おまけ
「バイト先で知り合った人なんだけどさ、漫画も小説も自分で作って売ってるんだって。すごくない?」
「へぇ。お兄ちゃん、なんか楽しそうじゃん。その人のこと好きなの?」
「ち、ちげーよ。普通にすごいなって話。夏と冬にイベントで本出してるらしくて、今度見せてくれるって。なんか『薄い本』とか言ってたな」
「……夏と冬? 薄い本? あー、コミケか」
「コミケ……? ああ、コミックマーケットのこと?」
「そうそう。てか、お兄ちゃんがフルネームで言うなし」
「うるせーな。で、そのコミケってのが平井さんと関係あんのか?」
「関係あるに決まってんじゃん! コミケって、自分で描いた漫画とか小説を出せるイベントなんだよ」
「へぇ、そうなのか」
「オリジナル作品もあるし、好きな漫画とかアニメを題材にした本もあるし。ジャンルもめちゃくちゃ幅広いんだから」
「なんだよ、やけに詳しいな」
「お兄ちゃんが知らなさすぎるの。ていうか、オタク文化を甘く見ないでよね! オタクは陰ながら日本を支えてるんだから! 海外からも支持されてるし!」
「なんでお前が威張るんだっつの」
「で、その平井さんって人、同人作家さんなんだね」
「同人作家?」
「そう。自分で漫画とか小説を作って、同人誌として出してる人のこと。……でも、薄い本かぁ」
「なんだよ、急にニヤニヤして」
「いやー、ちょっと気になっちゃって。その人、もしかしたら腐女子かもね」
「ふ、腐女子?」
「えっ、そこから!? お兄ちゃん、マジで知らないの?」
「知らねえよ。なんなんだ、そのフ、ジョシ……?」
「ふふっ。じゃあ今すぐ調べてみなよ~」
「なにその不穏な笑みは……」
「いってらっしゃい、そしてようこそ深淵の底へ」




