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夜烏(昭和5年×必殺×百合)  作者:
夜烏1

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2話 

 

 深夜の静寂に包まれた住宅街を進むうち、行く手に大きな黒い影が見えてきた。

 月光を浴びて鈍く光る、重厚な鉄製の正門――朝霧子爵家の別邸だ。


 さて、どうやって中に入りましょうかね。

 女性連れで帰ってきたら、瑠璃さんに何を言われるのかしら。


 門の前に立ち、綾は隣で小さくなっている女性に悟られないよう、胸の内でそっと息を吐いた。

 まともに正面から入れば、誰かは起きているからばれるのはわかってはいるんだけど、私一人ならいざ知らず。

 女性にそんな事をさせる真似は出来ないしね。

 

 「あの……ここが、あなたのお家、ですか……?」


 不意に、寄り添う女性が消え入りそうな声で呟いた。

 見上げるような邸宅を前にして圧倒されているのか、それとも別の理由があるのか、ドレスの袖を握る彼女の指先にぐっと力がこもる。

 綾はいつものおっとりとした声音を取り戻し、優しく微笑みかけた。

「ええ、私の仕事場兼今の住処かしら。縁あって今は子爵様の厄介になっているの。表から入るわけにはいかないから裏口に回って入ろうか?」

「あ、はい」

 綾達は、裏口に回って鍵を回した。

 先に彼女を部屋の中に入れてから、綾自身も入ろうとしたけど、女性が先に行かないので何事かと思って前を向いたら、彼女が立っていた。


 そこにいたのは、瑠璃さんだった。

 館の光を背に受けた彼女の姿は、まるで一幅の美しい絵画のようだった。

 肩にかかる烏の濡羽色の髪がさらりと揺れ、逆光の中で極上のシルクのような輝きを見せている。

「……瑠璃さん、どうしてこんな時間に……」

 いつもなら、もうとっくにお休みになっている時間のはずだった。

「綾先生、教えていただけませんか?」

「何を?」

「この家の鍵を持っておられる方が、なぜ人目を気にするように裏手口から泥棒のようにお入りになっているのか――その理由を、説明していただけますか?」

 瑠璃の口元は微笑んでいるのに、その目元は全く笑っていなかった。

 視線が、綾の後ろにいる女性へと向く。

「……そちらの女性に、乱暴でも働いたのですの?」

 瑠璃は、女性の乱れた服装と、手首に残る赤いあざを見咎め、綾の方をキッと睨みつけてきた。


 確かに、起こしては悪いと思ってこそこそ裏口から帰った自分にも非はある。けれど、やってもいない身に覚えのない罪で文句を言われる筋合いはなかった。


「そう目くじら立てられると、話したくても話せないんだけどね。……お話、聞く気はある?」

 綾は努めて冷静に問いかけた。

 ピリピリとしたこの空気に、耐えられなくなったのかもしれない。

 背後にいた女性が、おずおずと自ら瑠璃に向かって声を絞り出した。


「あの、すみません……えっと、私は、助けていただいて……。もしご迷惑でしたら、すぐに帰りますので!」

 彼女が怯えたように回れ右をして帰ろうとしたので、綾は慌ててその身体を通せんぼした。

「ダメだよ、帰ったらまた先ほどのごろつきに狙われるかもしれないでしょ。ここだったら手を出されないから連れてきたんだから」

 綾の言葉を聞いた瞬間、瑠璃はすべてを察したようだった。

 キリッとしていた目元がふっと和らぎ、元の優しい令嬢の顔に戻る。


「お帰りなさい、綾さん。そして貴女も、どうぞお入りになって」

 瑠璃はそう言って、髪をさらりと揺らしながら、二人を迎え入れるように道を譲った。

 綾はメイドを起こすのも悪いと思ったので、厨房に行って紅茶を淹れた。棚の中にあったクッキーを菓子鉢に移し、お盆に乗せてリビングルームへと持っていった。

「綾先生、それ」

「簡単に食べられるものがあった方が、良いかなって思ってね」

「構いませんわ。明日になってメイドに怒られるのは先生ですもの」

「あのね、いつも言っているんだけど」

「『先生』はやめろ、と言うのですわね。――綾さん。わかりましたわ」

 綾はやれやれといった苦笑を香織に向けながら、「どうぞ」と紅茶を差し出した。

 女性は、目の前に置かれた美しいティーセットに一瞬驚いた表情を見せたが、思いのほか上品な所作でカップへと手を伸ばした。その手つきは、育ちの良さを感じさせるものだった。


「私は櫻井綾。この家の居候ね」

「綾さん、居候って……」

 瑠璃が呆れたように声を挟むのを流しながら、綾は彼女に微笑みかけた。


「そして、こちらがこの屋敷の主の、朝霧瑠璃さん」

「朝霧って……あの、子爵様の?」

 香織が目を丸くする。

「そうね。ただ、この家も正確には私の物ではなくて、父の物ですけれど」

 瑠璃はそう謙遜するが、実際この家は、瑠璃が十六歳になった時に子爵からプレゼントされた別邸だった。

 だから、綾が説明した「所有者」という言葉もあながち間違いではなかった。


「それで綾さん。どのような経緯があって、その女性をここに連れて来られましたの? ……それとも、カフェーの女給さんの噂は本当で、一夜の恋の相手ですの?」

 少し棘のある瑠璃の視線を受け、綾は首を振った。

「子爵様とも約束したでしょ。そういう破廉恥なことで子爵様の顔を潰すような真似はしませんよ」

「本当にそう思うのなら、夜のカフェーのお仕事をおやめになればよろしいのに」

「実りもいいですしね。自由気ままな私には丁度いいんです。――って、今は私の仕事の話より、彼女のお話を聞きませんか?」

 綾に促され、瑠璃もハッとしたように香織の方へとしなやかな視線を向けた。

「……改めまして、私は新庄香織と言います」

 新庄、という響きに、綾の脳裏を何かがよぎった。記憶の糸を手繰り寄せようとするが、すぐには核心に届かない。

 綾が思い出せずにいると、その名前に心当たりがあったらしい瑠璃が、すっと目を細めて香織に尋ねた。

「確か、この間倒産した家が新庄っていう名前だったと思うけれど……何かご関係が?」

 香織はきゅっと唇を結び、恥ずかしそうに顔を下に向けたまま、小さく首を縦に振った。

「家の恥を忍んで言います。瑠璃様のおっしゃった通り、先日倒産いたしました新庄家の者です……」

 香織は胸が締め付けられるような羞恥と、相手が名門の子爵家であるという気後れから、余計に深く俯いてしまった。


「皆様は、ソーラーというものをご存じですか?」

「あの、洗濯機の?」

 綾が記憶を掘り起こして尋ねると、香織は小さく頷いた。

「はい。私どもはその洗濯機自体を扱っていたわけではありませんが、その防音・防錆グッズを売り出そうとしていた矢先でした」

「それがあるのなら、うちも助かるわね。それで、開発は成功したの?」

 それもそのはず、この別邸でも洗濯機を使う時の音といったら、もう騒音を通り越して『被害』と言っていいレベルのうるささなのだ。

 もしこれが一般家庭の木造住宅だったなら、家全体がガタガタと揺れ動いてしまうのではないかと思うほどの凄まじい爆音だった。

 それを抑えるグッズとあれば、瑠璃が食いつくのも無理はなかった。

「あ、はい……成功した、まさにその矢先でした。それまでに膨らんだ借金のかたに、すべてを奪われてしまいまして……」

 そこまで言うと、香織は堪えきれずにポロポロと涙をこぼし始めた。


「すべての商品を差し押さえられてしまい、先日、ついに家まで売ろうと考えていたところだったのです」

 瑠璃と綾は思わずお互いの顔を見合わせた。

 没落した商家。残された美しい娘。この後に続くのが、どのような下種(ゲス)な提案であるか、二人には容易に想像がついた。


「私を嫁に迎えるのであれば、援助をしてくれるという家が名乗りを上げてくれたのです。……けれど、私には心に決めた方がおりましたので、どうしてもそのお話を拒絶しておりました。深夜なのは重々承知の上で、先方にそのお断りを言いに行った帰り道で……」

「それで、私と鉢合わせたってことね。なんだか力尽くで腕を引っ張られているようだったから、つい声をかけちゃって。このまま放っておけないと思って、ここまで連れてきたの」

 綾が言葉を補うと、瑠璃は痛ましげに、けれど冷静に状況を整理するように頷いた。

「ええ、事情は分かったわ。商売のことは今更どうにもならないと思うの。先方とどのようなお話になったのかは分からないけれど……一つ伺うけれど、貴女は今、何かお仕事をされていますの?」

「いえ……仕事というものは、したことがありません」

「貴女、タイピングやそろばんは?」

 瑠璃の問いに、香織は涙を拭って顔を上げた。

「英文と和文のタイプ、それにそろばんも一通り扱えます。実家が商売をしておりましたので、そろばんはもちろんのこと、外国とのやり取りもありましたから」

「……そう。では、今日は空いているお部屋を用意しますので、そこでお休みください。ご実家の方には、明日私の方から連絡を入れておきますわ。もし貴女さえよろしければ、お仕事の紹介もできますけれど」

 瑠璃の思いがけない提案に、香織は信じられないといった様子で彼女の顔をじっと見つめた。

「……本当によろしいのですの?」

「確か、米国大使館の方で秘書の手が足りないと聞いた記憶がありまして」

 そう言いながら、瑠璃はすっと綾の方へと視線を向けた。

「本当は、どこかの誰かさんが夜のカフェーをおやめになる気があるのなら、ご紹介しようと思っていた職業なんですけれどね」

「なら、今まさに困っている彼女にそのお仕事を譲った方が、みんな幸せになって喜ぶと思うけど?」

 悪びれもせず、どこまでもマイペースに微笑む綾を見て、瑠璃はあからさまなため息をひとつついた。





 瑠璃は、少し席を外してリビングの隅にある電話機の方へと歩いて行った。

「朝霧ですが、本家の方に連絡を通してくださいまし。瑠璃が少しお話がございますので、と伝えてくださいな」

 交換手にそう告げてから、およそ一分が経った頃。カチリと接続される音がして、目当ての人物が電話口に出た。

「こんな夜更けにどうしたのだ?」

「今晩はお父様」

「今晩は」

「お父様、以前仰っていた、米国大使館の方で秘書が足りないというお話は、まだ生きておりますか?」

「……彼女が、ついに折れたのか?」

 受話器の向こうで、父である子爵の声が弾んだ。父も綾の危うい夜仕事を心配しており、どうにか堅実な職業へ斡旋したいと考えているのだ。

「残念ながら、あの方は折れてくださいませんでしたわ。実は今、乱暴者に襲われていた女性を、綾さんが助けてこちらに連れてきているのですけれど」

「ふむ」

「その方、英文と和文のタイプが扱えて、そろばんもできるそうですの。先ほど聞き忘れてしまいましたけれど、英語もきっとお出来になると思いますわ」

「瑠璃、お前は明日、実家の方に来る予定であったな?」

「ええ。明日はお花の稽古がございますので、綾さんを連れて伺おうと思っておりました」

「ならば、一緒にその娘も連れてきなさい。私がきちんと面談をしてから決める」

「ありがとうございます、お父様」

「礼を言うのなら、採用が決まってからにしなさい。明日会えるのを楽しみにしているよ」

「私もですわ」

「詳しい話は家で聞こう」

「はい。おやすみなさいませ」

 瑠璃は電話交換手に丁寧に礼を言うと、そっと受話器を黒いフックへと掛けた。




 電話が終わったようで、瑠璃がリビングの席に戻ってきた。

「綾さんには明日の予定を言っていると思うのですけれど」

「明日は本家の方に行くから、その付き添いだよね」


 日常の綾は、語学の先生以外にも、瑠璃と一緒に行動する時は用心棒としての役割も担っていた。

 ただの教師ではなく護衛も兼ね備えているからこそ、子爵も彼女が夜にカフェーで働くことを暗黙の了解で済ませていたのだ。

 ただし、破廉恥なことで子爵の顔を潰すような真似は絶対にしないという約束をして。

 そうでなければ、いくら縁があるとはいえ、由緒ある朝霧子爵家の敷居を跨ぐことなど許されなかっただろう。


「香織さんも、少し電話の声が聞こえていたかもしれませんが、明日はご一緒に本家まで来ていただきますわ」

「よろしいんですの……?」

「ええ。私はチャンスを与えただけですわ。それを掴むのか、手放すのかは貴女次第ですわ」

「ありがとうございます!」

「お礼は、採用が決まってからにして頂戴」

 瑠璃は少し頬を赤く染めながら、プイとそっぽを向いた。

 厳しく突き放すようなことを言いつつ、本質はどこまでも優しい教え子の姿に、綾はつい口を滑らせる。

「言って照れるくらいなら、最初から言わなければいいのに」

 その瞬間、瑠璃から飛んできた視線がすこぶる痛かった。

 ギロリと睨むその目に、綾は余計なことを言わなければよかったと内心で後悔した。


 そんな深夜のやり取りや、電話の音のせいだったのだろう。

 何事かと、この別邸で暮らしているメイドが奥から起き出してきてしまった。

 綾が簡単に事情を説明し終えるや否や、メイドの説教が始まった。

「あの……なんで私が怒られなきゃいけないわけ?」

 理不尽さに思わず不満を漏らす綾に、メイドは腰に手を当てて鋭い視線を向けた。

「そういう事態が起きたのでしたら、すぐに私どもを起こしてくださいませ。お客様がいらしたのに何の準備もできていないなど、朝霧家の名折れです。それに、香織様の御部屋も準備しなければなりませんのに」

「……部屋なら、空いているところがあるよね?」

「お部屋はありますよ。ですが、ベッドの上の布団のしつらえですとか、そういった『準備』というものがあるのですよ」

 びしっと正論を突きつけられてしまい、綾はぐうの音も出ず、何も言い返すことが出来なかった。



 結局、お風呂の用意などが整うまでの間も、香織は「何かお手伝いできることはありませんか」と健気に立ち働いていた。

 その素直で育ちの良い振る舞いは、怒り心頭だったメイドたちにも好印象だったようで、いい雰囲気で迎え入れられている。

 居候の自分より、よほど彼女の方がこの家に馴染むのが早そうだ。

 そんなことを思いながら、綾は自分の役目は終わったとばかりに足早に退散し、用意された浴室へと向かった。

 服を脱ぎ捨てて湯船に身を浸すと、夜のカフェーの仕事の疲れが、じんわりと解きほぐされていく。

 ふぅ、と長い息を吐き出し、濡れた銀色の髪をかき上げた。湯気の向こう、鏡に映る自分の赤い瞳は、少し眠たげに潤んでいる。


 ……新庄、香織、か。明日の面談、上手くいくといいけどね


「――あの、綾さん」

 ふいに脱衣所の方から控えめな声がして、綾はハッと顔を上げた。見れば、湯気の中に香織がはにかみながら入ってくるところだった。メイドたちに勧められ、先に汗を流しなさいと言われたらしい。


「あら。……どうぞ、広いから一緒に入りなよ」

「失礼します……。あの、本当にありがとうございました」

 香織が白い肌をほんのり赤く染めながら、ゆっくりと湯船に身体を沈めてくる。

 お湯に浮かぶ彼女の豊かな胸元や、お嬢様らしい華奢な肩のラインが、いや増して艶めかしく見えた。

 ふと、香織が濡れた瞳で綾をじっと見つめてきた。その視線には、命の恩人に対する純粋な憧れと、それ以上の熱い感情が混ざっているように見えた。


「綾さんって……とってもお綺麗ですね。銀色のお髪も、まるで月光を浴びた絹のようで……」

「お世辞が上手いね、お嬢様。でも、私なんかより貴女のほうが、よほど色気があるよ」


 綾は悪戯っぽく微笑み、香織の顎にそっと指先を添えて、ぐっと顔を近づけた。

 お互いの吐息が触れ合うほどの距離に、香織の肩がどきりと跳ねる。熱い湯気のせいだけではない赤みが、彼女の耳の裏まで染め上げていく。


「……あ、綾、さん……っ」

「ふふ、可愛い。明日は子爵様との面談なんだから、今夜はしっかり温まって、綺麗な顔を作っておかないとね?」

 耳元で囁くような綾の声音に、香織はすっかり翻弄され、顔を真っ赤にしてコクコクと頷くことしかできなかった。


 綾が先にお風呂から上がると、まだリビングに残っていた瑠璃と視線がぶつかった。

 彼女は、すこぶる機嫌の悪そうな顔でこちらをじっと見つめている。

 綾はやれやれといった風に小さく苦笑し、静かに彼女の元へと近づいた。


「瑠璃さんは、どうしてそんなに不機嫌なの?」

「別に。綺麗なお嬢さんとお風呂に入れて、さぞかし楽かったのだろうと思っていましたわ」

「私が一緒に入ろうって誘ったわけじゃないよ?」

「――知っておりますわ、そんなこと」


 ツンとそっぽを向く瑠璃の斜め後ろへと、綾はゆっくりと回り込んだ。

 そうして、彼女の華奢な身体を背後からふわっと優しく抱きしめる。

 お風呂上がりの熱を帯びた綾の肌と、微かに漂う湯の香りが瑠璃を包み込んだ。


「もし、私が街で彼女を見捨てていたら?」

「……そんな薄情な人なら、この家から叩き出して行ってもらうわ」

「なら、私は何も悪いこと、してないよね?」

「そうね……」


 背中から抱きしめられた瑠璃は、それ以上拒むこともせず、自分の胸元に回された綾の温かい手を、自らの手で優しく包み込んできた。

 愛おしそうにその指先をなぞりながら、瑠璃はぽつりと、消え入りそうな声で呟く。

「そうね。見捨てない、優しい貴女だからこそ……私は、貴女に……」

「瑠璃さん? 今、なんて言ったの?」

 耳元で尋ねると、瑠璃はハッと我に返ったように首を振った。

「……秘密よ、秘密。何でもありませんわ」

「そお?」

 綾はそれ以上深くは追及せず、ただ心地よい重みを味わうように、しばらくその姿勢のままでいた。

 言葉はなくとも、お互いの体温がじわりと伝わってくる。

 やがて名残惜しさを感じながらも、綾はゆっくりと瑠璃の身体から腕を離した。


「それじゃあ、そろそろ寝ますね」

「ええ、明日はよろしく頼みますね」

「はいはい。瑠璃さんもよく休んでくださいね。明日のお花の稽古中に寝ちゃったりしたら、お師匠様に怒られますよ?」

「寝ません!」

 ぷっと頬を膨らませる瑠璃の顔に、綾は笑いながら「おやすみなさい」と告げて自分の部屋へと戻っていった。

 

 ちなみに、廊下の影からこの甘い雰囲気をしっかり盗み見ていたメイドが、ニマニマと怪しい笑みを浮かべていた。

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