目を背けてきたけど限界はくるもの
「ついたよ!先輩にもここ紹介したかったんだ!」
アンとレオに連れられて来たのはセントラルの大通りから少し離れた場所にあるお店だった、活気のあった噴水前の店とは打って変わってあまり綺麗とは言えない寂れた外見をしている。
「ここは……【装備屋サンタナ】?」
「そうだよ!ベータの時からお世話になってて、今の装備も全部ここで作ってもらってるんだ、ほら!入って入って!」
アンに勧められるがままに扉を開いた。意外なことにとても綺麗でおしゃれな店内となっていて見るからに高そうな防具などが並んでおいてあった。
すこし店内を眺めていると奥から人が出てきた。
「お、いらっしゃい!って紅白コンビ……とだれだい?」
「ん……いらっしゃい」
現れたのは赤い髪にトンカチを持った女性とでっかいマフラーをぐるぐるに巻いた大人しそうな男性の二人だった。てかこの二人は紅白コンビって言われてるのね……
「は、はじめまして!タレイアって言います」
「私はユーリ、見ての通り鍛冶師をやってるよ。ほら、お前も挨拶くらいしときな!」
「……ウルガ、よろしくね」
活発で人当たりのいいユーリと静かで無気力なウルガ、この真反対な二人はアンと付き合いが長いらしくこのゲームに誘った張本人らしい。
さっそく装備を作ってもらうことになり、奥の作業場へと通された。先程までのオシャレなカフェのような空間とは異なり鍛冶に使うのであろう炉や作業台が並んでいた。
「お前さんは武器は持っているんだよな?なら私はそれを見よう、ウルガはとりあえずいい感じに服作ってやんな」
「ん、りょーかい」
ウルガはさっさと自分の持ち場であろう作業台に行き黙々と仕事を始めた。んー女の人と二人っきりって気まずいよね……
「あんた気まずいなあとか思ってんじゃないだろうね、「え、いや」ほら肩の力抜きなよ。とりあえず武器を貸しな」
言われるがまま腰にくくりつけたままの相棒を手渡した、このナイフを作って以降鉱石の加工がうまく行かず、結局この一本のみしか手に入ってない。
「お、お前さん……これどこで手に入れたんだい!何だいこの魔力の通りやすさに硬度、こんなの見たことないよ」
「痛い痛い痛い!ユーリさんストップぅ!!」
ナイフを渡した途端に人が変わったかのように興奮したユーリさんが僕の腕を掴んで胸元に引っ張り聞いてきイタタタた!あでも柔らか……痛い痛い!
いつの間にか後ろにいたアンに頭をひっぱたかれた……解せぬ
「たしかにこんな色の鉱石見たことない……」
アンも食いついてきたため最初のマップで石ころをクラフトしたこと、そのクラフトした鉱石をナイフに加工したことを包み隠さず話した。
するとユーリもアンもすごい微妙な表情をしていた。もしかして嘘の話をしたと思われただろうか。
「本当だからね、僕嘘つかないからね!」
「多分そこじゃない」
弁明をしようとすると作業を止めて休憩をしていたウルガが話を遮って割り込んだ。
「そもそもクラフトってまともに使うことができない死にスキル、説明だけ見れば生産職はこのスキルだけ取れば良さそうだけど実は罠。このスキルの使い方が『イメージ』だけなのが問題、全く使えない、作れてもちょっと金属を曲げるとかしかできなかった。僕も今回は取らなかった」
ウルガがユーリを止めてくれたおかげで落ち着いたのかユーリが続けた。
「まあ、そういうこったい。クラフトってスキルはなんというかその……産廃スキルってやつでね?理論上は万能の生産スキルなんだがね、使い手がいないんだ。だからこそ、お前さんのそのナイフは異常なんだ」
「うん、先輩の話聞いてる感じこの世の終わりみたいなビルドしてんだよね……ちなみに自律人形使ってるプレイヤーもいないから多分てか確実にオンリーワンだよ」
うん、だよね……実は心配してたんだ、ベータのプレイヤーが作ったであろう攻略サイトを見ても自律人形もクラフトも……なんなら僕の持ってるスキルほぼ死んでるって。
ちょっと落ち込んだのを察したのかユーリは僕の肩を叩いてきた。
「まあこのゲームにはどんなものにも可能性が詰まってんだよ、実際クラフトでこんな切れ味のナイフが作れたんだろ?きっとうまくいくさ、ほら!もう少しで装備も出来上がるから、向こうで待ってな」
ユーリに半ば追い出されるように僕とアンは工房から出てまた応接室に戻った、のだがそこには部屋の隅っこで三角座りしているレオがいた……ごめん
アン「レオ君影薄すぎて忘れてたwww」
レオ「解せぬ……」
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