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44回目 第二次世界大戦 2

 インド・シンガポールを攻略した日本と勢力圏の連合軍。

 それらは足を一旦止めた。

 戦闘では勝ったが、占領はまだ完璧とはいえない。

 補給物資も待つ必要がある。

 その為、進軍はここで一度止まる事となった。



 ただし、動きの全てが止まってるわけではない。

 インドネシア攻略に向けての動きは進められている。

 この為に日本海軍の戦闘艦艇が集結。

 インドネシア方面へと向かっていた。



 また、空港なども建設して、航空機の投入も行っていく。

 地面をならしただけの簡易空港程度だが、当面の運用には使える。

 本格的な設備はその後に増設していけば良い。



 そうして戦力の増強がなされる中で、敵との交戦も発生する。

 インドネシアに逃げ込んでいたイギリス軍部隊。

 これらがオランダ軍と合流。

 日本への反撃を行おうとしていた。



 特にイギリス海軍はまだ戦艦なども健在だ。

 これらに加え、空母も送り込まれている。

 陸上兵力は大分削られたが、日本の海洋行動を阻止する能力はまだ保っていた。

 日本軍としてもこれを押さえつける必要がある。

 インドネシアへの上陸が難しくなるからだ。



 日本は頻繁に航空機による偵察を行っていく。

 空母も派遣して、より広域を探っていく。

 しかしイギリス・オランダも慎重になっている。

 下手に頭を出せば撃破されるかもしれない。

 その可能性を考えていた。



 また、狙いもあった。

 こうして時間が経過すれば、日本軍は上陸部隊を伴って出てくる。

 それに向かって攻撃を仕掛けるつもりだった。

 分かりやすいこの目標に向かって動けば、日本も出てくる。

 下手に動き回らずとも、敵を捕捉できる。

 それを狙っていた。



 その為にイギリスも航空機による偵察を行っていく。

 なので、空の上での戦いが起こる事もあった。

 大規模な戦闘にはならなかったが、小競り合いが連続するために結構な数の航空機が撃墜されていった。

 それは後の海戦の前哨戦であったのかもしれない。



 後日、大量の上陸部隊をのせた輸送船団がインドネシアを目指す。

 それをとらえたイギリス・オランダ軍も動く。

 また、この護衛のために日本も戦艦・空母などの大型艦艇を動かしていく。

 それらは輸送船団を守るように寄り添っていく。



 一部、偵察がてら隊列を離れるものもあるが。

 それも用が終わればすぐに本隊に戻ってくる。

 そのおかげで、一定の戦力が常に輸送船団にはりついてる事になった。



 それもそのはず。

 この輸送船団。

 司令官は護衛艦隊なのだ。

 戦艦や空母などの戦闘部隊ではない。

 護衛が主任務で、戦闘はそのついで。

 そういう位置づけになっている。



 そもそもとして、日本の軍構成が史実と変わっている。

 陸軍と海軍で別々の軍令部をもっていたりはしない。

 命令の出所は一つになっている。

 また、その職務は陸軍だけになっている。

 海軍が、また新設された空軍がこの職を占める事は無い。



 それは階級に顕著に表れていた。

 陸軍の最上級位は大将。

 空軍は中将まで。

 海軍にいたっては、なんと少将である。

 軍令部の責任者が大将限定なので、空軍・海軍の者がこの地位に至る事は無い。

 戦争はとは地べたの取り合いなのだから、これも当然の結果だ。



 また、その海軍であるが。

 少将という最上位になれるのは護衛艦隊指揮官のみ。

 戦艦や空母などの大型艦艇の担当者は、最大でも大佐止まりで出世は終わる。

 それらを動かす指揮権は、護衛艦隊にある事になる。



 その護衛艦隊とはなんぞやと言えば。

 輸送船などを守るための、文字通り護衛部隊だ。

 配備されてる艦艇も、基本的には小型艦が多い。

 史実における駆逐艦や海防艦、そして軽空母。

 これらによって構成されている。

 数の上ではこれらが主力だ。



 何より、見て分かる違いとして、菊の御紋の有無。

 これらは護衛艦や護衛用の軽空母などにはつけられている。

 しかし、戦艦や空母などの大型艦艇にはない。

 それらはあくまで主要任務では無い。

 本来の任務は護衛にある…………そう示す為だ。



 これらはススムの意向である。

 ゲームでいじれる組織構成をこのようにしている。

 こうでもしないと、戦闘部隊が勝手に戦闘を始めたりする。

 守るべき輸送船などをそっちのけで。

 本末転倒もいいところだ。



 なので、そういった勝手が出来ないように、指揮権を護衛艦隊に絞っていた。

 また、戦闘を主任務とはしなかった。

 近づく敵艦隊を撃滅したり、沿岸部の爆撃・砲撃をするにしてもだ。

「ゲームの中でくらい、ちゃんと仕事しろ」

 そう呟きながら、ススムは海軍の設定をしていった。



 ここまでやって、ようやく海軍は護衛の仕事をしていく。

 行動の中心が輸送船を守る事になっていく。

 敵の殲滅は進まなくなるが、それでもかまわなかった。

 必要な海路の確保。

 その海路に近づく敵の撃退。

 それが出来ればたいていの問題は解決するのだから。



 そもそもとして、戦闘艦艇が史実ほど多くも無い。

 戦艦であるが、金剛をイギリスに発注はしたが。

 発注はそれで終わり。

 同型艦も二番艦の比叡で終わり。

 その後の榛名と霧島は新規設計の巡洋戦艦になっている。

 性能も金剛などより上回っている。



 その後の扶桑・山城・伊勢・日向は一隻ずつ建造。

 扶桑を試験的に国産し。

 その問題を洗い出してから山城の建造。

 伊勢と日向も同じだ。

 史実のように何隻も同時に建造などはしない。

 そんな戦力は必要ないし、あっても維持費が重くなる。



 第一次世界大戦が終わったあと、その後を考えて長門と陸奥は作ったが。

 これとて、行動の余裕を持たせるためだ。

 補給や修理の順番を考えての事だ。

 戦場が拡大する事も考えてはいた。

 その為、もう少し数が必要かと思ったからだ。

 でなければ建造などしなかった。

 むしろ、今より削減すらしたかったくらいだ。



 他の空母や巡洋艦なども同様だ。

 数は史実よりも少ない。

 性能自体は、研究や工業力の上昇で上がっているが。

 主要な戦闘艦はそれほど多くは無い。

 それよりも、輸送船団を守る護衛艦を充実させていった。

 海上輸送においては、こちらの方が重要だ。



 現在、日本の海上交易路は広がっている。

 北はカムチャッカから南はフィリピン。

 さらにはタイの沖合まで。

 これだけの範囲の警備を考えると、どうしても護衛艦の数は必要になる。

 なので、海上輸送の護衛はある程度の規模が必要だった。

 このあたりは海賊も出没するからだ。



 生活が安定せず、海賊でもしないとやってられない者が多い。

 それを解消するために産業育成を各国各地域は進めているのだが。

 それもなかなか追いつかない。

 なので、海賊などはそれなりに出没する。



 苦しい生活事情には同情するが。

 それらを放置も出来ない。

 なので海賊出没地域の警戒や、船団の護衛など。

 これらはどうしても必要になる。

 このため、護衛艦隊は充実していた。



 おかげで、今回のインドネシア上陸作戦の護衛は充実している。

 潜水艦や航空機からの攻撃は即座に撃退可能になっている。

 実際、侵入してきた潜水艦が多数発見され、撃沈されている。

 空からやってきた敵戦闘機や爆撃機も輸送船団に近づく前に撃墜されている。



 もちろん、敵艦隊も接近してきていた。

 これに対して戦艦や空母などが動き出していく。

 だが、それらが到着する前に、殺到した戦闘機や爆撃機などが攻撃していく。

 それにより敵戦艦なども撃沈。

 残った少数の艦艇が撤退をはじめていった。

 艦船同士の戦闘に至る事もない。



 そもそも、敵艦船が接近したならともかく。

 撤退していく艦船を追跡したりもしない。

 任務の第一は、敵艦隊殲滅ではない。

 味方船団の護衛だ。

 敵が接近しなければそれで良い。

 この先はともかく、今は敵戦艦などを撃沈する必要も無い。



 そもそも、敵の根拠地なども判明してないのだ。

 公にはしてない秘密基地を拠点にしてるかもしれない。

 それらを探して見つけねば、攻撃もろくに出来ない。

 いたずらに艦隊を動かしても無駄になる。

 燃料がもったいないし、搭乗員の疲労も大きくなる。

 それに、艦艇が行動中だと、その分自由に動かせる手駒が減る。

 使い惜しみをしたくはないが、使いどころを間違えるわけにもいかない。

 なので、戦艦くらいの大型艦艇は、基本的にはそうそう動き回る事はない。



 そんなわけで戦艦などは華々しい活躍はしてない。

 しかし、護衛として追従してるのは敵に対して大きな圧力になる。



 戦艦と空母がいるなら、相応の戦力を用意しないといけない。

 しかし、現在のイギリス・オランダ艦隊ではそんな戦力を集めるのも難しい。

 増援は本国からかき集めてはいるが。

 それらが合流するまでまだもう少し時間がかかる。



 その間、イギリス・オランダ軍は、日本軍とその友好・同盟国の自由を許してしまう。

 少なくとも、インドネシア上陸を妨げるものはない。

 こうして日本軍を中心とした上陸部隊はインドネシアに上陸。

 一島ずつ攻略を進めていく事になる。



 上陸した地上部隊は都市や幹線道路などを制圧。

 インドネシア各地の独立運動家と合流していく。

 彼らとともに主要部分を攻略。

 制圧した地域を独立運動家に任せて独立させていく。



 もっとも、当初は保護領扱いとしていく。

 まだ政治体制が確立されてないので、文字通りインドネシアを保護する為だ。

 ろくに教育もされてない者が多い。

 それらを人材に、そして人財に育てていく必要がある。

 それが育つまでは、まだ時間がどうしてもかかってしまう。



 これは他国を見れば分かる。

 ようやくある程度形になってきたフィリピン。

 1800年代の最後のあたりに独立。

 そこからようやく発展の兆しを見せ始めた今に至るまで30年以上をかけている。

 日本のてこ入れが大きい台湾も、20年から30年ほどの時間をかけている。

 清の人材・体制を持ち込むことが出来た満洲も似たようなものだ。

 インドネシアも同じくらいの時間がかかるだろう。



 そんな状態のインドネシアを、独立したからと放置するわけにもいかない。

 ある程度軌道にのるまでは管理下に置くしかない。



 それでもインドネシアは何とか独立した。

 あわせてマレーも。

 この地域が発展していくにはまだ時間がかかる。

 だが、長い道も第一歩を踏み出さねばならない。

 結果を得たいなら。

 決して楽では無いその道を、インドネシアは歩き始めた。



 それはオランダ・イギリスを追放し、日本の勢力圏が拡大する事にもつながる。

 国益の観点からすれば、この地域の独立は日本にとって利益になる。

 少なくとも、敵対はしてないというだけでも。

 それが得られるだけでも、日本にとってはありがたい事だった。



 しかし、完全な勝利ともいえない。

 イギリス・オランダの残存部隊は撤退。

 いずこへとも無く姿を消した。

 むろん、全ての部隊が撤退できたわけではないが。

 それでも、多くの部隊が無傷で退いたのだ。

 後日それらは巨大な敵として立ちはだかってくるだろう。



 また、更に悪い知らせが届く。

 地中海からスエズ運河を通って、イギリス艦隊がインド洋に進む。

 それに続き、イタリア海軍も進んでいく。

 この二国の艦隊が日本の前に立ち塞がっていく。

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