56回目 戦争再開、あるいは第三次世界大戦 2
日本軍、カナダに上陸。
それはカナダ・アメリカに激震をもたらした。
敵が強力だとはアメリカも分かってはいたが。
まさかこんなに呆気なく上陸をするとは思わなかった。
さすがにこれは予想外だった。
アメリカも日本の能力をしっかり分析していたつもりであったが。
その予想を遙かに上回っていた。
急ぎ、対策がとられる事になる。
しかし敵はもう目の前にきている。
対応策を考える時間がどれだけあるか。
当面は規定の方針通りに。
また、何か思いつく事があればそれを試す。
そんな場当たり的な対応を余儀なくされていく。
それと同時に、日本の動きを牽制していこうとする。
その為に、遠く離れたオーストラリアに呼びかけていく。
イギリス・アメリカ両国の主導で強化されたオーストラリア。
その軍勢に、北上してフィリピン方面への進出を要請する。
これには、オーストラリアに駐留していたアメリカ軍やイギリス軍も参加していく。
この駐留軍はその為に駐留していた。
いわば別働隊である。
作戦に参加するのは当然であった。
彼らはフィリピンへと向かい、上陸作戦を敢行する。
これにより、日本にとっての南方の最前線。
そして、経済的な結びつきの強い衛星国を潰していく。
それが無理でも、アメリカ側に投入する戦力を分散させる。
こちらを相手にするために。
本土を守るための陽動である。
ただ、日本の経済活動をある程度阻害したい。
ついでに、目と鼻の先に攻撃拠点を作りたい。
日本とインド洋をつなぐこの地域を制圧し、海上輸送路を遮りたい。
そういう思惑もあった。
簡単に攻略できるとは思っていない。
重要拠点なら、それなりの防備もしているはず。
しかし、日本そのものを相手にするよりは楽だとは考えられていた。
日本が最新鋭の兵器を他国に渡す事は滅多にない。
その事はイギリスやアメリカもつかんでいた。
たいていの場合は型落ちのものがほとんどだと。
そして、現在の型落ちならば、イギリス・アメリカと大差はないと。
そういう見込みのもとに進軍していく。
その予想はそれほど間違ってはいなかった。
確かに日本は最新兵器を気前よくばらまきはしない。
しかし、見落としてる点もあった。
日本の勢力圏の国々が、それほど劣った者達ではないという事を。
確かに日本の最新兵器を保有してる国はない。
だが、受け取った国がそっくりそのまま使ってるわけでもない。
彼らは彼らなりに改良し、改修していく。
その結果、性能は元々の状態よりは上がっていく。
例え型落ちでも、戦力として決して見劣りするものではない。
また、最新兵器を出し渋るのは確かだとしても。
全ての兵器がそうだというわけではない。
一部の兵器は提供している。
その事を出撃したオーストラリア・アメリカ・イギリス連合軍は思い知る事になる。
彼らは難なくフィリピンまで到着する。
拍子抜けするほど呆気なくだ。
警戒の必要性がほとんどないほどだった。
しかし、それは上陸直前までである。
いざこれから上陸という段階になって。
空と海からの攻撃を受ける事になった。
警戒していた連合軍は、即座に迎撃態勢をとっていく。
しかし、それもすぐに無力化されていった。
まず、レーダーがいきなり使えなくなった。
それが日本軍による攪乱だとはすぐに分かった。
この時点で、アラスカやカナダで起こった事は報告されている。
だが、分かったところで有効な対処が出来るわけがない。
やむなく、人の目による警戒が行われていく事になる。
それから彼らは空からの攻撃を受ける事になった。
上空に展開していた空母艦載機が、フィリピン空軍と交戦に入ったのだ。
とはいえこれもアラスカとカナダで起こった事の再現になる。
ほぼ一方的にフィリピン側のミサイルで撃墜。
空母艦載機のほとんどがろくな戦闘も出来ないままたたき落とされていった。
更に海上。
迫るフィリピン海軍の艦艇が、連合軍艦艇に攻撃を加える。
その全てが、日本より供給された対艦ミサイルによるものだった。
戦艦の主砲を越える射程から発射される攻撃。
レーダーが封じられてるので、その接近を察知出来る者はいない。
かろうじて目視で周辺警戒に当たっていたものがそれを発見する。
あわてて迎撃の為の対空攻撃が始まる。
もちろん、人間の手による射撃が当たるわけもない。
発射されたミサイルは狙い通りに連合軍の艦船に当たっていった。
この攻撃を受けた指揮官は驚くしかなかった。
電波妨害も、対艦ミサイルも日本が配備してるものだ。
言ってしまえば、対空ミサイルだってそうだ。
これらはイギリスやアメリカでもまだ配備が完全ではない。
性能だって低い。
そんなものを、日本の周辺国や衛星国が持っている。
それだけで驚きだった。
最新鋭兵器を他国に渡さないはずの日本がだ。
しかし、それは情報不足による認識である。
基本的には間違っていないのだが。
まず電波妨害。
これについては、フィリピンに駐留する日本軍が行っている。
配備されている電子戦機によって。
対空ミサイルと対艦ミサイルについては、日本から供給されたものだ。
確かにこれらはまず他国にもたらされる事は無いのだが。
日本は一計を案じていた。
これらは、保存用の専用収納器に入れられて提供される。
そして、必要な時以外は開封しない事になっている。
保存の為でもあるし、機密を守る為でもある。
今の段階では隔絶した超兵器なのがこれらだ。
流出したり、中身を解析されたらかなわない。
その為、簡単には開封出来ない容器に封入されている。
また、普段は駐留日本軍で管理されている。
必要な時に提供され、その場で開封される。
そんなわけで、戦闘機や艦艇などには誘導ミサイル運用能力がある。
誘導に必要な電探を搭載している。
さすがにそこまでは日本も遮ったりはしていない。
ミサイルが無い場合でも優位性を確保出来るようにだ。
このため、旧式機でも一部は最新に近い状態になっている。
そういった改修や改良も日本は請け負っている。
こういった形で各国の軍に最新兵器が提供される事はある。
なので、日本以外の軍が使わない・使えないという事は無い。
それを知らなかったのが、フィリピンに近づいた者達の不運だった。
空では対空ミサイルの餌食になり。
海上では対艦ミサイル搭載の小型艦艇に大破・撃沈されていく。
フィリピンに近づいた艦艇のほとんどが撃沈されていった。
上陸部隊を搭載した揚陸艦もだ。
生き延びたのは沈没を免れた一部だけ。
それらは這々の体でオーストラリアへと戻っていった。




