ぷろろーぐ
僕――山本信太郎は叔父さんが大好きです。
小さい頃からよく遊んでもらってて、僕にとってはお兄ちゃん、という感じでした。まあ、お父さんのお兄さんなんですが。
普段は世界中を飛び回ってるらしいですが、どんな仕事をしているのか僕は知りません。
お父さんに聞いても
「どうせ分からないから。変なことを覚えてもらっても困る。」
と言って教えてくれません。意地悪です。
そんな叔父さんはウチに来る度に見たこともないお土産を持ってきて、いろんな話を聞かせてくれます。たとえば
「世界で1番高い山に登った。しかも雪男を見た。」とか
「ジャングルの奥地に住む部族に会ってきた。奴ら、俺のこと食おうと襲ってきやがった。」とか
「インドで釈迦の野郎とバトった。楽勝だった。」とか
とにかくすごい叔父さんなんですが、時々海外以外の話もします。高校時代の思い出です。
いわく、「あそこほど楽しい学校はない。」「もし違う高校に通ってたら今とは違う、面白味のない人生だった。」「一生の友達が何人もできた。」
叔父さんにとって素敵な思い出らしく、お酒が入るとよく「あいつら元気にやってるかな…」と、しみじみ言ってます。
そんな大好きな叔父さんからそんな素敵そうな学校の話を聞かされていたら憧れも持つわけで。
僕は、叔父さんの通ってたF高校に見事受かりました。