宇宙開発と開拓の一面
「忘れ物はないな?」
「ああ、大丈夫なはずだ」
そんな事を言いながら、発着場へと向かっていく。
月面に建設された基地。
今後の宇宙開発を目指して作られた生活空間。
今後、他天体に向かう際の、人間が他惑星で居住するための。
その研究の為に作られた場所。
そこから今、地球への帰還をする者が出立しようとしている。
半年にわたる長期滞在。
それを終えた者達だ。
彼らはこの月面基地における生活が可能かどうか。
低重力がどれだけ人体に影響を与えるのか。
それを確かめるために、この場に滞在している。
その任務を終えて、ようやく地球への帰還となる。
「長かったな」
「ああ。
最初は楽しみにしていたんだけどな」
そう言って苦笑する。
ここにいる者達の大半は、宇宙への憧れの強かった者達だ。
だからこそ、志願してここまでやってきた。
だが、月面での生活は思ったよりも大変なものだった。
大きく作られてはいるが、それでも密閉された空間だ。
どうしても閉塞感がある。
しかし、外に出ることも出来ない。
基地の外は空気がない。
外に出れば確実に死ぬ。
そんな極限状態におかれてるのだ。
しかも、基地もまだ万全とは言い難い。
慎重に考えて作られてるが、どこでどんな故障がおこるか分からない。
なにせ、全てが初めてなのだ。
失敗や間違いも簡単におこる。
その為、月面基地というのは、とかくストレスがたまった。
常に拡張や拡大は続けられているが。
補修や改善も行われている。
それでも不安がつきまとう。
この月面基地での滞在が実験扱いなのも当然だろう。
まだ、使えるかどうかの検証を終えたわけではない。
基地が建造されて10年以上が経過するが、まだ問題の洗い出しが終わったわけではない。
今この瞬間に事故や問題が発生するかもしれない。
そういった可能性がつきまとうのが、宇宙開発の最前線たる月面基地なのだ。
それでも、他天体での生活実験のために。
また、資源の採取のために月面での活動は続けられていく。
犠牲がでないように注意をしながら。
もし出るとしても、それが最小限になるよう考えられながら。
そんな中で、半年の駐留を終えた者達が帰還していく。
いつ死ぬか分からない状況から解放される。
帰還する者は安堵をおぼえ。
見送るものは、羨望とかすかな嫉妬をおぼえる。
だが、それでもお互いに笑顔を浮かべる。
不平不満をいうような者など、この場にいる資格がないからだ。
「それじゃな」
「ああ」
「待ってるぞ、向こうで」
「必ず帰るさ」
そう言いながらこの場での別れを終える。
それもまた、この月面基地での恒例行事であった。
帰る者と、残る者との間で行われる。
幸いな事に月面基地は、大きな問題を起こす事もなく実験を繰り返していく。
多少の問題は発生したが、いずれも大きくなる前に解消された。
そして、問題が再発しないように対策や対処がされていった。
それこそ、基地の構造すらも変更して。
そうして洗い出された問題を解消する事で、後の宇宙開発を進めていく。
他星系への人類の進出に向けて。
今の人類は、まだその揺籃期にあった。
とりあえずこんなところで終了。
この世界の一面や側面を少しでも出せたらと思う。
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目に付いた部分の手直しはした
おかげで、文章量が増大
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