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【完結】夢の中でゲームをしたら歴史改変していた  作者: よぎそーと
本編

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63回目 新世界

 研究は更に進み、その成果は大きく世界を変える。



 実用化されていくロボット。

 労働力のかわりとなったこれらは、人を労働から解放していく。

 その成果は、人が代金を払わずに得られるようになっていく。

 またその活躍は目に見えるものだけではない。



 超小型のナノマシンなどは、人の目にとまらない微細な世界で活躍する。

 これらは超小型製品の製作製造で用いられる。

 他にも、人体の中の問題のある部分や病巣の治療などにも用いられる。



 更に応用として、原子分解・再構成なども行われている。

 全てにおいてこれが可能というわけではないが。

 しかし、これによりゴミの再処理・再利用がされていく。

 瓦礫を分解して資材に再利用などは当たり前に行わるようになっていく。



 これは遺伝子技術の向上と重なり、絶滅した動植物の復元にも繋がっていく。

 剥製でも何でもよい、遺伝子が残ってるなら、そこから再生が出来るようになった。

 絶滅した動植物の幾つがか、こうして蘇ってきている。



 とはいえ生命を再構築は出来ない。

 死んだ人間と同じ遺伝子や細胞を持つ存在は作り出せるが。

 それが死んだ人間と同一人物なのかは何ともいえない。

 少なくとも、霊魂や心といった部分についてはいまだ未解明だ。

 なので、死ねばその人はそこで終わる。

 そういう考えが生まれてきた。



 こればかりはどうしようもない。

 死ねばそれまで、人生は一度きり。

 これは絶対に揺るがすことが出来ない、自然の摂理なのだろう。

 だからこそ、一度だけの人生を大切に生きるべきなのだとも考えられていった。



 その恩恵は日本が最初に受け取っていく。

 こればかりは仕方がない。

 だが、時間差は出てくるが、他の国も同じように発展していく。

 友好国のフィリピン・台湾・満洲・オーストリア・トルコなどが、真っ先に恩恵を受けていく。

 日本から下げ渡される形になるが、提供される研究結果。

 これらと、日本からもたらされる生産機器。

 それをもって新技術・新製品を作り出していく。



 それが更に世界に拡散されていく。

 独立を果たした日本勢力圏の国々がこれを手にしていく。

 エチオピアやインド、東ユーラシア地域などがこれだ。

 また、アルゼンチンやブラジルも含まれる。

 日本との関係が比較的新しいので、どうしても差が付いてしまう。

 こればかりはどうしようもない部分だった。

 それでも、確実に恩恵や影響は行き渡っていく。

 時間がかかるが。



 そうした科学技術の集大成が地上に建設されていく。

 宇宙船の射出装置。

 マスドライバーだ。

 加速をつけて、地上から宇宙船を発射していく装置。

 これにより、ロケットの噴射による宇宙進出が変わっていく。

 比較的簡単に宇宙に飛び出す事が出来るようになる。




 そこから宇宙探査や調査が本格化する。

 他の星へと向かう事も。

 月や火星に向かい、拠点建設をしていく。

 やがては太陽系を飛び出して、他の星へ。

 そういう事も目指せるようになる。



 ただ、研究をそこまで進められるかどうか。

 ゲームの終了期限である2050年。

 それまでに宇宙探査までの研究を進めるのは難しい。

 時間が足りない。

 だが、うまくやれば、ギリギリで間に合いそうでもある。

 上手くやりくりしたいところである。



「まあ、でも、なんとかいけるか……?」

 悩ましいが、最後まで諦めずにやってみる。

 出来れば最後までいってみたい。

 攻略画面を見てみたい。

 そういう思いもあった。



 その後、2010年の宇宙船射出装置の完成。

 2015年、月面基地完成。

 同時期に火星基地建設計画開始。

 また、太陽系外宇宙探査計画も発動。



 2016年。

 太陽系外探査開始。

 無人調査船発進。



 2018年。

 無人の火星探査開始。



 2020年。

 火星軌道に有人探査基地建設を計画。



 2023年。

 火星軌道基地建設開始。



 2025年。

 火星軌道基地完成。

 月面基地拡大、月面都市と呼ばれるように。



 2030年。

 火星表面に基地建設。

 初の長期駐在員が降り立つ。

 太陽系外に向かった無人調査船からの報告も入る。

 地球型惑星の発見が世界にもたらされる。

 これを受けて、太陽系外の有人探査や入植が計画される。



 2040年。

 火星の地球化改造計画発動。



 2045年。

 火星の地球化改造開始。

 成功すれば、他の星への移住が具体化する。



 2050年。

 太陽系外有人探査開始。

 可能であれば地球化改造を行う事に。



 …………本当にギリギリだが、何とかゲーム攻略条件を揃える事が出来た。



「やった」

 それだけ言って終了画面を見ていく。

 地球軌道から飛び立つ探査船。

 地球と太陽を背景にして遙か彼方の天体を目指す。

 その姿が徐々に小さくなって、宇宙の姿だけが画面に表示される。

 そして流れるエンドロール。

 制作者の名前や参加会社が表示されていく。



 それが流れるのをぼーっと見ていて、ふと我に返る。

「それにしても」

 我が事ながらススムは本当に呆れた。

 夢の中でまでゲームをやって。

 挙げ句に最後まで攻略するのだから。



 だが、始めた以上は最後までやりとげたい。

 そういう思いもある。

 どこかでゲームオーバーになるかもしれないが。

 そうなったとしてもだ。

 出来る所までやって、それで終わりにしたい。

 やり始めると止まらない性格なのだ。



 なので、終わらせる事が出来て嬉しかった。

 それも、幾つかある成功した終わり方になった。

 それだけでも十分である。

「まあ、夢だし」

 その中だけでも好きな事をやっていたい。

 現実なんていう最悪のクソゲーをやってるよりはマシなのだ。



 それでも、目をさましたら起きて仕事に向かわねばならない。

 やりたい仕事でもなんでもないが、食っていくためだ。

 それが出来なければゲームどころではない。

 そして、ゲームをやるにしても、元手は必要になる。

 世知辛いが、これを無視するわけにもいかない。



「まあ、これが夢なら……」

 そのうち覚める。

 そうしたら、嫌でも現実を見る事になる。

 だから考える。

「せめて、今は夢にしがみついておこう」

 不毛であるが、わざわざ急いで現実に戻る必要はない。

 時間をかけてゆっくりとしていけば良い。

 そう思った。



 そしてゲームの方も終わりになる。

 そこに最後の選択肢が表示される。



『ここまでのゲームデータを記録しますか?』



 当然記録しておく。

 消しておく必要がない。

 もっとも、現実に戻ってもここでのデータがパソコンにあるはずもないが。

「……ちょっと残念だな」

 一生懸命にやった結果が残らないのは悲しかった。



 だが、そこで夢も終わりのようだった。

 意識がだんだん遠くなっていく。

 楽しい一時も終わりのようだ。

「でもまあ……」

 楽しめたからいいか、そう思って意識が遠ざかるにまかせる。



 そしてススムは面白くもない現実へと戻っていった。





 ────情報の書き換えを行います。

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