敵襲2 新戦士登場
5月29日改稿しました。
ラセル王子が不意に言った。
「僕も行こう」
「ラセル王子も⁉」
これは皆驚いた。
ナターリアも特別不安視した。
「王子は危険だわ!」
しかしその間マッギリールの暴行は続く。
「出てこい! それとも乗り込まれたいか!」
居ても立ってもいられずマーガスは大急ぎで下に降り言った。
「もうやめろ! 俺が相手だ!」
俺も続いて降りた。
「勿論俺も」
部下の兵達は城の兵が必死に食い止めている。
俺達はマッギリールと向かい合った。
マッギリールは顔を知っているマーガスに聞いた。
「ナターリアはどうした」
「死んだよ」
「嘘じゃあるまいな」
半分くらいしか信じてないみたいで強く圧をかけて来た。
これにはマーガスは怒った。
「嘘な訳ねえだろ。今こそ貴様らに仇を取らせてもらう!」
怒りに震え、構えるなりいきなりマーガスは突撃して行った。
そのマーガスの怒りの剣をあまり動かず余裕を持って受け止めるマッギリール。
「ぬっ?」
しかし何かを感じたらしい。
マーガスの剣、そして思いの重さがマッギリールの体にずっしり伝わってる感じがする程びりびりしている。
舐めた感じの態度のマッギリールの表情が一転、真剣味を帯びる。
マッギリールはマーガスに一目置いてる雰囲気だ。
マーガスは剣に怒りをさらにぶつけた。
「うおお」
会心、渾身。
しかし、この剣も受け止めるマッギリール。
ただ、軽々ではない。
ぶつかり合う二人の剣と意地。
「はあはあ」
俺は気づいた。
「マーガスがもう息を切らしてる? もっとスタミナあったような」
「たぶん緊迫感や警戒心、恐怖心からだと思う。それと様々な感情……怒り、苛立ち……」
マッギリールは不真面目さに真面目さをほんの少し足した様な態度で言った。
「少し腕を上げたな」
マーガスは褒められてもうれしくなさそうだ。
「当然だ! 俺達はナターリアの仇を討つため強くなったんだ」
マッギリールはさらに言った。
「もう一人仲間がいなかったか?」
「今はいない」
「本当に女勇者はいないんだな?」
「くどいぞ」
「しつこいねあいつも。あいつ凄い技とか使うの?」
「ええ、通常攻撃だけでなく魔王から直伝された剣技が」
マッギリールは意味深な構えを見せにやりとした。
「また見せてやろうか?」
「え?」
「風の神の力・冷笑」
指を向けると、凄まじい衝撃波がマッギリールの剣からマーガス目掛けて飛んだ。
「危ない!」
叫ぶや否や、二人の間に素早く飛び込んだラセルはマーガスをかばいバリアの様な物を張った。
凄い速かった。
ラセルのバリアのおかげでマーガスは無傷ですんだ。
ラセルは安堵した。
「危なかった」
「ありがとうございます王子」
しかしマッギリールの攻撃は続く。
新技があるみたいだ。
「では新しい風の神の力 冷笑の二撃」
「あっ!」
今度はもっと強い力がマッギリールに集まる。
ニヤリとしながら恍惚の表情を見せるマッギリール。
彼はいきなりなぜか取り出した血の付いた包丁を舐めた。
「これは磨きをかけた新技だ。俺は人間を魚の刺身同様に捌くのが好きで戦士をやってんのよ。魔王様は俺をスカウトし風の神の力を与えた」
「何で魔王が神の力持ってるんだ」
「魔王軍が神の国に攻め込んだ時神の力を奪った」
『冷笑の二撃』は切れこそしなかったが、凄い勢いでバリアごと二人を吹き飛ばした。
「ぐわ!」
マーガスとラセルは倒れた。
そしてマッギリールは俺に振り向き言った。
「今度はお前だ」
俺は戸惑った。
「何あれ! 凄い威力だ!」
「前の技に磨きをかけたのね」
素早く俺に向き直ったマッギリールはいきなり同じ技を俺に放った。
か、かわせない!
憑依したナターリアも追いつけない。
彼女の回避力を持ってしても。
「ぐあ!」
俺は胸と右腕を切られて血を流し倒れた。
「快人君!」
俺は気を失いそうでナターリアの声だけが聞こえた。
「ごめんなさい! やっぱり私が連れてきたのが悪かったのよ!」
その時、俺の体に理由が分からない様な力が沸いてきた。
「はあ、はあ」
ぜいぜい言いながら立った俺に皆驚いた。
「立った!?」
「はあはあ……君は守りたい物の為に戦ったんだろ? なら俺は全力でその手伝いをするだけさ、俺はまだ死なないぞ……う、ううう」
執念と怨念が俺の体にこもったみたいだった。
「え、ええ! あの技をまともに食ったら私やマーガス達もしばらく立てなかったのに。それに私の操作ではなく自分の意思と力で動いてるわ!」
「うおお!」
気を取り直した俺は素手で渾身の力でマッギリールに殴りかかった。
この前は手だけだった白い光が今度は俺の全身をまばゆく覆った。
マッギリールは驚いた。
「何だこいつ! 白い光が全身から……こいつも勇者なのか。なんだこの得体の知れない力は!」
「あああ!」
俺はこの前の様に変な声を出していた。
でも俺の体には確かに謎の力が宿ってるけど、動き自体は遅い。
剣道初心者って感じ。
「何だこいつ? 動きは遅くて隙が多いが一発一発がすごい力だ。避け損ねたら危ない」
俺は思った。
この光を武器に変えられないかな、よし!
俺は左手を前に出すと光の圧が飛んだ。
「ぐあ!」
マーガスは叫んだ。
「あれ、勇者しか使えない技だぞ!」
ナターリアも驚いた。
「何故貴方が勇者の波動を⁉️」
「何か『使えるような気がした』んだ。まぐれだろうけど。でも、俺は代わりの勇者になるって決めたんだ! こんな所じゃ倒れない」
さらに俺が手を前にやるとオルン戦で出した放射型白炎がすごい勢いで出た。
「ぬあ!」
完全に直撃は出来なかったがマッギリールの脇腹の鎧を焦げ付かせとかした。
「何だこいつは! こいつはここで潰さなければ駄目な男だ」
猛然とマッギリールは攻めてきた。
「わっわっ!」
「ここは私に任せて」
瞬時にナターリアが俺を動かしマッギリールの猛攻を防いでくれている。
でも俺の体がオーバーヒート寸前だ。
「待てっ!」
叫び声が聞こえた
突如、もう一人戦士が現れた。
気配も感じなかった。
マーガスが叫んだ。
「フォルスター!」
えっ? 話に出ていた仲間?
「フォルスター?」
「マーガス、何だ?」
「いや、近づいてくる気配を感じなかった。それにお前なんか雰囲気が、短期間しか別れてないのに」
「まあ、そう気にするな。俺は生まれ変わった」
髪がさらさらでスマートな端正な顔の十八位の青年だった。
ナタ-リアもマーガス同様言った、
「えっ、気配を感じなかった」
その青年のたたずまいはそこにいる人間全員の目を釘付けにし、あまつさえ場の空気を支配した。
それほどの存在感だった。
強い風がビュオッとふいて突如停止したみたいな。




