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追放された無能と呼ばれた俺、言葉で仲間を取り戻す  作者: 紅蓮シュウ


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第26話 見えてしまったもの

 ――見えた。


 “形”が。


 今まで、そこにあったはずなのに認識できなかったものが、はっきりと輪郭を持って浮かび上がる。


「……っ!」


 視界が歪む。


 ただ“見る”だけで、頭の奥が軋む。


 理解しようとした瞬間に、拒絶されるような感覚。


「……アーヴェル!」


 レグナスの声が飛ぶ。


 だが、反応が遅れる。


 目が離せない。


 あれは――


「……構造、か」


 言葉が漏れる。


 “存在”じゃない。


 “仕組み”だ。


 積み重なった何か。


 無数の“意味”が重なり合って、ひとつの形を成している。


「……何が見えてる」


 フェルナンの声。


 だが、説明できない。


 言葉にすると、壊れる。


「……分からない」


 正直に言う。


 でも――


「……でも、あれが“根本”だ」


 確信だけはある。


 間違いなく。


「……っ」


 その瞬間。


 圧が、さらに強くなる。


 さっきまでとは違う。


 “見たこと”に対する反応。


「……拒否」


 再び、その言葉。


 だが、今度は明確に敵意がある。


「……見られたくない、ってことか」


 苦笑する。


 余裕なんてないのに。


「……なら」


 歯を食いしばる。


「見るしかないだろ」


 視線を外さない。


 逃げない。


 その瞬間。


 頭の中に、情報が流れ込んでくる。


 強制的に。


「……っ!?」


 視界が白くなる。


 音が消える。


 そして――


 “映像”が見える。


     ◇


 無数の人間。


 同じ顔。


 同じ動き。


 同じ言葉。


 ズレがない。


 完全に揃っている。


 完璧に。


 そして、その中心に――


 “空白”がある。


 何もない。


 でも、そこからすべてが出ている。


 指示が。


 命令が。


 意味が。


     ◇


「……っ!!」


 現実に戻る。


 息が荒い。


 心臓がうるさい。


「……今のは……」


 ミレイアが息を呑む。


 ただならぬ様子を察している。


「……見えた」


 短く言う。


「……何が」


「……あれは、“作ってる”」


 言葉を絞り出す。


「人間を」


 その一言で、空気が凍る。


「……は?」


 フェルナンが声を漏らす。


「……どういう意味だよ」


「……揃えてるんじゃない」


 首を振る。


「……作り直してる」


 ズレを消すんじゃない。


 最初から、“ズレないもの”にする。


「……だから、“完全性”か」


 ミレイアが理解する。


 早い。


「……ああ」


 頷く。


「不完全なものは、作り直す」


 それが、あれのやってること。


「……ふざけてるな」


 レグナスが低く言う。


 怒りを抑えた声で。


「……人間を、部品みたいに扱ってる」


「……違う」


 俺は言う。


 自然と。


「部品ですらない」


 視線を“根本”に向ける。


「……素材だ」


 その言葉で、全員が黙る。


 理解したからだ。


 どれだけ、異常な存在か。


「……だから」


 結論に辿り着く。


「……一回じゃ足りない」


 選択も。


 言葉も。


「……積み重ねるしかない」


 その時だった。


 少女の手が、動く。


 ゆっくりと。


「……あ」


 小さな声。


 かすかに。


「……私……」


 目が、開く。


 完全に。


 さっきとは違う。


 はっきりと、意識がある。


「……起きたか」


 思わず声が出る。


「……ここ……は」


 周囲を見る。


 状況を把握しようとしている。


 混乱している。


 でも――


「……覚えてるか」


 静かに聞く。


 少女が、こちらを見る。


 そして――


「……選んだ」


 小さく言う。


 その一言で、すべてが報われる。


 あれは消えてなかった。


 残っている。


「……ああ」


 頷く。


「ちゃんと、残ってる」


 その瞬間。


 “根本”が、強く反応する。


 今までで一番。


「……排除」


 その言葉と同時に。


 “形”が、動く。


 はっきりと。


 今までの比じゃない。


 直接、来る。


「……っ!」


 全員が構える。


 だが、分かる。


 これは――


 今までの敵じゃない。


「……来るぞ!」


 レグナスが叫ぶ。


 だが、間に合わない。


 圧が違う。


 次元が違う。


 その瞬間。


 少女が、一歩前に出る。


「……待って」


 その一言。


 弱い声。


 でも――


 意味がある。


 確かに。


 “根本”が、止まる。


 一瞬。


 完全に。


「……っ!?」


 全員が息を呑む。


「……私……」


 少女が、言葉を続ける。


 震えながらも。


「……選んだ」


 もう一度。


 同じ言葉。


 だが、今度は――


 強い。


 その瞬間。


 “形”が、大きく揺れる。


 今までで最大に。


「……効いてる!」


 ミレイアが叫ぶ。


「……まだだ!」


 俺が叫ぶ。


「もっと――!」


 その時だった。


 少女が、こちらを見る。


 まっすぐに。


 そして――


「……名前、分かった」


 小さく言う。


 その一言で。


 世界が、止まった。


     ◇

ついに「名前」に到達しました。

ここはこの章の最大の山場に入ります。


次話は大きな回収と爆発になります。

ぜひ見逃さずに追っていただけると嬉しいです。


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