40回目 いつもやってる事前の準備
朝鮮での騒動とは関係なく。
その期間は大きく動くことが出来ずにいた。
何かと準備がととのってなかったからだ。
しかし、騒動に対処してる間に、それなりの事が出来るようになってきた。
まず、カムチャッカ半島と千島列島、そしてベーリング海峡周辺。
このあたりに活動拠点となる基地を増設していった。
冬は使えないが、それ以外の時期には有効活用できる。
アメリカとカナダへの備えだ。
同様に、フィリピンにも様々な基地を建造していった。
これはオーストラリア方面を見据えてである。
また、インドシナへの警戒も兼ねている。
ベトナムにも同様に。
さすがにタイまでは難しいが。
しかし、知識や技術、ついでに資金を提供して自力での武装強化につとめてもらう。
つなぎとして、いくらかの兵器も提供していく。
特に東南アジア方面は、中華民国と中国地域への警戒と包囲をになってもらう。
ここからだけでも、援助経路が潰せるなら、それに越したことは無い。
問題なのはユーラシア東部、ウラル山脈の東側。
こちらも大幅に色々強化していっているのだが。
結果が出てくるまでもう少し時間が必要になる。
とりあえずは、日本で武器を生産して渡していってるが。
それだけでは武器が足りない。
訓練時間も必要だ。
日露戦争が終わってから25年以上は経っているが。
国の成長を考えると、それはあまりにも短い期間である。
たったそれだけで簡単に成長できるなら苦労は無い。
ある程度マシな状態になってきたが。
本格的に伸びていくのはこれからになる。
その時期になる前に情勢が不穏になってしまった。
避けられないとはいえ、もう少しその時期が来るのを遅らせたかったが。
こればかりはどうしようもない。
ススムの意思ではどうにもならない。
相手のある事なのだ。
その相手は日本への圧力をとにかくかけたいようで。
中華民国の武装状態がどんどん良くなっている。
イギリスから流れ込んでる武器が増えてるようだ。
中華民国もそれによって出来た余裕で工業力に投資。
自国の生産力もあげて武器の製造量を増やしている。
人口を土台にした兵数だけではなく、武装も強化している。
今はまだそれでもどうにか抑え込めるが。
時間とともにそれも難しくなる。
「引き延ばしもそろそろ無理かな」
戦争も覚悟していく。
だが、それでもあと少し時間が欲しい。
「あともうちょっと粘りたいよなあ」
どうにかこうにか引き延ばし、とにかく他の国の状態がよくなるのを待ちたい。
生産体制が確立して。
武器の生産が始まって。
それが行き渡って。
出来れば訓練もして。
それが出来るようになるまでの時間が必要だ。
「一年、二年…………出来れば三年」
贅沢な事を言ってるとは思う。
しかし、そうでなければ体制が出来上がらない。
日本勢力圏が戦闘態勢に入るにはそれだけ時間がかかる。
友好国もだ。
オーストリア、トルコ、タイ、エチオピア。
これらの国が1945年代の兵器を生産して揃えるまで。
どうにかしてそこまで粘りたい。
でないと、圧倒的な敵の物量に負ける。
もし敵が予測通りの陣容ならば、質量ともに日本側を圧倒する。
勝てないわけではないが、勝つのは難しい。
そして、楽に勝つなら、出来るだけ開戦を遅らせたい。
装備がそろっていくからだ。
そうして戦った方が有利になる。
その頃には敵も装備を揃えている。
兵器の質の差は縮まっている。
それでもだ。
今の段階では、こちらはろくに装備もそろってない。
生産できるのも日本くらいで、他の国の生産力は低い。
皆無では無いが、まだ育ってる途中。
最初の工場が建設され、そこで作られる物資によって新たな工場が作られる。
そういった時期だ。
国民も学問所で質を上げてる最中である。
兵器が生産されるようになるまで、まだ時間がかかる。
その時間を稼ぐために、今まで使っていた手段を用いていく。
敵国で不満や不安をあおり、武器を渡して騒動を起こす。
これにより敵の生産力を落としていく。
ついでに国内分裂で、一部地域を制圧したりも。
なかなか思うようにはいかないのだが、やっていればそれなりの効果は得られる。
これが上手くいけば、国内分裂もありえるのだが。
そのまま動乱や反乱を起こした地域が独立国家になったりだ。
そうなれば、敵はその対処に追われる。
出来ればそうしたいが。
そう上手くいくわけも無い。
とりあえず、敵の足止めが出来ればよい。
その程度でやっていく。
幸い、植民地での不満は高い。
また、それによる本国の不満や不安も高まっている。
それを更にあおっていく。
こういう時、日本が勝つことで植民地の安定が損なわれるのはありがたい。
ついでにまだ声をかけてない国にも声をかけていく。
イギリス連邦のオーストラリアやニュージーランド、カナダなどはともかく。
メキシコやブラジルやアルゼンチンなどの中央・南アメリカ国家には、一応声をかけていく。
味方にならなくてもいいから、敵に回らないように。
可能な限り中立を続けてくれるようお願いしていく。
出来れば仲間になってもらいたいが、そこは難しそうだ。
効果的な支援が出来るわけでもない。
アメリカの対抗馬になってくれればありがたいが。
今からだとそれも難しい。
研究結果や開発した技術で問題の無いものは渡していくが。
それを使っても、簡単には成長しない。
土台はある国々なので、あと5年もすれば立派に成長するが。
それでも今現在の状況に直接影響を与える事は無い。
だが、時間をかければ、である。
その間に成長してアメリカを牽制してくれるようになってくれればありがたい。
その為にも好感度を稼いでおきたい。
仲間にならなくても、敵にまわらない程度には。
そうした根回しなどをしつつ。
目の前に迫る中華民国をどうにかしていく。
とりあえず、海岸側から航空攻撃や戦艦の艦砲で沿岸部を破壊していく。
ある程度の時間稼ぎになれば良い。
出来れば上陸して首都を制圧などしたいが。
そんな余裕も無い。
陸上戦闘は各地の軍閥に頑張ってもらう。
当然ながら、軍閥に勝ってもらう必要は無い。
負けてもかまわない。
時間を稼いでくれれば。
ついでに、内陸部の軍閥やチベットなどの国には、援助経路を塞いで欲しい。
そこまで求めるのは厳しいものがあるが。
ただ、何がどこでどうなっていくかは分からない。
なので、出来るだけの事はしていく。
大量に種をまき、どれか一つでも発芽してくれればいいという気持ちで。
このあたり日本的な考えとは違うだろう。
一つの物事に集中し、それを気合いと根性を入れて育てるというのとは。
それはそれで間違ってない、方法の一つとしては良いとは思ってる。
しかし、それだけにこだわるのが悪いところだともススムは考えていた。
お気楽極楽に事を始める。
何が上手くいくか分からないから、失敗するものと思って始める。
可能な限り色々やってみて、その中の一つが成功すれば良い。
下手な鉄砲、数撃ちゃ当たるだ。
百発百中なんて目指さない。
そんな馬鹿げたことに労力をつぎこむなんて、無駄な努力にしか思わない。
その考えで事に挑んでいく。
何かが上手くいくと信じて。
駄目なら駄目で、別の手段をやるだけだ。
そういった考えにならない。
出てこない。
出てきてもすぐに潰す。
これが日本の悪いところだ。
それをススムは否定していく。
せめてゲームの中だけでもと。
そのやり方は、万全では無いだろう。
だが、効果はしっかりと発揮している。
だから、ゲーム内の日本は上手くやっている。
その手段を用いて、とにかくあらゆる手段を用いていく。
やることは小さなものでよい。
それを大量にたくさんやっていく。
その中で上手くいったものを継続させる。
失敗したものは、すぐに取りやめる。
でないと、無駄を積み重ねる事になる。
本来なら、失敗の原因を、どうすれば上手くいったのかを検証する必要があるが。
ゲームなのでそこまでは出来ない。
これをやらないと次に活かせないのだが。
そこはゲームである。
どうしても限界がある。
「ま、ゲームの中の世界ではやってるって事にしよう」
そういう脳内設定を作って納得する事にする。
この部分もゲーム化して欲しいと思い、製作会社に要望としてメールを出してるが。
実現するまでは時間がかかるだろうなとは思っている。
ともあれ、そうして敵が仕掛けてきてる謀略に対抗していく。
出来るだけ引き延ばし、準備をととのえるように計りながら。
その為に、敵の足止めを少しでもしていきながら。




