表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/24

異世界でも、口も酒も災いのもと

登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!

ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。

自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。

取り敢えず、とんでもない事を仕出かした事を、おジジ自身が理解できた事は一歩前進なんだが、目標の大地の神や山の神に謝罪するより、更に難解な謝罪相手が発覚した。

もうおジジの火が消えそうだ。

あれ生きてるか?生きてると良いけど…


《大地の神レアーは野獣や野山の自然からの恵みを司る大地母神で、更にゼウスとヘラの母でもある。霊薬を渡せなかった時にどれだけ責め立てられたか…あのヒス女の事だから毒を撒き散らしたに違いないな》

『そうそう。女神レアーが泣き崩れて篭っちゃったから、自然からの恵みも一切無くなっちゃって、本当人間は大変だったようだね』


天の岩戸状態!!

更に収穫が遅れてしまうじゃないですか!


『馬鹿みたいに腰を振る事しか考えていない夫に、夫の浮気の後始末に奔走する悲しい妻。このイタチごっこに、霊薬が無くなったヘラは夫の浮気を指を咥えて見ているしか出来ない。もう天界は最悪な状態だよ』

《で、女神ヘラは未だネクタールを持っておらぬのか?》

『気が狂った様に下位の女神から略奪紛いの行為に走ってるよ』


怖すぎる!!!


『歳を取ってゼウスが更に自分を見なくなってしまう事への恐怖心からか、鬼気迫るものがあるよ』


この露出神にとってっは酒のつまみの会話で済むのかもしれないが、霊薬を取られた女神からすればたまったもんじゃないだろう。


「…ザックが出してあげるって出来ないの?」


露出神とザックがコチラを見る。


「いや、だってさ…その、なんか可哀想じゃない?」

《…その可哀想は誰に対して掛かっているんだ?》

「うーん…取られた女神もそうだけどさ、ヘラって神様も可哀想だよ。下半身のケダモノ神さんの所為なんだし…」

《しかし浮気の後始末というにはやり過ぎで、その暴挙には他の神々も手を焼いているのも事実。暫く大人しいのは有り難い事なんだが?》

「なんて言うかさ…なんかずーっとモヤモヤしてるんだよね」


そう、物凄いスッキリしない。

全部飲んでしまうヘラが悪い。ストック渡せない事でレアーを傷つく程に追い込んだヘラが悪い。略奪行為に走るヘラが悪い。

全部正しい。正しいけどおかしい。

なんで、ゼウスを誰も責めないの?なんでゼウスは好き放題してて良いの?


「…もう、ちょん切っちまえばいいのに」

「だ、旦那ーーl!!」


思わず漏れた声にカッパンに慌てて口を塞がれる。


『なるほど…人とは奇天烈な事を時に言い出すものだな』


怒られると思ったら、感心されてしまった。


《あの男を傷つける事など出来ぬのでは?》

『いや…あの者なら出来る』

《…それはまさか…》

『物作りの神、ヘパイストスなら可能だろう。なにせヘラを拘束する器具を作った事もあるのだから』


なんかまた別の神さん出てきた!!

え?拘束?!何プレイだよ!


「頭混乱してきた…」

『いやはや人間よ。お主のおかげで愉快な事を思いついたぞ。こうしてはおれんな。コレは褒美だ』


光の球を投げて寄越すから慌ててキャッチ。

それは一房の葡萄。


『葡萄や蔦は僕の聖樹。何かあれば土に一粒植えれば酒のなる樹ができる。その樹に念を込めて僕を呼べば、暇な時なら会話に応じよう』


これから忙しくなるぞ、と一言楽しそうに呟くと露出神達は床に置いた酒共々消えてしまった。

ドッと一気に汗が出る。


「ザック…」

《…ほとほと相棒はトラブルに巻き込まれやすいな》


好きで巻き込まれてる訳ないのに!

怒鳴りつけたかったが、一気に視界が暗くなる。

あ、これやばい…

意識が朦朧としながらも原因は分かってた。


そう、牢屋の狭い空間にあれだけ度数の強い酒を床一面並べたら、匂いで酔ってもおかしくない。普段飲まない、いや昔も飲めなかった自分はアルコールパッチテストでも強く反応していた。鼻の粘膜だけでなく皮膚からも吸収。要するに…


悪酔いだ。


「ザック…吐きそ…」

《相棒!?》

「旦那!?」


起きたら熱いシャワー浴びたい。そう思うながら目を閉じた。



**



うー気持ち悪い…

薄っすら目を開けると、海外の家やリゾートホテルによくある、木製のファンがゆっくり回っているのが見えた。

顔を横に倒す。窓の外が暗く、木に梟が止まっているのが見えた。此方に気づいたのか、飛んでいってしまった。

なんか変梟だったな…

うん吐き気なし。

ゆっくり起き上がる。どれくらい寝てたんだろう?


ガチャッとドアが開く音がして顔を向けると恰幅の良さそうな女性が入ってきたが…髭がある。

顎髭を綺麗に編み込んでいる。


「起きたかい!鞄の旦那ーー!モヤシ坊やが起きたよー!」


モヤシって!!

それなりに筋肉ついてる身体に調整したんだけど!?


《気分はどうだ相棒》

「風呂に入りたい…」

「風呂かい?おーい!誰か風呂沸かしとくれー!」


声がデカい!!


ザックとカッパンの説明によれば、牢屋の上には所謂警備隊の詰所になっていて、そこの医務室に運ばれたそうだ。

露出神がいなくなった事で酒が水に変わる現象もなくなり、まだまだ残っていたザックの酒は飛ぶように売れたそうだ。


「旦那、オイラの水に薬草で効能つけたんで、きっと酔いに効くっス」

「カッパン…お前オカンかよ…最高だろ」


あんた良い嫁になれるよ…と思いながら水を飲み干す。

飲んだ途端に頭がスッキリし、胸のつかえや胃の気持ち悪さも消えている。


「カッパンこれ売れるぞ」

「でもドワーフには二日酔はないらしいっス」

「別の種族に売れば良いじゃん」

「あ!」


牢屋の時にも後からやって来た身分の高そうなドワーフが部下を引き連れて再度やって来て、恭しく礼をする。

まぁ自分にではなく、カッパンに運ばれているザックになんだろうけど。


「この度は誠に感謝のしようもありませぬ」

《結果がお前達にプラスになっただけだ。こっちは自分達の用事が済めばどうでも良い》

「いえいえその様な事を仰らずに!是非とも懇意にさせて頂きたく…」

《懇意だと?》

「ええ!ええ!是非とも!そうだ、そこの人間!葡萄を数粒植えて頂けると大変コチラも助かるんだが。譲ってくれないか?酒に弱い様だし、持っていても仕方ないだろう?我々ドワーフで買い取ろう。金貨3枚でどうだ?」


随分勝手な方向に話を進めるな、コイツ…

一発怒鳴ってやろうと思ったが部屋の温度が一気に下がった気がする。いや…気がするじゃないわ!吐く息白くなってる!

カッパンが寒そうだ!


《貴様等がどの神から怒りを買おうが俺の知ったことではないし、助けてやる義理もない。そして俺の相棒に気安く話しかけて神の葡萄を横取りしようとする意地汚いドワーフ共が!身の程を知れ!》


台風で吹き飛ばされる様に、ドワーフのおじさん達は転がって壁際まで追いやられる。

ドワーフおばさんはガタガタ震えて座り込んでいる。

申し訳ない。


「ザック、もうその辺で良いよ」

《神の葡萄を金貨3枚で済まそうなどと、お前を見下している証拠だぞ!?》

「正直正当な値段はわからないけど、仮にも神から賜った物をお金を出して買い取ろうとする事自体馬鹿にされている事に気づくよ」


呆れちゃうよね、本当。

以前の世界ではドワーフって職人気質でちょっと気の良い小さいおじさんだと思ってたんだけどな。ファンタジーの映画とかの影響かな…


「取り敢えず、自分としてはノームの宝を掘り返す事を止めて、仕事に戻って今まで通りにしてくれればそれで良いかな」

《相棒は甘過ぎだ》

「今回1番迷惑を被ってるのは彼らだからさ…なんか可哀想だし」


その途端、どこに隠れていたのかノームがワラワラやって来てベッドの上で飛び跳ねて喜ぶ。

ちょ…ベッド壊れると困るからやめて!

ヨロヨロ立ち上がったりドワーフの長は、納得いかない顔でコチラを睨む。酒への執念凄すぎだろ!


「人間風情が思い上がるなよ!物神様の後ろで権力を傘に偉そうに!その葡萄は我々の為のある!」

「え…馬鹿なの?コイツ等…」


潜伏していたのだろうか、一気に沢山のドワーフが襲いかかってくる。もう酒が切れたアル中の凶暴性を前面に押し出して目が据わってる!

ザックが神気で吹き飛ばすが、第二陣が自分に飛びかかる。


「旦那っ!」


カッパンが大きく手を広げて、パンッと手を叩く。

柏手の様に、その音は波紋を広げる様に部屋に広がると、ドワーフ達は途端に踠きだす。よく見るとドワーフの顔が丸い水で覆われている。慌てて水を顔から引き剥がしたくても掴める筈もなく、息が出来ず暴れのたうち回り、徐々にその場に崩れ落ちていく。

カッパンがもう一度手を叩くと、水が重力に従って床に落ちた。医務室の床が水浸しである。

おばさんごめんよ。


「だ、旦那…大丈夫っスか!?」

「大丈夫、助かった。あんな事出来たんだね」

「おいらも知らなかったっス」

「えええ!?」

「む、無我夢中で…気づいたら…」


カッパンも若干震えている。


《喜べカッパン、お主神格が上がった様だぞ》


え?どういう事!?

カッパンの震えが激しくなる。え!?痙攣!?

慌ててカッパンに手を伸ばすが、ザックに止められる。

カッパン自身が光り、眩しくて見ていられない。ガラスが砕ける様な音がして、光が引いていく。

目がチカチカする!


「鞄の旦那…コレは…」


カッパンの声より、随分低いイケメンボイスが聞こえる。

ゆっくり目を開けると、イケメンが立っていた。


「だ…誰…」

「おいらっス旦那」

「え…カッパン?え?いやいやいや…え?本当に?」


思わずザックを見る。


《意外だな。てっきり龍とかそっちに進むと思ってたんだが》

「あの…おいら何になったんっスか?」

「外見と話し方のギャップ!!」


英国のセクシー系映画俳優並みのイケメンが田舎言葉って!


「カッパン、お前エルフになった様だ」


え?エルフって、よく聞くあれの事?

あれ?カッパンって河童だよね?

エルフって前の世界の知識では森に住んでて狩人的な立ち位置じゃなかったっけ?


どうなってんの!?


お読み頂きありがとうございます。

のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ