異世界でのドワーフは思っていたのとちょっと違う
登山好きの主人公が滑落した事で異世界転移!
ファンタジーの世界の魔法や魔物、神に悪魔になんでもござれない異世界でも登山目指して頑張る主人公の珍道中。
自分得を詰め込んだほのぼの冒険ストーリーです。
下品なパリピ山羊の村を出て2日。
岩山の前で行き詰まった。行き止まりである。
「道間違えたかな?」
「地図ではここになってるんっスけど…」
岩肌をサワサワ触ってみる。
こういう時、映画とかだと隠しスイッチ見つかって秘密の扉が開くんだけどな…
カチッ
「お?」
その瞬間、フリーホールの急落と似た一瞬の浮遊感。
「うええええええぇぇーーー!?」
「ひええええぇーーー!!!」
やばい!これ死ぬ!!
そう思った瞬間、音はないけど、明らかに空気で出来たクッションにバフッと埋もれた。
「…助かった…」
「おいおい、まさかこんな見えすいた罠に引っかかる奴がいるとはな」
首だけを起こして周りを見ると、背の低い立派な髭を生やしたムキムキな男性が呆れた顔で此方を見ている。
ど、ど、ドワーフだーーーーー!!
今度こそ正真正銘のドワーフだ!
身体を起こそうとするが、人をダメにするビーズクッションの如く、埋もれてなかな起き上がれない。
なんとか転がり落ちる様に着地。
「こ、こんにちは!」
近づこうとしたが、格子に阻まれる。
ん?
しっかりとした、随分無骨な格子。
「なんじゃこりゃーーーー!?」
ザ・牢屋っという、映画とかにありそうな物。
「怪しい者じゃないんです!出して下さい!」
「この落とし穴に引っかかる時点で侵入者に決まってる!」
「いや、貰った地図でそうなってたんですって!信じて下さいよ!」
「なにぃ?」
取り出した地図を毟り取るように奪うドワーフ。
「こんな古い地図未だに使ってる奴いるはずないだろうが!どこぞにの宝物庫から盗んで来たな!この盗人が!」
「違います!縁あって鳥族ヒト科の村の人と仲良くなって地図譲って貰ったんですって!手紙もあります!!」
「あああぁ!?そんな事あるわけねぇだろうが!」
聞く耳持たないっと言わんばかりに怒鳴りつけられる。鉄格子をガンってとひと蹴り入れられて去っていく。
本当なのにーーー!!
「旦那、どうします?」
【鞄ならこんなモノすぐ壊せるだろ】
「ダメダメ!敵対してどうすんの!!」
《まぁ、とりあえず待つしかねぇだろ》
はぁ〜…参った…
冷たい牢獄の床に座り込み天を仰ぐ。
天井に何かがいる気配。まさかGなのか!?
ザックの中に手を突っ込んで虫除けスプレーと懐中電灯を取り出して意を決して照らす。すると、此方を6つの小さな反射された…あれは目では?
「ぬおおおぉ!?」
『見た』『見た』『こっち見た』
天井からスルスルと蔦で出来たロープを伝って降りてきた3人の小人。さながらレンジャー部隊の様に動きに無駄がない。三角帽子を被った、小さい小さい30cmも無いだろうか?掌に乗るサイズだ。
ガーデニングに置かれている小人みたいな感じ。
【ノームか】
「濃霧…?」
《簡単に言えばドワーフの従兄弟みたいなもんだ》
面倒くさそうに説明したザックに小人は猛反発。
『一緒にすんな!』『あんな酔っ払いじゃねぇ!』
双方それなりプライドがある様だ。
『アイツら今ゴタついてて気が立ってる』
『神に気づかない間抜けだ』『酒飲みの無能』
うーん、こっちのノームってのは結構お口が悪いし、ドワーフよりお髭が仙人って感じで立派。三角帽子で顔はよく見えない。
ちょこちょこと歩いて自分の元、いやザックの元にやって来たノームは片膝を付いて首を垂れる。
『小さき我らに救いの手を頂きたい』
『神よ』『神よご慈悲を』
《………はぁ…聞くだけ聞こうと。協力するかはその後考える》
とか言って絶対助けてあげるんだろうな〜
なんて思いでザックを見る自分とカッパンは、どこから出したのかハリセンでぶん殴られた。
『今この町は大変な危機が訪れています』
『そう大変』『大事件』
事の起こりは1ヶ月程前。
ドワーフがある宝箱を見つけた事が原因だという。
その宝箱はノームが保管していた物だった。
通常は地中で宝物を護りながら細かい作業が得意なノームはドワーフと共にこの町で金銀や木工などで細工品を担当していたのだが、作業中のひょんな会話から、宝箱の話をしてしまったという。
それを聞いたドワーフは口八丁な奴で、詳しい場合を聞き出し見事にお宝を掘り当てて、よりによって酒場で大声で自慢したもんだから、さぁ大変。
後に続けと鉱山や地中を無駄に掘り出し、中にはノームを捕まえて在処を聞き出そうとしたり、手荒な連中も出る始末。
「質問。その宝箱には何が入ってたのか聞いても良いのかな?」
「確かに気になるっス」
ノームは頭を寄せ合いヒソヒソ話す。
『ノームによって違う』『各々の個性』
『ただ、最初に見つかった宝箱の中が悪かった』
3人は悲しそうな顔で揃って、酒だったと一言。
中には酒が入っていた。
酒好きのドワーフには堪らないだろう。更にその酒は地中に埋めて発酵させる古代の様式を使った物で、味は絶品だったという。
【愚かな者共が血眼になって探しているというわけか。誠に馬鹿馬鹿しい】
「そんな作り方で酒が出来るの?」
《地球にもあるぞ。旧ソ連邦のひとつ、ジョージアのワインが同様な酒造方法を8000年前から行ってる》
「8000年前から!?」
とんでもない伝統技術だった。
《この国の伝統的なワイン作りの手法が国連教育科学文化機関の無形文化遺産に登録されている。地中に埋めたクヴェヴリという特殊な卵型の土器の甕で発酵から貯蔵まで行うんだ》
「美味しいの?」
《ぶどうの果実を皮ごと入れるからタンニンが多めで、白ワインでも琥珀色でクセがあるが美味いらしい》
「博識だねザック」
《まぁ付喪神だからな。物については知識として知っている》
興味無さ気にザックの解説終了。
『古代の製法』『とても貴重』
『奪われた宝箱、預かり物だった』
…とても嫌な予感がする。
『神の酒』『発酵熟成と貯蔵保管任されてた』
『酒神ディオニソスお怒り』
やっぱりかーーーー!!!
ノームとドワーフを救うにはディオニソスをこの町からお帰り頂かないといけない。パリピ山羊の思惑通りに進むのが凄く腹立つ!
《で、酒神は今どうしてる?》
『お怒り』『酒を全て水にしてしまった』
『ドワーフが激怒して一触即発』
たかが酒、されど酒。
『ドワーフはどうでもいい』『盗人も同然』
『酒神ディオニソス、ノームにも憤慨』
【預けていた物を取られたんだ。それは致し方ない事じゃろう】
フンッと鼻で笑いおジジ。
「…わかった。ひと肌脱ごう」
《いいのか相棒?》
本当はめちゃくちゃ嫌だ。厄介ごとに首を突っ込む暇があるなら山に向かいたい。でも…
地中に埋める酒でしょ?
これひょっとしたら大地の神に一歩近づくのでは?そうなるとおジジが大地の神に謝罪する目標に一歩近づくのでは?
「まぁ…ボケ神様も加減善行って言ってたしな」
《料理の匙加減みたいになってるぞ。嘉言な、嘉言。正しく人生の戒めとなる良い言葉と、立派な行いをしなさいって事だろうな》
「あれ?それって打算は含まれない感じ?」
《どうだろうな〜》
何はともあれ、ここからどう出るかだな。
スリーマンセルのレンジャーノームはあっという間に蔦ロープを登り。天井の隙間に消えて行った。助け求めるなら、脱出方法も用意してくれよ!
「ザックの中に青い猫型ロボ御用達の小さくなるライトみたいなのないの?」
《俺を何だと思ってる》
「さすがザック!」
《あるわけないだろう》
「ええええー!?」
《付喪神は物の神だが、現状にない空想の物を持ってくるなんて出来るわないだろう》
呆れた声で論破された。
「参ったな…どうやって出ようか…」
【そんな物、あ奴らから開けさせれば良いだけじゃろ】
「だからどうやって?」
《成る程…よし。酒盛りをしよう》
んん?どういう事?
お読み頂きありがとうございます。
のんびりペースで更新していきますので、よろしくお願いします。




