47回目 第二次世界大戦 5
軍勢の集結にまた何ヶ月もかかる。
それらを動かす作戦計画にも。
そうしてる間に、敵も準備をととのえていく。
アメリカで生産された兵器がヨーロッパに渡る。
アメリカで訓練を受けていた敗戦国軍人達も。
これらが各国に戻った事で敗戦国もそれなりの軍備を持つ事になった。
また、同時に第一次世界大戦の講和条約を破棄。
各国、日本への上納金を拒否していく。
国内から撤去させられた工場なども再建されていく。
稼働に至るまでにはまだ時間がかかるが、直にかつての生産力を取り戻すだろう。
もちろん、それを見過ごすススムではない。
準備がととのうまでは何も出来ないでいるが。
軍勢が集結し、作戦計画がまとまったところで行動を開始していく。
ユーラシア東部からヨーロッパ・北アフリカへの進撃が始まった。
これに対してイギリス・イタリア側は、元敗戦国を指揮して戦争を開始。
ヨーロッパ各国の兵力をロシアに集中させる。
また、日本側についていたオーストリアにも侵攻を開始した。
北アフリカはさすがにそう多くの兵力を派遣出来ないようだったが。
その代わり、南アフリカを主力にして、アフリカ南部への侵攻を開始する。
こちらの方は目標をエチオピアとしてるようだった。
この時点までで軍備を増強していたエチオピアは、南から北上してくる敵軍を迎撃していく。
数では不利だが、要塞に塹壕などをあらかじめ設置しておいたので、何とか耐えしのぐ。
この方面の敵軍の装備がそれほど良いものではないのも幸いした。
攻め込むことは出来ないが、迎撃するだけならどうにかなった。
北アフリカでの戦闘も硬直状態になっていく。
スエズ運河は日本側が攻め落としたが。
この方面に展開するトルコ軍も防戦に徹していく。
地中海がイギリス・イタリアの制圧下にあるので、そちらの方面での展開が難しいのだ。
だが、善戦してる方だろう。
攻め込めはしないが、やってくる相手を上手く撃退していく。
問題のロシアだが。
北はトルコが抑え。
東から満洲を中心とした軍勢が攻め込んでいく。
この時点では、満洲はともかく他の国や地域の発展はそれほどでもない。
歩兵に銃を持たせるくらいは出来ているが。
自動車や飛行機の保有はさすがに難しいものがあった。
それでも、まだ軽武装状態のロシアならばなんとかなった。
そのロシアを数で圧倒し。
ポーランド方面へと展開していく。
このあたりの地域はオーストリアの影響が強い。
その為、やってきた満洲などには協力的だ。
彼らはドイツ方面への備えに協力していく。
この間はオーストリアはイタリア・ドイツからの攻撃を受け続けていた。
この両者に合流してきたフランス・スペインとも。
かなり厳しい状況であったが、装備の差で堪え忍んでいた。
満洲がやってきたことで、その勢いが逆転していく。
再軍備を進めてるとはいえ、まだ十分な装備を持ってるとは言い難いヨーロッパ勢である。
ユーラシア東部よりも更に武装に難のある彼らだ。
満洲方面からの増援を得た事で、オーストリアは戦線を押し戻す力を十分に手に入れる事となった。
そのまま作戦計画に従い、ヨーロッパ制圧へと乗り出していく。
オーストリア・満洲軍は西に西にと進む。
ドイツは防戦も空しく押し切られていく。
アメリカからの兵器の輸入は続いていたが、それらの配備が追いついてなかった。
日本側としては、まだ敵の準備が完全ではない間に、ヨーロッパを制圧したかった。
ただ、ドイツは致し方ないとしても、フランス・スペインでは着々と再軍備がととのっていた。
また、もとより武装をしていたイタリアは、オーストリアでも一気に突破とはいかなかった。
兵器の性能そのものは、この時点で両者ともにほぼ同じくらい。
戦闘機は1500馬力級のエンジンを。
そろそろ2000馬力も目に見えてきている。
戦車も、両者ともにM4シャーマンやT34戦車相当の性能のものを配備している。
この部分はまず互角といって良いだろう。
ただ、数において日本側の方が上回っていた。
それが戦闘の結果に大きく影響を与えている。
加えて、自動車やトラックといった補助車両の数。
これが決定的に違ってきている。
今後はともかく、この段階において、その差は大きい。
アメリカからの輸送も相次ぎ、やがて数の差も縮まるだろう。
そうなれば、戦局はまた変わっていく。
事実、フランスとスペインでは続々と新部隊が編成されていた。
これらが戦場に投入されれば、状況は大きく変わる。
ただ、日本側もそれを見越している。
既に研究が終わり量産に入った新兵器を前線に投入していっている。
それらが均衡しつつあった戦場を更に変えていく。
ジェット戦闘機。
そして、戦後第一世代戦車。
これらがヨーロッパの戦場に出現していく。




