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番外編 龍宮 アルトの憂鬱  作者: 紅p
第二章 一風変わった家族
12/23

012 ~少しずつ見え始めた違和感~

 一風変わった家族との付き合いでケレスのサプライズ誕生日会にアルトは参加していた。

 だが、そんなアルトの前で宝珠の国の皇女は素気ない態度を続ける。

 そして、それに違和感を覚えたアルトの頭に突如、ひらひらと雪が舞い落ちる……。

 ある決意を胸にしたアルトが次の日、集合時間、集合場所であるラニーニャの職場に行くと、

既にジャップとラニーニャの二人は集まっていた。

 そして、

「おはよう、アルト。今日も無理を言って、ごめんね」

と、笑顔のラニーニャに声を掛けられる。

「おはようございます、先輩。気にしないでください。それと、あ、あの……」

 そのラニーニャにアルトは昨日からの決意を伝え様とした。

「おっしゃぁーー!! アルト、今日は頼むぜ!!」

 だが、ジャップから背を押されたアルトはラニーニャの職場の中まで強引に連れて行かれる。

「ちょ、ちょっと、ジャップ!! 僕は先輩に……」

 なので振り返ったものの、アルトはラニーニャにあれを伝えられなかったのである。

 それからあまり時間がない為、アルトはあれを伝えられないまま誕生日会の料理を作る事となり、

そのままラニーニャにより料理は完成してしまった。

 さらに、料理はラニーニャの職場の庭にジャップにより次々と運ばれ、

ジャップによる適当な配置が行われた。

 それをアルトなりに綺麗に配置し直し、ケレスの誕生日会の会場は完成していったのである。

「ありがとう、アルト。こんなに素敵になるなんて思わなかった!」

 すると、ラニーニャは喜んでいた。

 その右肩にのっている たぬてぃも目を輝かせてアルトを見つめている。

「当然です。料理は配置も大事ですからね!」

 そのラニーニャ達にアルトは喜べた。

「あ、あの、先輩! 聞いてほしい事があります!!」

 そこで意を決したアルトはあれを伝え様とする。

 パンッ!!

 だが、大きなクラッカーの鳴る音がして、また言えなかった。

「どうよ? ケレスの奴、びっくりすると思わないか?」

 そう、またもやジャップの邪魔が入ったのだ。

 そのジャップの手には勿論いくつものクラッカーが握られていた。

「ジャップ!? びっくりするじゃないか!!」

「すまんすまん。昨日、買い出しの帰りに見つけてな。

 久しぶりにこういうやつ、やりたかったのよ!」

 その事にイラッとなったアルトはジャップに怒ったがジャップはアルトにクラッカーを見せつけ、

あまり反省の色が見えなかった。

「ジャップ……。いいかい? 前にも言ったけれど、君は乱暴な所がある。

 気を付けないと、人に嫌がられるよ?」

「まあまあ、悪かったって!」

 それから呆れ果てたアルトが注意してもジャップにはまた通じていなかった。

「ミューちゃん!? こっち こっち!」

 そんなやり取りをしているとこんな嬉しそうなラニーニャの声が聞こえたのである。

 そう、宝珠の国の皇女が合流したのだ。

「おぉっ!? ミュー、良く来たな!」

 その宝珠の国の皇女に嬉しそうにジャップが近付いて行く。

「ねえねえ、ミューちゃん、どう? みんなに手伝ってもらったんだ!」

 すると、既に宝珠の国の皇女の傍にいたラニーニャは、はしゃいでいた。

「……凄いね。こんなに派手にしちゃって、良かったの?」

 だが、そんなラニーニャ都は対照的に宝珠の国の皇女は素気無い態度をする。

「先生には許可もらってるし! それにね、先生は今日は出張でいないんだ。

 だから、多少ならはしゃいでも怒られないよ!」

「そう……」

 それからにこにこ笑っているラニーニャは、はしゃぎ続けていたが、

宝珠の国の皇女は素気ない態度のままだったのである。

 ちなみに、先生とはラニーニャの勤め先の社長の事で、ラニーニャはその人物をそう呼んでいる。

 さらにアルトが仕入れた情報によると、ラニーニャはその人物と二人だけで仕事をしているらしい。

(どうしたんだ? 宝珠の国の皇女の様子が変だ……)

 そんな宝珠の国の皇女の態度にアルトは違和感を覚えたが三人とクリオネは話し始めた。

「ほら、ミュー。見てみろよ! このクラッカー、いいと思わないか?」

「そうだ、ジャップ! みんなで一緒に鳴らそうよ!」

「いいねぇ! 俺がケレスの気を引くから、その後みんなで鳴らそうぜ!!」

「わんわん!」

「そぉかそぉか。クリオネもいいと思うか! なあ、ミューもそう思うだろ?」

「う、うんっ! そうだね!」

 アルトが見ている中、ジャップとラニーニャはこの様にいつも通り宝珠の国の皇女と接していた。

 だがやはり宝珠の国の皇女はどこかぎこちなかったのである。

 それでもジャップの押しで宝珠の国の皇女は話に入れた。

 そしてアルトを含め、軽く計画が練られ、ケレスに伝えていた時刻となった。

 すると、本日の主役となるケレスの姿が見えたのだ。

「ケレス、早く来いよ!」

 やっと登場した主役のケレスを見たジャップの声は弾む。

「兄貴、どうしたんだよ?」

 それから不思議そうな顔をしたケレスが近づいて来ると、

「ケレス、誕生日おめでとう!」

という言葉を皆で言って、パンパン!!と、いくつかのクラッカーを鳴らした。

「な、何だ? これって!?」

 そして、ケレスは計画通り目を丸くする程 驚いた。

「ケレス、遅くなってすまん。姉貴とアルトとで、用意したんだ!」

「ケレス君、あの日、出来なかったから、二人に頼んだの。

 ちょっとしたお祝いと、ケレス君の功労をねぎらって今日は楽しもうね!」

 そのケレスに満足そうな顔で笑っていたジャップはラニーニャに目を転がす。

 そのジャップと目があったラニーニャは微笑んでいた。

(良かった。先輩が嬉しそうだ!

 昨日は少し様子がおかしかったから心配していたけれど……、

このサプライズが成功するのかを悩んでいたのかな?)

 なのでアルトは、ほっとした。

「じゃあ、乾杯からしよう」

 それからジャップのこの言葉から、

「乾杯!」

と、集まった皆で乾杯をし、ケレスの誕生日会は始まった。

「ケレス君、美味しい?」

 そして、皆で作ったピザを食べているケレスにラニーニャはにこっと笑い掛ける。

「凄く美味いよ、姉ちゃん!」

 すると、二つ目のピザを食べ終わって答えたケレスは三枚目を取った。

「良かった! ジャップとアルトに昨日から手伝ってもらってて、結構大変だったの」

「良かったな、姉貴。アルトと手伝ったかいがあったぜ!」

 そんなケレスにラニーニャは満面の笑みを見せ、

それが嬉しかったのか豪快にピザを食べていたジャップはまた一枚ピザを取った。

「僕が手伝ったんだ。上手く出来るに決まってるさ!」」

 そんなラニーニャ達を見ているアルトは上品にピザを食べていた。

 そして、アルトの脳裏には昨日からの事が思い出されていた。

 そんな風にケレスの誕生日会は和気藹々とした雰囲気が流れていたが、

たった一人だけその会を楽しめていない者がいたのである。

「ミューちゃん、どうしたの? 美味しくなかった?」

 そう、それは宝珠の国の皇女だった。

 その宝珠の国の皇女ををラニーニャは心配する。

「そんな事はないよ……」

 すると、また宝珠の国の皇女は素気ない態度をしたのだ。

(やはり、宝珠の国の皇女の様子が変だ……。光の神殿に行った時は、あんなに元気だったのに。

 まあ、立場が急に変わったんだ。少しは苦労しているのだろうけれど……)

 そんな宝珠の国の皇女をそう分析しながらアルトはケレスの誕生日会に参加していた。

 そして、ピザも全て無くなり、デザートが出て来た時だった。

「姉貴、そろそろ、あれを……」

 そう言ったジャップがラニーニャを見ながら、そわそわしだし、

「ジャップから渡してよ……」

と、言ったラニーニャは顔を少し赤くし、ジャップ達二人は照れ出したのだ。

(むっ!? 何だ、この二人!?)

 その雰囲気にイラっとしたアルトがジャップを睨んでいると、

先程まで晴天だった空が急に重い雲に包まれ、ひらひらと雪が舞いおりて来た。

(えっ、雪!? どうしてこの国に雪なんかが降るんだ!?)

 その現象にアルトは言葉を失った。

 それは、炎の守り神の下にある宝珠の国では雪が降る等有り得ない事だったからである。

 だが、そんなアルトの前にこれからもっと信じ難い事が起こる。

 そう、まさかのあの国からの訪問者が現れるのだ。

 次回【因縁の国からの招かねざる訪問者】

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