女魔王、カレーライスで死にかけのエルフの少女を救う。
一時休載のつもりでしたが、執筆再開致しました。よろしくお願い致します。後、登場人物が多すぎて訳が分からなくなるかも知れませんが、ご了承下さい。
「生贄!?」
「実は、マディクス国の貴族がドラゴンを召喚する紫色のダイヤの欠片を持っていて。その欠片からドラゴンを召喚するんだ!! そのドラゴンでエルフの生命エネルギーを吸収して殺すんだ!! 毎日、毎日のようにやってきてはドラゴンの生命を強めるために。しかも、ドラゴンは金色のドラゴン、銀色のドラゴンと二体いる。僕の村には剣士、魔法使いがいるけど、全くドラゴンには全く太刀打ち出来ない。このままだと、エルフ族の村は消滅してしまう!!」
ドラゴン二体か? かなり、厄介だな。前、ナリアを救おうとした時は、ちょっと苦戦したのに、今度はエルフの生命エネルギーを吸収しているドラゴン…か。だが、こんな問題、放っておけないし、何とかしなければ。
「なぁ、エータ、領地に案内してくれないか? 私は、こんなこと、無視出来ないからな」
「当然です。魔王様のいうとおり、私も放っておけませんよ。こんな重大なこと!」
「あ、ありがとう、本当にありがとう!!」
「泣いている場合じゃない。立てるか、エータ?」
「う、うん。僕ら、エルフ族の領地はすぐそこだから」
彼が指を指す方向をみると、確かに領地がすぐそこに見える。
ステータスで見てみるか?
ステータスオープン
エルフ族の領地
住まい
エルフ族 百人
村長 一人
領主 一人
剣士 十人
魔法使い 五人
ふむ、かなり小さい領地だな。でも私のような外見でこの領地に入ったら、さすがに警戒されるんじゃないか? どうする? さっきのことがあるからな。
「あ、あのさ、私、魔王なんだけど、大丈夫かな? この領地に入って…」
「大丈夫だよ。魔王さんは凄く良い人だから。是非とも領地に入って欲しい」
「わ、分かった。じゃあ、エータ、一緒に入ろうか?」
「うん」
「せーの!!」
ートンー
一歩三人で一緒に踏み出し、領地に入ることが出来た。
こうして、エルフ族の領地に入っていった私達。特に何も起こらないな。ハー、良かった、警戒されなくて。
「テャーッ!!」
ーキンッー
急に、またか…。今度は背の高い、後ろにマントを羽織ったエルフが私、目がけて剣を振るってきた。いきなりかよ、なんなんだ、いったい?
私は右手の人差し指、中指の間で刀剣を受け止めている。
ーステータスオープンー
名前 グレアム
攻撃450
守備400
能力 剣術
「お前、魔物だな!! 弟に何のようだ!!」
「なんだ? このエルフは…」
「兄さん、やめてよ!! この魔王さんは全然悪い人じゃないよ!!」
「魔王だと!? この村を乗っ取りにきたのか!?」
「違うよ、兄さん! この魔王さんは、僕からモンスターを守ってくれたんだ。それにとても美味しい食べ物をごちそうもしてくれて」
すると、エルフは私との戦闘をやめる。
「ちょっと待て、何故魔王のくせに何故、弟を救った。何か悪巧みでもあるのか?」
「ハーッ。やっぱりか? やっぱり、こんな魔王の外見だと、誤解されるよな。仕方ないか?」
髪をクシャクシャと掻きむしると、
「あのな、魔王らしくないけど、その子を善意で救った。だから、私には何も悪巧みなんかしていない」
「だが、魔王と言えば、人間やエルフに害を加える魔族だろ? 昔からな、魔王はエルフに危害を加えてきた。だから、出ていってくれないか!?」
「兄さん! 何でそんなこと言うんだよ!! この魔王さん、凄く良い人なのに!!」
「エータ、お前がそんなこと言っても、所詮、魔王は魔王だ。この村にはいさせない」
「お兄さん…」
ナリア?
「じゃあ、どうして、人間である私が魔王様と一緒についてるか教えてあげようか?」
「?」
「私もね、エータ同様、魔王様に助けられたんだよ。マディクス国の貴族の奴隷になって虐げられているところを救ってくれたのよ! この私を」
「兄さん! 魔王さんは、僕の幼馴染のリアを助けに領地に入っただけなのに!!」
「エータ?」
「なぁ、分かって欲しい。この領地に入った本当の目的はエルフの生命エネルギーを吸収しているドラゴンを倒すことだ。だから、もし、私が迷惑行為をしたらこの村をすぐに去ってやるから安心しろ」
「そうか、まぁ良いだろう。一応、この領地にいることを認めてやる。だが、迷惑行為を犯したら、貴様はすぐにこの領地から出ていって貰うからな」
「ああ…分かった」
「ならば、ついてこい」
エルフである、グレアムは回れ右をして私に背中を見せて歩いていく。
それにしても本当に狭い領地だな。やはり、エルフ族は百人というのはステータス通りだな。
家も本の二十数軒くらいしかない。小さな領地だ。
「ここが、私の家だ。入れ」
ここが、グレアムとエータの家か? 入って良いのか? 扉の空いている前で立ちすくんでしまう私。ナリアはもうお邪魔しているというのに…。
「魔王さん、入っていいよ!」
「ほ、本当に良いのか?」
「もちろんだよ」
「なんだ、正々堂々していたらいいのに」
「いや、一応、外見、魔王だからな。急にこんな奴いたらお前達の家族、びっくりするだろ?」
「フン、気にするな。お前、エータのこと、助けたんだろ。まっ、父上、母上が帰ってきたら、そのことをちゃんと伝えてやる」
「そ、そうか。ありがとう」
と言ったその時だった。後ろからエルフの夫婦と思われる人達が帰ってきたのは…。
すぐさま、私をみて
「!?」
きゃああああああーっ!!
うわああああああーっ!!
悲鳴を上げ、急いで走って逃げて行ってしまった…。
やはりか…。こんな外見だと、みんなに怖がられてしまうだろうからな。
「父さん、母さん!!」
グレアムが追いかけるようにしていく。
「なぁ、私って外見がこんな怖いからちょっと損しているよな」
「兄さんが今、父さん、母さんの誤解をときに行ってるから。魔王さん、大丈夫だよ。安心して」
そ、そうだな。私は悪いことをしようとこの領地に入っている訳ではないからな。何も気にする程でもないか。
ーフウッー
なんだか、気を使いすぎたら結構疲れた。ちょっと椅子に座らせて貰うか?
「な、なぁ。エータ。家にある、椅子かりるぞ」
「うん、いいよ。魔王様、好きに座って」
「ありがとう」
家にそっとあがりこみ、椅子に座らせてもらった。
なんとも心地良い椅子だ。何だか、フワフワし、肌にやさしく刺激してくれるような椅子だ。とても気持ちが良いな。
「魔王様、気持ち良いでしょう。その椅子はね、この村にいる職人のエルフ族が作った椅子なんだ。何でも、動物の毛から摂取して、作っているみたいだよ」
おおっ、なるほど。凄いな。何か、モ◯◯みたいだな。
すると、先ほどの夫婦が戻ってきて、私をみて、すぐにペコペコと謝る。
「息子を助けていただいてありがとうございました。それと急に逃げ出してごめんなさい。あなたが、魔物の姿をしていたので驚いてしまい…つい」
「本当に面目ない。つい、あなたをみて驚いてしまった。だが、グレアムから事情を聞いたから安心している。この領地でゆっくりしていってほしい」
「こちらこそ、こんな外見で大変申し訳ない…」
「気にしないで、あなたがいい魔王さんだってもうわかったから。私達も全然警戒してないわ。それより、あなた方に何かごちそうしなきゃ」
「あっ、そうだ。父さん、母さん。魔王さんの作るカレーライス、とても美味しいよ。一度で良いから食べてみてよ」
「エータ、何言ってるの!? 命の恩人である魔王さんにどうして料理を作ってもらわなきゃいけないの!? 逆に私達が、料理を提供しないといけないわ!!」
「ほ、本当だよ。母さん」
「エータ!!」
「まあまあ良いではないか。この私が魔法でカレーライスを出してあげよう」
ーポンー
テーブルに出てきた、たくさんのお皿に乗っているカレーライス。その数にエータのお父さん、お母さんはびっくりしているようだ。
「あ、あの魔王さん? こ、これ、食べれるのかしら?」
「お母様、勿論です。是非とも食べてほしい」
私はウィンクする。
「で、でも、さすがに悪いわ。だって、息子を助けていただいた上にごちそうまでしてもらうなんて」
「気にしないで…。私の善意でしていることだから」
「そ、そうなの?」
夫婦同士で顔を一度合わせる。
「息子の命の恩人の方がそんなに言うならいただくか?」
「そ、そうね」
「それでは…いただきます」
ーパクッー
「な、何これ、凄く美味しい!!」
「こ、これは高級料理なのか!? こんな美味しい食べ物、エルフ族である、私達でも食べたことがない! それに凄い、心の底から力が漲ってくる!!」
「魔王さん、この料理は、いったい何!? もしかして、薬草から作った料理なの!? それにしても、全然苦くないけど」
「いえいえ、薬草なんてものでもないですし、高級料理でもありません。ただの一般的な食べ物ですよ」
「そんなことはない。こんな料理、生まれて初めて食べました。魔王さんからしたら、一般的なのかも知れませんが、私からしてみたら、びっくりするくらいの高級料理です」
そ、そんなに私の料理はエルフ族からしたら凄いのか? でも喜んで貰えて良かった。
ーコンコンコンー
扉を叩く音がした。
「どうぞ?」
扉が開かれると、エルフの男女、二人が扉を開けたようだ。何だ? この人達、どうしたんだ。しかも顔つきが深刻だ。
「どうしたの? リアちゃんのお父さん、お母さん」
「エータ君、いや、みんな、ちょっときてほしい」
すぐ、隣にある家に入らせて貰うと、女の子がベッドで起き上がれずに、息切れしている。
どうやら、苦しそうだ。
「きっと、原因はアイツだろう。あの貴族がドラゴンを使ってリアのエネルギーを吸い取っている影響でこんなことになっている。エータ君、もしかしたら、今日、ドラゴンに生命エネルギーを吸い取られてしまったらリアは死んでしまうかも知れない」
「そんな…」
エータは膝から崩れ落ちる。すると、彼の目に涙が…。
「魔王さん、何とかして…お願い…」
「エータ…」
「なぁ、さっき私達が食べたカレーライスと言う物をリアちゃんに食べさせてあげたら、元気が出るんじゃないか!!」
「カレー…ライス?」
「そ、そうか! 魔王さん、出来るよね!?」
「ああ、大丈夫だ」
ーポンー
私は少し小さなお皿に乗っているカレーライスを召喚した。
「これが…カレー、ライス?」
「さあ、リアちゃん。この食べ物を食べてみると良い」
彼女の口に一口運ぶ。
ゆっくり、ゆっくりと口の中で噛んで食べているのが良く分かる。
ーゴクリー
一口食べたカレーライスを飲み込んだようだ。すると…。
「美味し…い…もっと…食べた…い」
リアちゃんが少し笑顔になる。
そ、そうか。美味しいか? 良かった。ならば、たくさん、食べさせてあげよう。
私はスプーンを持っている手で少女の口もとに運ぶ。
ーパクパクパクー
魔法で出したカレーライスを食べさせてあげていると、次第に顔色も良くなっているのが、良く分かる。
こんなことにも効果があるのか? 私が魔法で出したカレーライスの力は以外にも凄いようだ。
「なんてことだ。私達が作ってあげた食事を食べらせても全く回復なんてしなかったのに…」
次第に息切れもなくなり、安らかな顔付きで眠っている。
一時はどうなるかっと思ったが、本当に良かった。私のカレーライスにも不思議な力があるんだな。ちょっと、びっくりだが…。
だが、もし今日、マディクス国の貴族がこの領地にやってきたら、二匹のドラゴンからリアちゃんを必ずや守らなければいけない!! 私は心の底からそう思うのだった。




