ラストアタック
「いけぇ!!」
「やったらー!!」
「でっけぇ敵はでっけぇ的だぁ!!」
「うおりゃあ!!」
「給料上げてぇえええ!!」
「彼女欲しいぃぃ!!」
続々と部屋に入ってくるプレイヤーたちがビッグ・ヴィヴェルグに一斉に攻撃を仕掛けているのだ。やはりレイドボス戦と言えば多数のプレイヤーによる大規模攻撃なのだ。
・・・若干、関係無い事を叫んでいる奴もいるのだが。
「ぬぅぅぅぅ!!」
さしものヴィヴェルグも多勢に無勢、どんどん追い込まれているのだ。むしろ合体したことで余計に追い込まれているようなのだ。まだ【機獣兵】たちと別々に戦っていた方が大勢のプレイヤーたちに対処できたとは思うのだが頭に血が上った・・・ロボットに対してこの言い方が正しいかどうかは分からないのだが・・・とにかくヴィヴェルグはそこまで考えが回っていないようなのだ。
巨大な6本の腕を振り回してプレイヤーたちを叩き潰そうとしているのだ。
うーむ・・・やはりヴィヴェルグはどうにも戦闘慣れしていないというか、戦闘用ロボットにあるまじき醜態をさらしているのだ。多数の攻撃手段を持ち、【機獣兵】や【機械兵】を従え、こちらの戦闘データを持っているにも関わらず、それを活かしきれていないのだ。
「浮かない顔をしているな」
そんな我にヴァラットが話しかけてきたのだ。
「ヴァラット・・・いや、どうにも上手くいきすぎというか、ヴィヴェルグの様子がおかしいような気がするのだ」
考えすぎかもしれないのだが、どうにも妙な気がするのだ。あのヴィヴェルグも妙に人間くさいというか、戦闘用の司令官とは思えないあの行動・・・ヴィヴェルグも決して弱いというわけではないのだが、どうにも違和感があるのだ。
本当にあのヴィヴェルグがこのクエストのボスなのだ?
「・・・アヴァンよ。【アークガルド】というトップクラスのクランに所属しているから麻痺しているのかもしれないが、あのボスはかなりの強敵だぞ? これだけのプレイヤーが一斉に攻撃しても耐えているのだからな。少なくとも今まで【機甲界】で出てきたボスとは段違いの強さだ」
・・・ふむ、そういうものなのだ? 確かにヴィヴェルグは、あのガンタ〇クもどきや戦闘機より遥かに強いのは理解できるのだが・・・ふむ、我の考えすぎだったのだ?
「ところでアルクは何故この場にいない? 奴はどこに行った?」
ヴァラットが戦場を見渡しながらそう言ったのだ。今更ながらアルクの姿が無いことに気が付いたらしいのだ。
「どうやらアルクはアルクで厄介な事態に巻き込まれているようなのだ。ここまで来れるかどうかは分からないのだ」
・・・ああ、そこではたと気がついたのだ。どうにも違和感があると思ったのだが、いつもと違って、こういう場面で真っ先に先陣を切るアルクの姿が無いからなのだ。
いつも先陣を切りつつも、冷静に戦況を見渡し、我らの指揮を執るアルクがおらず、我も知らず知らずのうちに不安になっていたようなのだ。
アルクがこの場に居たら、この状況を・・・ヴィヴェルグを見たらどう判断するのか気になるのだ。我と同じくヴィヴェルグを妙だと思うのか、それとも・・・
まったく、アルクは一体どこをほっつき歩いているのだ?
「あまねく太陽の輝きよ、灼熱の赤き炎であらゆる物を焼き尽くせ!【太陽の劫火】!!!」
「地獄の業火よ!氷獄の冷気よ!全てを焼き尽くし、全てを凍りつくせ!!【氷炎地獄】!!!」
おお、アテナとアルマの【魔法】がビッグ・ヴィヴェルグの腕を1本ずつ吹っ飛ばしたのだ!
「どうやら、もうそろそろクライマックスのようだ。我々も行くぞ!」
そう言ってヴァラットもまた、ビッグ・ヴィヴェルグに向かっていったのだ。
さらにシェリルもそれに追従していったのだ。
「【ヴァールハイト・グランドノヴァ】!!」
「【ヴァールリヒト・グランドノヴァ】!!」
二人はそれぞれ、全身からエナジーを発した大爆発により、さらにビッグ・ヴィヴェルグの腕を1本ずつ吹っ飛ばしたのだ。
というかあの二人・・・息ピッタリなのだ。我が見た感じ、喧嘩ばかりの様子だったのだが・・・実は仲が良かったのだ?
「俺たちも負けてらんねぇぞー!!」
「やってやるぜ、おりゃあ!!」
「どっせーーーい!!」
他のプレイヤーたちも残り2本となった腕に向かって特攻を仕掛けたのだ。大勢のプレイヤーたちによるタコ殴りで、残りの2本の腕も砕け散ったのだ。
「おのれ・・・おのれぇえええ!!」
全ての腕を失ったヴィヴェルグが悔しそうにそう叫んだのだ。
すると今度は・・・うわっ、何なのだあれは! ビッグ・ヴィヴェルグの体の至る所からハウンドやバルチャーの顔が出てきたのだ!
そこから一斉にエナジーのブレスを吐き出してきたのだ!!
「うわっ!?」
「これは・・・」
「めちゃくちゃだ!!」
むやみやたらにエナジーブレスを吐き出しまくるビッグ・ヴィヴェルグに、プレイヤーたちが一斉に距離を取り始めたのだ。
「最後ノ抵抗ノヨウデスネ」
我を守るためにラグマリアも我の前にやってきたのだ。
確かにラグマリアの言う通り、あれはヴィヴェルグの最後の抵抗・・・狙いも何もない滅茶苦茶な攻撃なのだ。
その様は・・・正直、見ていて痛々しいのだ。
「ラグマリア・・・これを使って終わらせてやるのだ」
そう言って我は作り立てほやほやの【兵器】をラグマリアに渡したのだ。
「コレハ・・・【グランディスマグナム】、デスカ? 形状ガ若干異ナリマスガ・・・」
そう、我が渡したのは【グランディスマグナム】と見た目はほぼ同じだが、それでいて全く異なる新作の【兵器】なのだ。なにせその【兵器】は昨日手に入れたばかりの【ヴァルムセル装甲】が使われているのだ。
さらに・・・
「撃鉄部分に挿入部分があるのだ。そこにこの【エナジーブーストメダル】を入れるのだ」
そう、これは【エナジーブーストメダル】の使用も前提にした新【兵器】なのだ!
「了解!!」
ラグマリアは無表情・・のわりにどこかわくわくした様子な気がするのだが・・・新【兵器】をビッグ・ヴィヴェルグに・・・否、頭部のヴィヴェルグに向けたのだ。
「【グランレヴォルマグナム】バスターモード・・・発射なのだ!!」
「シュート!!」
新【兵器】・・・【グランレヴォルマグナム】から発射された閃光がヴィヴェルグを包み込んだのだ。
閃光が止むと同時に崩れ落ちるビッグ・ヴィヴェルグ・・・どうやら上手くラストアタックを決められたようなのだ。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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