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どうしようもない無能な王太子から婚約破棄宣言されました〜後悔しても手遅れです〜  作者: 美香


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7/7

ボーンクーラの語り

愚かと言うより人でなしだな、コイツ……。

 漸く無意味な伝統を終わらせられる……。


 私、ボーンクーラ・コーカイは国王として、長年の悲願を成し遂げた。ヨーイコを次期国王とする事が出来たのだ。

 愚かで長く妃を苦しめていたワルイコは毒杯を煽らせた。彼奴は最後の最後まで見苦しかった。頭が可笑しくなったのか、自分がワルイコである事まで否定して………。

 はあ……、本来なら名誉を守る為の毒杯を無理矢理呑ませる事になるとは……。しかも妃がせめて苦しまぬ様にと用意した毒ですら、あの様に未練たらしくのたうち回りおって……。最後の情として死ぬまで見守ったが、あれが息子であった過去すらなかった事にしたいものよ……。

 ……ドーロボ男爵一家は尊い犠牲となった。いや、本当は情を掛けて平民に落とすだけにしてやりたかったのだがな……。致し方あるまい。

 書類送検は数日掛かり、その間の扱いとしては平民の死刑囚と同じにするしかなかったのだが、通称、ネズミの穴と呼ばれる拷問独房に入っている間に気狂いになってしまったのでな……。あろう事かテーオクレ公爵家だと詐称しだしたので、相応に処罰するしかなくなったのだ。

 しかし流石は我が妃。この様な突発的な状況になっても慌てず、最も良い案を出してくれた。

 彼等は公開処刑、それも民達から石をぶつけられながらの串刺し刑とした為、良い娯楽となり、下等な民達のガス抜きにまでなってくれた。いやはや本当に、腕の良い処刑人の用意含めて、良き案を出してくれたものよ……。

 

 ヨーイコに子が出来た。男児である。天晴だ。しかし残念な事に義娘は直ぐに亡くなってしまった。産後の肥立ちが悪かったのだ。

 1年、喪に服したヨーイコは悲しみを乗り越えた。ヨーイコからの申し出もあり、私は退位する事にした。


 それはつまり、ヨーイコの即位。


 多くの臣が、来賓が見守る中、ヨーイコの頭上に王冠が輝く。今、この時を以て、新たな王が生まれ、、、た??

「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「いやあ

ああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 悍ましい記憶が私を貫き、絶叫が止まらない。近くに控える妃の声も聞こえるが、構っては居られない。周囲が酷く、狼狽えているが、それもどうでも良い。

「何故だあああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!????? 何故!? 何故!!?? 何故お前が居るうううぅぅぅぅ!!!?? お前は死んだ筈!!! 何故だっ!!?? 何故、ヨーイコが毒を無理矢理いいいいいぃぃぃぃぃっっっ!!!!????」

 

 バギィッ!!! バギィッ!!!


 衝撃があった。

「ぐぼうっっ!!」

「ぐはぁっ!!」

 気付けば私と妃は地に伏せている。殴られたのだ、王冠を利き腕の反対に持っているワルイコにーー……。

「立場と認識の変換、とでも言いましょうか。私はヨーイコと、ドーロボ家はテーオクレ家と、その立場が入れ替わっていたのですよ。

 そして私達を知る周囲、全員の認識がそれに合わさっていた……。たった今まで。当人達の認識を除いて。」

「己ぇぇぇぇっ!! がはっ!!」

 立ち上がろうとしたが、直ぐに蹴り飛ばされる。

「ヨーイコは見苦しい最後だった様ですね、父上。態々苦しみ抜いて死ぬ様な粗悪な毒を用意した甲斐がありましたか、母上。……可哀想に。」

「ひいいいいいいいいいいいいいいいっっっっ!!!!」

 空気を吸う様な絶叫後、妃は気を失ってしまった。

「な、な、、な、」

 何を言って良いのか分からない。私は完全に混乱していた。

「ドーロボ一家の公開串刺し。つまりはテーオクレ家の処刑。父上のご機嫌取りは旨味もあったのでしょうが、苦労もしていたでしょうに。野心が叶わない処か……、あんな残忍な最後とは報われませんねぇ。」

 声の出せる限りは、自らをテーオクレ公爵だと叫びながら死んでいった友人。

「うぼぉごぉぉぉぉ!」

 胃から競り上がる勢いのまま、嘔吐する。

「突然、公爵家を背負わされた男爵家にも同情します。色々大変だったでしょうから。」

 クスクスと嘲笑うワルイコ。周囲は最早、声も出せぬ程、唖然としている。

「バ、バカな……、こんな事は有り得ない……!」

 そう、こんな形で認識を変える等、出来る筈がない。人間には不可能だ!

「ええ、魔女の力が無ければ不可能だったでしょう。」

「魔女だと!?」

「信じ難いですか? ですが魔女の存在は真実です。魔法により、この認識の入れ替えが行われた。ーー且つてこの国を伝染病から救った時と同様に。」

 私は目を見開いた。

「つまり魔法も魔女も実在しており、御伽噺も真実だった……、と言う事です。」

「バカな……、」

「ふふふ、良かったですねぇ、父上。魔女との契約を一方的に破棄する事にならないで。国を滅ぼした原因にならずに済んで。」

 魔女との契約は嫡男を後継にする事。もしヨーイコを王にしていたら、その報いを受けていた……?

「ヨーイコも……、愚王となった後で後悔しても、もう遅いのです。死んで正解でしたよ、滅亡前ならば悲劇の王子と唱われ、名誉を守れるでしょうから。」

 ーーこうして伝承を否定し、しきたりを壊さんとした私の、王としての人生は幕を閉じた……。

お読み頂きありがとうございます。大感謝です!

評価、ブグマ、イイネ、大変嬉しく思います。重ね重ねありがとうございます。

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