表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
81/221

チートはチートを生み出したようだ

 

「それじゃあ、いきますよ。『ウィンドボール』」


 不可視の風の球は土壁目掛けてゆっくりと向かっていく。

 地面は土なので巻き上げられた砂で進路が分かりやすくなっている。


「なっ⁈」


「まさか本当だったんですね。これは、使い方次第では凶悪な魔法ですね。」


「えっ?嘘でしょ?まるで別属性ね。」


 まあ、想像出来るんなら透明の火とか出来るんだろうけどな。

 俺には無理!

 驚くリルと教師二人とは対照的に生徒達は不思議そうにしたり、俺を馬鹿にしたりしている。


「失敗したのかな?でも、透明とか聞こえたような。」


「はっ!どうせ、調子に乗って嘘ついちまって後に戻れなくなったんだろ。あんなやつ入学させるとか学園のレベルも落ちたな!」


「だっせーな。あのアースウォールも何かインチキしたんじゃないのか?」


 などなど。

 見事に俺が失敗したと思い込んでいる。

 しかし、注意深い人物もいるようで


「あそこ、少し土煙が舞っていますわね。もしかすると、ですわね。」


 他にも、リルや教師以外にも見える人物がいたみたいだ。


「何を言っていらっしゃるのですか、皆様。あそこに風魔法かは分かりませんが何かが進んでいるのは確かです。」


 あ。セレスティアだ。

 見えているのは彼女のようだ。

 全くもって気がつかなかった。

 髪を結って纏めていたのもあるが、人が整列している中から見つけるのは至難の技だと思う。俺は悪くない。


 風魔法はこうなると特殊な眼のスキルや魔力感知みたいな魔力自体を感じ取ることのできるスキルが必要になる。

 これがまた取得が難しいらしいのだ。

 俺はいつの間にか手に入れていたので分からないが。


 そんな憶測の飛び交う中、ようやく土壁に到達するウィンドボール。


 ドゴーンッ!!!


 ガラガラと崩れ去る土壁。

 まあ、耐久目的ではないのでそんなに魔力は込めていないので必然だが。当たれば壊れる、その程度だ。

 だが、その音が強く影響したようで、土壁が壊れた事実と相まって場を騒然とさせた。


「い、いきなり壊れたぞ!まさか本当に!」


「い、いやいや。きっとあれも何か仕掛けがあるんだよ。」


「面白い方が入って来たみたいですわね。」


 なんだよ、あの金髪縦ロール。こっち見んなよな!

 さっきの洞察といい、場に流されない毅然とした態度、それに何と言っても金髪縦ロール!じゃなくて、貴族っぽい雰囲気、面倒そうな奴だ。

 縦ロールなんて天然記念物初めて見たぞ。そのせいで間違ってしまったじゃないか。

 因みに、先程見えないなりに分析しようとしていたのは彼女である。


「と言うわけです。まあ、この風魔法が緑というのも一つの魔法の有り様だと思います。思い込みだけで色を持たないものに色を持たせてしまっていたのです。こんな風に。」


 非戦闘中の暇な時に鍛え続けてLV.6まで上げた並列思考で、七色の炎を俺の周りに出現させる。

 一般的な赤、高温の青、更に高温の白、などの分かりやすい色から、金属を燃やした時のような緑など全部で七色それぞれの炎だ。


「炎は特定のものを燃やすことで色を変えたりはしますが、そんな理屈を知らなくても想像だけでこのように色とりどりの炎を出すことも出来ますからね。可視化できるという風魔法の緑も仲間同士の意思疎通という観点など利点になる場合もあるんじゃないでしょうか。」


 何事も考え方次第だと思う。


「以上ですけど、何かありますか?」


 聞きながら炎を消す。

 すると、何故か名残惜しそうな声がいくつか聞こえてきた。

 しかし、分かりやすいように説明するためとはいえ並列思考を使ったのは失敗だったかもな。魔法の七つ同時行使なんて俺でも理解できるくらい異常なことだ。

 幸い想像がどうのと言ったおかげで七色の炎を出す一つの魔法と思ってくれてるみたいだが。


「そうですね。色々と質問したいことはありますが、頭が追いついてないのが現状です。風魔法のことも詳しく聞きたいですが、先程の幻想的な火魔法や、容易に無詠唱を行なっていることなど一度に色々ありすぎて考える事を放棄してしまいました。風魔法についてはある程度理解はできましたし、今日はこれ以上聞いてしまうと授業に支障が出そうなのでやめておきます。」


 客観的に見ると幻想的だったのか。名残惜しそうな声の原因はそれか。

 教師の鏡だな。

 自分よりも授業を優先するなんて。


「私も今日はやめておこうか。これから長い付き合いになりそうだしな。アハハハハハ!」


 背中を力強く叩いてくるカルディナ。

 やめろ!脳筋教師!笑い方といい、言動といい、その印象を強めるだけだぞ!


「では、私から一つだけ質問がありますわ。先程の火魔法は単体の魔法なんですの?それとも、」


 うわっ。やっぱり面倒じゃないか、この天然記念物。

 今この中で唯一質問してくるその毅然とした振る舞いもそうだが、そこを的確に突いてくる洞察眼も侮れない。

 七つの魔法の同時行使なんて並列思考無しじゃまず出来ない。出来てもせいぜい二つか三つが限度だろう。

 並列思考は殆ど持つもののいないスキルらしい。

 どうしようか。


「複合魔法による魔法なんですの?複合魔法の場合、魔法師団長や賢者と呼ばれる学園長と並ぶくらいのレベルがあるということになりますわ。」


 複合魔法のレベルは6だが、ここまでポンポン上がってきたぞ。

 それなのにもう並ぶなんてあり得ないだろう。

 それに、何か勘違いしてくれているようで良かった。

 これ程思考を巡らせる人物でも、そのあり得ない可能性は理解の範疇を越えていたようだ。

 なのでスッパリ嘘をつく。


「残念ながら単体の魔法だよ。その二人の複合魔法のレベルを知らないからなんとも言えないけど、俺では追いつけていないんじゃないかな。でも、これくらいの魔法ならそんなに難しくないと思うんだけど。」


 複合魔法はちょっと魔力操作が難しくなるけど、結構簡単だと思う。

 それに、並列思考と違って複合魔法はレベルでの数の制限がないのも簡単な理由だ。

 並列思考はLV.1だと二つ、LV.2だと三つと制限があるが、複合魔法は制御しやすくなるだけで掛け合わせる個数に制限はない。

 まあ、実際問題LV.1では七つは無理だと思うが。


「はぁ⁈簡単なんてあり得るはずないんですの!複合魔法は緻密な魔力操作と起こしたい事象への正確な理解、それに何より属性の数という才能も必要になりますわ。それらすべてが完璧に揃って初めて出来ることなんですのよ!」


 そんな捲し立てるように言われてもな。

 うーん。魔力操作は分かる。理解も必要な属性の把握をしないとダメだからそうなのだろう。属性の数もクオから人によって違うと聞いたことがある。

 魔力操作は最適化でLV.10で、理解も完全記憶や並列思考なんかが効果的に働いている気がする。属性の数はクオの力と同等の俺だ。創造神は伊達ではない。


 ということは、チートが重なった結果、本来条件の難しいものが容易になり更なるチートを生み出していた。という事だろうか?

 複合魔法ってそういえばチート要素あるからな。

 エンチャント重ね掛け出来たりとか。威力超強くなったりとか。便利さ増し増しとか。


「あー。俺の考えが甘かったみたいだ。そうだよな。うん。難しいよな!」


 縦ロールの肩に手を置いて無意味にサムズアップしてみせる。

 押し切ってみせる!


「今更遅いですわよ!その簡単と言い切れる根拠を知りたいですわ!」


 ですわ!と言われてもなぁ。

 正直、色々なものが偶然重なった結果とか、チートが思った以上にチートだったとか。そうとしか言えない。


「教えないですわ!俺は黙秘権を行使する!」


 面倒になってきたので黙秘権を行使することにした。

 この国にあるかわからないし、貴族だろう相手に向かってただの冒険者ができるとも思えないが。

 ちょっと真似してしまったのはご容赦願いたい。

 勢い余って口から出てしまったのだ。


「くっ。そうですわね。他人にペラペラと話せるようなことでもないですわね。今日のところは引き下がることにしますわ!」


 縦ロールは意外と聞き分けが良かった。

 と思ったが、今日のところはが引っかかってしょうがなかった。

書き始めの時は魔法はイメージと書いていたのですが、最近は魔法は想像、想像力と言葉が変わっていることに気づきました。

もし、これで読みにくいなどあればTwitterのDMでもいいのでお願いします。


また、小説全体の感想や評価なども宜しければお願いします。

少し遅くなりましたが、ブクマ100件感謝です!


これを励みにしてより頑張っていこうと思います!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ