてお願い」


 夢中になってレオの名を呼ぶ。

 まだ早すぎるよ。俺のこと、もっと憎んでくれてもいいから死なないでくれ。




 「やはり貴女方でしたか」

 頭の上から声が降ってきて俺は、心臓マッサージをする手をとめず、振り返った。

 逆光でよく見えない。

 「その少年は、毒をくらっている。ヒールじゃ治らない」

 そういうとその声の持ち主は俺にどくように言って、レオの傍らに跪いた。

 「これを取りにいっていた。まだ間に合うといいのだが」

 そういうとレオの袖をまくった。そしてその腕を水で洗ったあと、注射をする。


 え?注射?


 「臓器のすべてがアレルギー反応を起こして不全をおこしているはずだ。あの蜂の毒は強い」


 彼は、注射針を専用の容器にしまい、さらにそれをインベントリにしまった。


 「おひさしぶりです。こんなところで再会するなんてお互いに縁がありますね。

 突然ですが貴女には急いで身の振り方を決めてもらわなくてはなりません。

 ここで、この少年と死ぬか、奴隷となって機会を待つか。わたしがお奨めするのは、ここは一旦身を落としても機会を待つことなのですが。…酷な事を言っているのは承知しています。大変申し訳ないですね、日本の方」



 いろいろ突っ込んで聞いてみたいことを一気にしゃべったその人は

 あのアジャールの砦で、一緒に怪我人を処置をしてまわったあの商人さんだった。


 「わたしは前世持ちでして。前世は日本人だったのですよ。貴女を見て、すぐに日本の方だとわかりました。懐かしい、本当に懐かしい」


 何ということだ。前世が日本人?それがここで転生?で、何故俺に死ぬか奴隷の二択をせまっているのだ?


 「と、その前に、この少年を保護いたします。いいですね、このことは内緒ですよ」


 そういうと商人はインベントリからただの扉を出す。

 その扉を開けると何もない空間が広がっていた。

 「さ、こちらですよ」

 レオを抱きかかえると、商人は扉から何もない空間に入るので俺も続けて中に入る。

 「ふふ、似てますでしょう?あの全日本人に親しまれていたアニメの…」

 「ど●でも●ア」

 俺は言いながら、半信半疑だった。

 「…それを真似たものですよ。わたしの作った亜空間に繋がるドアです。

 本物だったら、元の世界と行き来できるのですが。残念です」


 商人さんは俺を手招きした。

 「ここにいる限り、この少年は今の状態のままです。これ以上死に近づく事はないでしょう。ここでわたしの作った回復装置にこの少年を入れますから、貴女が彼の命を再生させてください。たぶんそれしか方法はないでしょう」


 商人さんが何か合図をすると、足元から巨大な繭状のものがせりあがってきた。

 「生命の蛾の女王用のゆりかごですよ。この中に少年をいれ、貴女からマナを受け取る事によって『再生』が促されます。あなたの髪をちょっと拝借しますね」

商人さんはそういうと俺の髪を練り込んだ小さな人形を作った。

 「これはアンテナです。貴女から『マナ』を受け取るためのね。そして『再生中』は魔法を使うことが難しくなります…ここでマナを吸い取られるからですね」

 人形はふっと俺そっくりの姿になって繭の中に寝かされたレオの手をとる。

 俺から何かが抜けていき、人形を経由してレオに注がれていくのがわかる。

 身体がだるい。


 「この亜空間を貴女にあげますから、マナを注ぎ続け、彼を助けなさい」

 商人は真面目な顔になって俺に言った。


 「わたしは所謂『完全奴隷』です。主人のいうことには逆らえません。

 さきほど『主人』よりこの少年を自由にしてよいという言質はとりましたが、あなたについて、助けてあげられる命令を受けていません。

 わたしが受けた命令は『魔石の回収と部隊の撤退、我々が関与したという証拠を残さないこと』です。ゆえに貴女を元のアジャールやリスボレイに戻してあげることができないのです。…証言者を作ってしまいますから。」


 俺は悲鳴をあげたいのを堪えた。

 「言いません!絶対に。レオを助けてもらえるなら、貝になります!」


 商人さんは目をつぶった。

 「あの映画はよかった。懐かしい言い回しだ」

 そして目を開けると断固とした口調で言った。

 「貴女を他所の国に売り飛ばします。たった一人で違う場所で生き残る事は難しいでしょう?」



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