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舞踏会で下級貴族の少女が虐められていたので周りをギャフンと言わせたくてダンスに誘ったら才能を開花させた話  作者: ねこ


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前編

    私は誰かに関心を持ったことがない。


 私はクリス・キャロット。この国の中では伯爵家のご令嬢ですが……


「クリス様、どうか私、ロード男爵の名を覚えて頂ければ……」


とか、


「クリス様、同じ伯爵家同士私と……いえ、我がドール家と婚約を……」


 などと言う輩ばかりだ。男は政略結婚狙い、女は嫉妬か私のお零れを狙いに寄ってくる者ばかり……正直どうでも良い……私はどうせキャロット家の末娘、親がどうせ結婚相手も決めるのだろう。そして私もそのままそうなるのだろう……とこの時まで思ってた。しかし……


「やだ……なんであんな子が来てるの……」

「知らないわよ。呼ばれただけでしょ……同じ空気を吸うのも恥ずかしいわ……」


 女どもが嫌味を言ってた。自分より弱い立場の人間の悪口は相手に聞こえる様に言う。逆に強い相手には陰で言う。どうせ私も陰で言われてるだろう。そして男性はというと……


「おい、お前行けよ。」

「はぁ?なんでだよ……言っても得がないだろう?」

「はぁー?お前酷い奴だな。」

「優しさ見せて変に懐かれたら困るんだよ!」


 こちらはこちらで最低だ。私は言われてる奴の方を見た。華奢な体、色が白過ぎて不健康そうに見えるその上髪まで白かった。そしてその顔に見覚えがあった。確かチャールズ家の養子だ。平民上がりで確か武功を挙げたからだったはず……覚えてない。そりゃ虐めの対象になる訳だ。助ける義理はないが目があった。瞳の色は紫色……手は微かに震えている。あれは怯えだ。寒くはないのに震えるとしたらそれしかない。


(…………)

「よし!」


 私は少し考えて纏まったので話しかけた。


「貴女、名前は?」

「えっ?あっ!フロル・チャールズです……何か……御用ですか?」

「来なさい!」


 私はフロルの手首を掴み外へと繋がる扉へ向かった。周りからは……


「あーあ、あの子キャロット家の子の機嫌を損ねちゃった。」

「舞踏会初の強制退場!」


 などとコソコソ言っていたが気にしない。私は奴らをギャフンと言わせる為に連れ出したのだから!そして私たちが来たのは衣装室だ。


「フロル!」

「は、はい!」

「その服……下着込みで全て脱ぎなさい!今ここで!」

「えっ?」

「グズグズしないで!あんな事言われて悔しくないの!?」

「えっ……私を虐める為に連れ出したのでは?」


 私は思いっきりフロルの頬を引っ叩いた。アイツらと同類にされたのがムカついたからだ。


「アイツらと一緒にしないで頂戴!」

「ご、ごめんなさい……」

「泣くな!そして早く裸になって!アイツらをギャフンと言わせるわよ。」


 フロルは目を擦ってから力強く返事をした。その目は先ほどの弱々しい目つきではなかった。


「まず、下着は良いもの着けなさい!そんな子供っぽい物付けてたら殿方との逢瀬には行けないわよ。」

「……はい。」

「あと貴女は元々色白なんだから化粧は少し濃い目にしなさい。白は綺麗に見えるとか言うけど度が過ぎると病弱に見えるんだから!」

「分かりました。」


 私はドレスを選びながらアドバイスをしていきます。


「下着は今の着けた?」

「は、はい!」

「それ返さなくて良いから私にはもう小さいからね。」

「そんな……」

「口答えしない!貴女は私の言う通りにしてればいいのよ!」

「……分かりました。」


 そして私が選んだのは赤を基調にしたドレスに金のリボンだ。銀でも良さそうだが赤には金がいいだろう。


「銀髪なんて珍しい色なんだからそれを活かさないと!メイクも任せなさい。男どもを化かしてあげる。」

「分かりました。」


 髪型は折角だから気合い入れて難易度高めにした。


「こんな感じでどうかしら?」

「あの……この結び方は?」

「エルサよ。ダンスの時は邪魔になり難いし、良いかもよ。」


「ありがとう……ございます。」


 ここに来て初めて少し笑みが見えた。


「最後の仕上げよ。化粧したらドレス着て勝負よ!」

「はい!」

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