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女魔王、再度偵察する

 再び、あの国の偵察に行ってみるかな? まっ、あんまり私自身が、魔王にも関わらず、こうして直接出向くのは正直良くないと思うがな。だが、魔王軍のトップとして、この問題をほうっておく訳にもいかないし、何より、自分自身の目で確かめる方がいいに決まっている。早速、腹ごしらえしてから行くとするか。まずは、私の得意料理のカレーライスを食べてからだな。


 あー、やっぱり、自身が作ったカレーライスは美味しいな。辛すぎず、甘すぎることもなく、ちょうど良い。野菜のコクとルゥのコクもある。


 人間時代の田中比佐代たなかひさよの時の知識、経験がとても役に立っているのが分かる。まっ、それは差し置いといて、もうカレーも全て食べ尽くしたことだし、出発してみるか。


 バサッ、バサバサ。


「魔王様、何処へ?」

 話しかけてきたのは、クルーエルだ。

「偵察だ」

「また、ですか?」

「ああ…、仕方ないだろう。何せ、子供達があんな苦しんでいるのは見てられないからな。だから、私は偵察に行き続ける」


「あっ。魔王様」

 今度は、ナリアだ。


「どうした? ナリア」

「私も、連れて行って欲しい。魔王様の役に立ちたくて。よろしいかしら?」

 彼女がこう言うが…。どうしようか? もしかしたら、ナリアが一緒に行くことで、少しやりにくいことがあるかもしれんし。

 だが、彼女はあの国に対して、十分な情報量を持っている。連れて行くのはちょうど良いと思う。


「分かった。ついて行くのは構わないが、危なくなったら安全な場所に隠れるんだ。良いな」

「はい」

 こうして、私はナリアを連れて、ザラム国王がいる国に行くことになった。


「なぁ、ナリア。あの国とばかり表現しているが、実際は何て名前の国だ?」

「ああ…ごめんなさい。マディクス国でした」

「そうか。そのマディクス国では何人、いや、何千人くらいの子供達が奴隷になっている?」


「そうですね…。おおよそ、55564人くらいでしょうか? 大人もあわせると約、五十万人くらいいますね」

 ほう、かなりの数の奴隷だな。

「女の子は良いのですが、男の子は不遇です。性接待の対象にもならないし、使えないとなったら、最悪、貴族から、または、両親から殺されることがあります。その場合、マディクス国では罪に問わないことも多いです。それに女の子でも、容姿が醜いことと平行に使えないとなったら先ほど言った男の子同様に殺されることがあります。しかし、それは例外です。そして一番殺されてしまうのは、税を払えない大人達です」


「税とは?」


「教会、又は国に払う税です。彼らマディクス国は農民、職人、商人達から建物、土地等を横領をしていて、自分達の所有物にしています。そこから、税を払わせて贅沢な生活をしているのが現状です」


 ふむ、それは大問題だな。こんなこと許されるものではない。何としても、ザラム国王の悪巧みを阻止し、とめないといけないな。


「マディクス国では優秀な男の子はザラム国王を護衛するための騎士に、そして使えない男の子、容姿が美しくない女の子は農奴になるしかありません。職人の場合は先祖代々から続いているところがありますので、あまり関係ありません。そして国王の性接待をしている女の子達は国王次第では王宮に勤めることができます」


 なるほど。詳しくは少し分かりにくいが、この異世界は何となくだが、中世ヨーロッパに少し似ているところがある。勉強していたから、中世のことは何となくだが、少し分かることがあるからな。

 後、気になることがある。この異世界に魔王城が存在しているというところは中世とは少し違うあるゲームをイメージしたような異世界だな。っということは、冒険者ギルドとかも存在しているのか?

 そういえば、あの国王…賢人君を勇者に就かせていたな。


 そう考えて暫く彼女を連れて飛んでいると、森の中にある村が…。そして向こう側には建物がたくさん見えるな。

 前にナリアちゃんを助けた場所は確か、ここらへんだったよな。でも、ここの場所はあまりなんともなさそうだ。そりゃそうか、領主=貴族を追っ払ったんだもんな。


「魔王様、この場所は土地が狭く、あまり場所もいいところではないので、人もそれほどおりません。領地も小さいですし、次の向こう側にある都会に行ってみませんか? あそこのある街なら人もたくさんいるので、農奴の人達もたくさんおります」


「そうか、じゃあ、行ってみようか?」

「あっ、はい」


 バサッバサバサッ


 暫く飛んで街に着いてみると、真上から空を飛んでいる光景に摩訶不思議そうな目で私達を見上げている庶民達。

 ヒソヒソ話するものもいたり、指を差したりしている者もいる。

 えらく見られているな。ちょっとびっくりさせているのかも知れん?


「ここだな」

「そうですね」

「降りてみるか?」

「はい」


 漆黒の黒い翼をゆっくり動かして地面に降りる。

 何か、警戒されているな。それもそうか?

「な、なんだコイツ。しかも、人間の女の子、連れているぞ!!」

「き、きゃあ!! もしかしてモンスターかしら。人間をさらった!?」

 何か、険悪な雰囲気になったな。ここで私が魔王だなんて分かったらさらに庶民はパニックになるかも知れん。

「お、おい、しかもコイツ、魔物だぞ!! 角を生やした…」

 ま、不味いな…。この展開は…。


 わああああああああーっ!! 逃げろーっ!!

 庶民達の叫び声が聞こえてパニックになる。


「べ、別に私はお前達に危害を加えにきたのではない。お前達をザラム国王から救いたくて!!」

「魔王様、ごめんなさい。私のミスでした。今は一旦逃げましょう」

「ナリアのせいじゃない。でも、今は逃げるしかないかもしれん」


         ー高速移動ー


 急いで、高速移動でその場から逃げてきた私とナリア。森の中からか結構静かだ。


「森の中だな。ちょっと歩いてみるか?」

「あっ、そうだ。私がいたあそこの領地に行ってみません? 私が庶民の人々に事情を話したらもしかしたら、魔王様のこと、分かってくれるかも…」

「い、いけるのか?」

「多分、場所が分かっていけたらいいんですけどね」


 でもここらへんだと、多分人々には見つからないだろうな。まっ、こうして、ナリアと手を繋ぎ歩いていて、彼女の手の温もりが本当に子供というか、人の温かみのような感じだな。


 わぁー、助けてーっ!!


 なんだ!? 男の子の悲鳴か? 


「魔王様、悲鳴が聞こえる方向に向かいましょう!?」

 急いで、悲鳴の聞こえる方向に向かう私とナリア。

         ー高速移動ー

         ーシュッー


 素早くたどり着くと、モンスターが耳の長い男の子を襲おうとしている。一方で男の子は尻もちをつき、後ずざりをしている。

 もしかして、この男の子、エルフか? 


 そういえば、現実世界のゲームか、小説の話かなんかで聞いたことがある。異世界の話かな? ライトノベルにも出てきているな。確か、外見は人間と似ていて、耳が尖っている。さらに頭も人間よりも全然いいらしい。それくらいでしか印象ない。

 そ◯◯◯◯◯◯◯◯ンが有名なアニメだったけど、私、それほど見ていないし。一話くらいだっけ、ちょっと泣いたのは。


 私はエルフの男の子を前に出て、モンスターが危害を加えないように両腕を広げて守っている。

「やめろ! この子に危害を加えるな!」

 私は上からモンスターを睨みつける。


「な、なんだ? お前? 魔物か?」

「私は、魔王だ」

「魔王…何故、魔王がエルフを庇う? おかしいぞ!!」

「いいだろう。それぐらい…。さあ、ここから立ち去れ!」

「立ち去るのは、ごめんだ。邪魔するのなら、お前にも危害を加えるぞ!!」

モンスターは棍棒を私に振り回してきた。

「そんなもの…効かん!!」


          ーバキッー


「ば、馬鹿な、こんな奴のアッパーで棍棒が砕けるだと!! お、覚えておれ!!」


       ードシドシドシドシドシー


「チッ。あいつ、何処のモンスターか知らんが、今度あったら教育しないといけないな」


「あ、ありがとう…」

エルフの男の子が私にお礼を言う。

「気にするな。こんなことは朝飯前だ」

          ぐうーっ。


「お、お腹減った」

「おっ、そうか。なら、私が魔法でとても美味しい食べ物を出してやろう」

料理魔法でカレーライスとスプーンを彼の前に出してあげた。


          ーポンー


「な、何? これ?」

「カレーライスっていうんだ。美味しいぞ、食べてみな」

「い、いただきます」


          ーパクー

「お、美味しい。何これ? こんな美味しい食べ物初めて食べた!」

 すると、ナリアが口を挟む。


「美味しいでしょう。私も初めて食べた時、ほっぺたが落ちそうなくらい美味しかったよ!」

「こ、これ。本当に美味しい!」

 エルフの少年は夢中でカレーを食べている。


「君の名前、聞いてなかったな。私の名前はアリクシルエットだ。これでも魔王なんだけどな。よろしく」

「私はナリア、よろしくね。エルフさん」

「魔王さん、ナリアさん。助けてくれてありがとう。僕は名はエータです」


「エータか、よろしくな」

 でも、彼はカレーを食べた終わった時、下を向き俯き泣いてしまった。気になった私は…


「どうした…何か悩みでもあるのか?」

 すると、エータは頷く。

「何でも相談してくれ。悩みは聞いてやる」


「じ、実は…」

 私とナリアは唾を飲み込み、真剣な表情で彼の話を聞くと…。

「僕の幼馴染のリアがドラゴンのエネルギーの生贄にされていて、このままだと、彼女が死んじゃう。魔王様、助けて!!」


暫く休載致します。申し訳ございませんがよろしくお願い致しますm(__)m。

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