海中のサラマンデル火山
海の中は・・・なんとも不思議な状態だった。
まず海中は思いのほか明るかった。海上は湯気が立ち込めていたから、太陽光を遮断しているかと思ったんだがな。
しかし、理由はすぐにわかった。海底を溶岩がうごめいていたからだ。その溶岩が薄暗く光を放っているために海中でもそれなりに明るくなっているようだ。水の中にも関わらず燃え滾っている溶岩を見るのは不思議な光景だな。
ただ、視界が良好かと言われればそうでもない。海中には黒い灰がそこら中に漂っているからだ。視界が埋め尽くされるほどではないが遠くまで見通せるほどでもない。探索にはかなり邪魔だな。
なにより海水が沸騰しているから、あちこちから気泡がたくさん浮かんでくる。この光景だけでこの海がかなりの高温であることがわかる。
うーん、これは確かに人が簡単に潜れるような海じゃないな。
「・・・カイザー、水温は大丈夫?」
「各部正常稼働中・・・動作ニ支障ハアリマセン」
カイザーの方は問題ないようだ。さすが強力ロボット。
次に俺はアークカイザーの外部スピーカーをONにして二人に問いかける。
「アスター・・・お兄ちゃん、アニスお姉ちゃんは大丈夫?」
・・・危ねぇ、うっかり自分が子供設定だったのを忘れかけた。
「こっちは大丈夫そうです」
「こちらも問題ありませんわ」
どうやら、二人の方も問題もないようだ。
とはいえ、アークカイザーの稼働時間にも限りがあるし、二人もスキルを使い続けている状態だ。あまり時間をかけることはできない。
・・・のだが、こういう時のお約束というか、こんな時に限って邪魔が入るんだよな。
「マスター、センサーニ反応デス」
「む?」
カイザーにうながされて周囲を見渡すと、そこには・・・こちらに向かってくるでっかい魚の群れが。
おおー、こんな環境でも生きてる魚がいるんだなぁ・・・なんてのんきなことを考えつつ【看破】で確認する。
【マグマフィッシュ Lv.55】
過酷な環境に適応した海のモンスター。
まあ、こんな環境で生きている魚が普通なわけないか。見た目はかなりごついし、鱗がまるで鋼の鎧のように見える。あと顔が怖い。噛みつかれたらタダでは済まなそうだ。
「二人とも、モンスターが来たよ!【アクアウェーブストリーム】!!」
俺は二人も戦いやすいよう水流を巻き起こし、魚たちをけん制しつつ、海中に漂う灰を一掃する。よし、これで視界が開けたな。
「行きますわよ!」
アニスは・・・マジであの【モーニングスター】を使ってるな。鉄球を振り回して次々と魚たちを撃墜していく。・・・見た目によらず、パワフルな戦い方するなー(遠い目)。
「【サイコスラッシュ】!!」
一方でアスターの方も【地鎌ガイアサイズ】から斬撃を飛ばして魚たちを切り裂いていく。その斬撃は赤く色づいていて【火属性】が付加されていることがわかる。
あれが【火炎の精霊】であるカリンと【精霊憑依】した効果か。いちいち【火属性】を付加しなくても済むのは便利だな。
おっと、俺も人のことばかり気にしていられないな。
「【グランディスマグナム】実弾モード」
ダンダンダンダンッ!!
【マグマフィッシュ】は1m弱といった大きさだ。生身の人間と比較すればかなり大きい魚だが、アークカイザーの大きさと比べると小さい的に見える。
大きさを考えると、アークカイザーの巨体はかえって不利な戦いになるのだが、かといって俺は生身で外に出る事はできないのでこのまま戦うしかない。
というわけで的を狙いやすい【グランディスマグナム】で応戦する。
魚たちもなかなか頑丈みたいだが、弾丸を撃ちこみまくると撃沈することができた。
・・・うん、問題ないようだな。
こうして俺たちはモンスターたちを蹴散らしながら海中を進んでいった。
目指すは【ガタック君】が反応を示した地点。
・・・
・・
・
反応があった【ガタック君】と合流すると、そこにはかなり崩れているが【精霊界】と同じ【サラマンデル火山】の光景が広がっていた。
「あの三つの火山・・・間違いないですね」
確かにアスターの言う通り、海底にはあの特徴的な三つの火山があった。三つの内、一つは沈黙しているが、一つからは噴火口から溶岩が流れており、最後の一つは噴煙をまき散らしている。
ただし、海底であるせいか噴火口から出ている溶岩も噴煙も【精霊界】の【サラマンデル火山】ほどの勢いは無い。
なにより問題の三つの火山の中央部分、【精霊界】では溶岩の海だったが、こちらの方はどうかというと・・・空洞だった。
かなり深い穴のようだ・・・底が見えない。
「どうします? このまま潜っていってみますか?」
中央部分の真上までやってきていた俺たちだったが・・・ここまで来ても何の反応もないな。【精霊界】の時のように溶岩の巨人とまではいかないが、何か出てくるかと思ったのに。
どうやらここは本当に抜け殻・・・【火の大精霊】も【ガティアス】もいないようだ。
だからといって、何の手掛かりも無付けず、このままスゴスゴと帰るわけにもいかないのだが。
「・・・その前に、まずは周囲を探索してみよう。ここには【火の邪霊】たちもいないし探索はしやすいだろうしね」
「そうですわね。マルコ村長の話だと、どこかにポーラさんたち【サラマンデル島】に住んでいた人たちが暮らしていた痕跡があるはずですわ」
さすがに海底に沈んでしまっては無事では済まないだろうが・・・何かしら残っている可能性がある。おそらくだが、ポーラ師匠たちも【サラマンデル島】の調査とかをしていただろうしな。
と、いうわけで俺たちは三方に分かれて調査を開始する。
アニスは噴火していない山の辺りを。
アスターは噴煙が出ている山の辺り。
そして俺とアークカイザーは溶岩が噴き出ている山の調査を担当することになった。
元【サラマンデル島】・・・今は【サラマンデル火山】か。
かなり広域だが・・・ほとんど崩れていてひどい有様だった。岩石や灰が降り積もり、または大きな亀裂があちこちに入っていたり、溶岩に飲み込まれていたりと・・・かつて楽園と呼ばれた場所とはとても思えない。
少なくとも人が住んでいた形跡・・・いや、生物が存在していた形跡は全くない。
これが【ガティアス】のもたらした災厄か。
「ひどいな・・・カイザー、センサーに反応は?」
「・・・現在、モンスター以外ノ反応ハアリマセン」
・・・うーん、見つからないなぁ、手掛かり。
ここまで何もないとは思わなかった。手掛かりがあるとすればここだと思ったんだけどなぁ。
と、そこでアスターからメッセージがあった。
『アルさん! 見つけました! 人が住んでいた痕跡!!』
どうやらアスターの方が当たりだったみたいだな。
俺たちはアスターが向かった噴煙を出す山の方へと向かった。
・・・あの三つ子山、それぞれに特徴があるから目印にはちょうど良いな。
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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