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Inosennto Actors Online〜その人形は誰がために〜  作者: 赤烏りぐ
序幕〜それは子供のように無邪気に〜
9/16

なんで待たなきゃいけないんですか

 さて、皆様はこのゲームのモンスターに積まれているAIについてご存知だろうか。この IAOのモンスターには特殊なAIが積まれており、ある一定期間敵対者の情報を次の自分へと共有するというものがある。もともとは狩り場を占領してレベリングをすることができないようにするために、敵をだんだん強くしていくものだった。しかしどういうわけだかAIは相手への強い感情を次の個体へと受け継がせてしまうようになったのである。


 つまりどういうわけか、今の(タレイア)の状況を見てもらえればわかるだろう。ログインをして扉の奥に鎮座している亀をどうしようかと考えているところで事件は起きた。


「んー、歓迎ムードってわけじゃないね!」


 リスポーン地点の前に群れていたボアたちは僕のことを見つけた途端に血相を変えて迫ってきた! おもわず振り返って走り出して扉の中に飛び込んだ、幸いボアが迫ってくるより早く扉が()()()()ため地下での集団爆殺されることはなかった。


「え、扉が()()()()?」


 そう、扉が閉まったのだ。この空間で閉まる扉は唯一つ、ボス部屋しかない。


「心の準備をさせてほしかったなぁあっぶねえ!」


 不慮の事故だろうとも自分の領域に入ってきたものは許さないとばかりに、目の前に数発の雷の玉が飛んでくる。とっさにその場から飛び退き体制を整え、相手に【鑑定】をかけた。


ーーーーーーーーーー

 フォートレスタートル LV18 

 歩行不可 

 非生物適応魔力生成ユニット装備 効果 魔法強化 体力半減

 甲殻部物理ダメージ無効

ーーーーーーーーーー


 ツッコミどころさんが顔を覗かせてるけどこの際見なかったことにする。しかしまあ、この亀動けないとかいうデメリットが関係ないくらい弾幕がすごい!


 さらに弾幕を抜けて攻撃を仕掛けようにも物理無効とかいうせいでこっちのナイフのほうが壊れないか心配になってくる。

 

「打つ手がないわけではないけど……」


 相棒であるコンバットナイフが全く聞かないとなれば僕の持てる攻撃手段はボアの角、まあ爆弾しかないわけである。しかしこいつの数が限られてるため迂闊に投げて全く効きませんでしたーとなったらシャレにならないわけである。


 ならどうするか答えは一つ


「美味しくいただいてくださいよ!」


 弾幕を再度くぐり抜けてやつの顔面に爆弾をぶち込んだ!ブレスを吐こうとしていたようでおあつらえ向きに口まで開けてくれちゃってまあ、なんて献身的な子!


「グオオオォォ!!」


「多分聞いてるっぽい……? うわぁ、口の中が燃えてるよ。」


 炎上の追加ダメージも負いつつよほど爆発が堪えたのか狙いなどつけずに自分の周りに雷の魔法を展開してあたりにばらまいている。うわ、こっち飛んできた。


「何回でも爆弾くらいぶちこんでやる!」


 定期的に吐いてくるブレスをうまいこと接近して躱しながら、口に爆弾を放り込む。これを3セットほど続けたあたりでフォートレスタートルに変化が生じた。


 まるで鉄板がひしゃげるような、というか鋼鉄製であろう甲殻の二箇所がものすごい音を立てて変形しだしたのだ。そして中から出てくるのは真っすぐ伸びてきた人間一人は中に入り込めそうな主ほ「ドガガン!!」


「まあ、なんかヤバそうなのが出てくるなら動き出す前に壊すのがセオリーでしょう」


 ヒーローの変身シーンを待つ敵に、強くなるまでまってくれるラスボス、そんなの守る必要はないんですねえ、まあ実際はちゃんと作戦決めてから戦いたかったのに急にボス戦に突っ込まれたことに対する八つ当たりだったりする。


 そして僕は悠長に伸ばしてる砲身に一個ずつ爆弾を放り込んでやった、体の中から伸びているであろうそれが中から大爆発し、体内から焼き尽くされることでさすがの巨体も堪えたのか大きな咆哮を上げ、沈黙した。


「今の僕はシナリオクラッシャーだよ! ロマンなんてくそくらえだね!」


 そんな事を言いながらドロップアイテムを確認しようとしたところで今度は僕の頭の中にアナウンスが聞こえてきた。


《フォートレスタートルの撃破を確認》


《プレイヤーの転移を開始、同時にプレイヤーの装備に封印を……失敗、再度試行……失敗、封印の失敗を確認、簡易制限が可能……実行成功》


 そうしてまた、僕の意識は薄れて消えていった。



 

フォートレスタートル


とある実験により兵器として改造された亀。膨大な魔力と引き換えに移動能力がなくなり、生物らしい見た目も特殊な鉱石を混ぜた甲殻で覆われ見えなくなった。魔力生成ユニットを装備しているため魔力が尽きなければ生き続けることができるが、使用できる攻撃の燃費が悪く長期戦ができないことが発覚し地下に放棄された。



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