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JKだけど異世界で真の漢に俺はなる  作者: 相川ミサヲ
第1章
21/78

◇ベクトル反転◇

例えば50円を取り戻すために1000円分の労力をつぎ込む。

それを700~800円の時給でやらせたりするわけです。

そりゃ…業績のびんわ。と愚痴をちょっと。


 明日が誕生日という日、レオはようやく復活した。


 目が覚める迄、枕元に立って、ヒールをかけながら、

 耳元で「あれは夢あれは夢あれは夢」

 と囁き続けてやった。


 別にレオの罪悪感を軽くしてやるつもりでしているのではない。主に自分の罪悪感からだ。俺に精神感応系の素質があれば、多少でも効いてくれるに違いない。


 あんな怪我を負わせるつもりじゃなかった。自分の放ったへろへろ魔法があんな結果になるとは。

 言えなかったよ。アバラが何本か逝ってたとか。過剰防衛だと言われても仕方がない。


 「あれは夢。レオの心の恐れが見せた夢、あんな事をしなくてもウィルもレオも強いからもう傷つけられない」


 それは願いだったかもしれない。大切な人が傷つけられるのは嫌だしな。

 アバラを折った本人自身が言うセリフではないだろうが。



 とぼけているのか、熱で忘れているのか(俺の願望)、目覚めたレオは、前のレオに戻ったかのようなふるまいだった。


 にこにこと笑いウィルやクリスと話すレオ。

 あ、ウィルがレオに説教をはじめた。

正座させた。

 クリスが時々暴走しそうなウィルをなだめている。

飴と鞭だな。いいコンビだ。

 ウィルが俺に了解をとって俺の固有能力「魔術の素養」をバラした。

いい考えだ。そっち系統の能力絡みで俺を保護しているという流れにするようだ。

 いろいろつつけばボロが出るだろうが、レオの奴、ウィルに心酔してるからな、信じるだろう。

 対してクリスは半信半疑なようで軽く首を捻っている。



 それから、ウィルは俺を手招きして仲直りするように言った。正直その裁定はどうかと思う。子どもの喧嘩でもあるまいし、フツーの女子ならトラウマだ

 PTSD発症してこの先の人生に影響が出るかもしれない。

 でもレオも「脅かすつもりで本当にするつもりはなかった」というので

俺も憤りを治めた。


 あのまま無抵抗でいたら、本当にレオは言葉通り脅かすだけだったのだろうか?

 問答無用で往復ビンタという実力行使に出た以上、何らかのことはされたかもしれないな。


 あ、ビンタの事は言わなかったっけな。俺もコンビ発動の魔法は言ってない。仕方ない痛み分けということにしよう。


 あと、自衛のためだ、レオと二人きりにならないよう気をつけよう。


 アイツヤンデレダシ、コワイヨ


 まあ明日は成人式らしいからな。俺もいつまでも拘っているようなそぶりはやめよう。と、いうか、もう俺の方に関わってこないでほしい。


 ため息をつきつつ、自分の分とウィルと何故かクリスのお弁当を詰めていると、何故かレオが物欲しげが顔をして近づいてきた。


 「オレの分は?」


 「え?お弁当?」


 欲しいの?それとも罠なの?


 おそるおそる自分の分をレオに渡すと、大事そうに受け取っておいてこう言いやがった。

 「…俺が毒味してやるよ。」


 ファ?!!


 「…兄さんも、クリスも食べる物だから、俺がちゃんと食えるか見てやるよ」


 フェ?!!!


 何を言いやがってくれるのだ?。


 「いやべつに、変なもの入れてないし、てか、レオは病み上がりなんだからちょっとキツいんでないの?肉とか揚げ物とか」


 「じゃ、俺のは別に作ってよ」


 フォェ?!!!


 「今度依頼受ける時は、俺も行くからちゃんと誘えよ。…変な虫がつかないように見張らないと。」


 フォェェェェ?!!!



 もしかしてもしかして。

 俺が自意識過剰じゃなければ…

 ウィルに向かってた、執着のベクトルが…

 ぐるんと回ってひっくり返って

 俺の方に向かって


 キターーーーーー?????


 なんでそんなに慈愛が満ちた眼差しで俺を見るんだ!。


 そ、そんなに寄るな。

 ひ、人にはパーソナルスペースというものがあってだな、丁度いい距離感てもんがあるんだよ!

 お前が今、侵犯しようとしているのは俺が快適じゃなくなる距離なんだよ!


 冷や汗をダラダラ流しながら後ずさると、レオの奴は楽しそうに笑った。


 こええよ! こええよ!ヤンデレコワイ!!


 なに?君、ON/OFFしかないわけ?


 ベクトルの向きは変わっても、執着の運動エネルギーそのままだよ!


 クリス、早弁しながら「若いって迸るね」ってやめて?

 ウィル、他人事のように「はぁ…俺も恋愛してみたい」とか非モテの人のセリフをとるんじゃありません。


 そしてスミス夫人「持病の癪って…何かしら」って今、気にするべきはソレじゃないって!


 そして、そんな騒ぎの影で「強制トレイン」だとか「宝物庫持ちの『完全奴隷』の商人」とか、希少な魔石の盗難とか、うやむやになってた。



 なんか、そういうやっかい事に限って、後々関わってくるような気がする。


 俺は運がよくない。異世界へ転移しちゃうぐらい。


 俺が回収する事にならねばいいのだが…



 とりあえず素振りだ、素振り。


 無の気持ちになりたくて俺は竹刀をふることにした。







 「『持病の癪』って…なんかいかがわしそうな響き…」


 別にいかがわしくないから!スミス夫人!


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