転身
===移動===>【進化の神殿】執務室
「【転身】?」
「【転身】、ですか?」
「【転身】だな」
俺たちは全員の【転生】が終わったので【転生の間】を後にし、先ほどの執務室まで戻ってきた。
一応、話だけなら【転生の間】でも出来たと思うのだが・・・レリエルから「ここは神聖な場所なのでご用が済んだのなら速やかにご退出ください」と言われて追い出されてしまったのだ。・・・その神聖な場所でハンドベル鳴らしてた奴に言われても説得力は無いと思うのは俺だけだろうか?。
あと、遠まわしに「ご用が済んだのならお帰り下さい」みたいなことも言われたような気がしないでもないのだが、残念ながらまだこちらの用件が終わっていないので、戻ってきて話をしている次第である。
もっとも今話をしているのはその用件の事ではなく、俺がたった今取得した【リヴァイヴスキル】の【転身】についてだが。
・・・【戦人】? こっちの方は特に触れられることはなかったな。・・・ちょっとむなしくなったが、まあ見た目何にも変わってないしな。せいぜい、無事に【転生】を終えた俺をアーテルとアウルが出迎えてくれたくらいだ。・・・あんまり無事でもなかったと思うが、そのことは俺だけの秘密だ。
まあ、【戦人】種族になって変わったのは見た目ではなく内面、ステータスだ。これに関しては実際にバトルして確認してみないとわからないだろう。
今はそれよりも【転身】についてだな。
「それって【天使】種族を設定すれば、【天使】の姿になれるってこと?」
「説明を読む限り、そのようだな」
「【魔族】を設定すれば【魔族】の姿にもなれる、と? しかも自由に姿を変えられるってことですか?」
「説明を読む限り、そういうことだな」
左右からの質問に対し、俺はおざなりに返事を返してしまう。というか、俺に聞かれても同じ答えしか返せないぞ?
まあ、実際に試してみればもっと良くわかるのだろうが、一度設定すると変更はできないって注意書きがあるし、Lv.1現在の俺の空き枠は三つ。つまり、3種族までしか設定できないわけで・・・レベルアップでいくつ枠が増えるのかはわからないが、取り返しがつかないと言う意味ではおいそれと試すのには腰が引けてしまうわけだ。
というわけで実際に試す前に、詳しい説明をレリエルに確認しようとしているわけである。というわけでアテナ、アルマ。質問は俺ではなくレリエルにしてください。
「今、お二人がおっしゃられたとおり、【転身】は別の種族になれるスキルです」
あ、ちゃんと答えてくれるんですね。そんなこと自分で確かめてください、とか言われたらどうしようかと思ったよ。
「最大の特徴は、本当に別の種族になれることですね。見た目だけではなくステータスもその種族に合わせて変化するので、様々な場面に応じた種族になれる大変便利なスキルです」
「「「・・・」」」
・・・その説明を聞いて俺は・・・いや、アテナもアルマも等しく思っただろう。
【転身】スキルがあれば【転生】を使わなくて良くなるんじゃないか、と。それはつまり【転生】システムそのものが不要になるということなのだが・・・しかし、レリエルはそんな俺たちの考えを否定する説明をしだした。
「ただし、各種族の最大の特徴である【種族スキル】が使えず、またステータスが変化するといっても、あくまでベースとなる現在の種族を基準にしているので、実際に【転生】した種族のステータスには及ばないかと」
んんー・・・確かに【種族スキル】が使えないのは大きな痛手、戦力損失だな。まあ、【種族スキル】まで使えるようになったら、それこそ本当に【転生】が不要になる上、複数の【種族スキル】を簡単に使えるようになる・・・いわばゲームのバランスブレイカー状態になってしまうわな。さすがにそこは考慮されているか。
それはそれで納得なのだが、もう一つ気になる事を言ってたな。ベースとなる現在の種族を基準にっていうのはどういうことだ?
「アルクさんを例に言いますと・・・ベースとなる種族が【戦人】になります。この種族はステータスの各パラメータが平均的に横並びになります」
まあ、そうだな。得意がない分、不得意もないというのも俺が選んだ理由の一つだし。
「この状態で、例えば【竜人】に【転身】した場合、腕力パラメータが上昇しますが、その分魔力パラメータが減少します。同様に【魔族】へ【転身】すれば、魔力パラメータが上昇し、腕力パラメータが減少します。つまり、どんな種族へ【転身】しようと各パラメータの合計値は常に同じというわけです」
・・・なるほど、ベースっていうのはそういうことね。種族としての強さ自体はあくまで【戦人】に依存するのであって【転身】それ自体で強くなるわけでは無いってことか。
【竜人】に【転身】した時は見た目は【竜人】だが、中身のステータスは【竜人】そのものと言うより、【竜人】のようにパワータイプに特化した【戦人】になる、と考えた方が良いかも知れない。
【魔族】なら【魔法】に特化した【戦人】、【天使】ならサポートに特化した【戦人】という具合に各タイプに切り替えられるっていうのが【転身】というスキルの本質なんだろうな。
直接強くなるスキルというよりは、戦況に応じた種族に【転身】することで、戦い方の幅が大きく広がるスキル、ということになるわけだ。なるほど、確かに便利なスキルだな。
と、俺が結論付けたところで、アルマからレリエルに質問が上がった。
「・・・先ほど、本当に別の種族になれるとおっしゃいましたね? そうなると、例えば【看破】などで【転身】中のアルクさんのステータスを確認した時、アルクさんの種族は【戦人】ではなく、その【転身】した種族として見れる、ということですか?」
お、良い質問だな。確かに相手に、自分の種族を誤認させられれば有利になることが多いしな。
「勿論です。実際に種族が変わるスキルですから、スキルを使用した本人以外は皆、その種族だと認識されます」
とのこと。
で、あるならば例えば、
「【看破】!・・・アイツは【魔法】が苦手な種族だ!【魔法】で狙え!」
「ふ、甘いな!!」【魔法】に強い種族に【転身】。
「な、なんだと~~!?」
みたいなことができるってわけだ(笑)。燃えるな。
「姿を変えるだけなら【変身】や【変装】といったスキルがありますが、それらのスキルはあくまで見かけだけが変わるスキルで【看破】で見抜く事ができたり、時間制限や強い衝撃などで元に戻ったりしてしまいますが、【転身】にはそういった制限はありません」
【変身】や【変装】なんてスキルもあるのか。そういえばジェスターが【変装】した自分の顔の皮をバリバリはがしていたな。【変身】や【変装】なら見抜くことができても【転身】はタネも仕掛けもないから見抜くも何もないわけだ。
そうなると、種族的な制限がある場所へも問題なく行けるな。【魔法界】は【人間】サイドの国と【魔族】サイドの国にはそれぞれの種族でしか入れないらしいが、俺はこれでどっちにも行けるってわけだ。
他に制限がある場所でも俺にはモーマンタイ・・・なるほど、確かに有用でレアなスキルだな。さすが【リヴァイヴスキル】! 貴重な【レアアイテム獲得券】を一枚消費した甲斐があるってもんだ!!
・・・問題は、【転身】に設定する種族をどれにするか、だな。
一度設定したら変更不可ってあるし、慎重に決めないとな。
・・・せっかく意を決して【戦人】に【転生】したのに、また種族のことで悩まないといけないのか・・・
(*・ω・)*_ _)ペコリ
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