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裏路地占い師の探し物 ~勇者様のせいで占い師を続けられなかったんだ。~  作者: 61
第3章:遺跡になんて行きたくなかったんだ。
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パレード

第3章 遺跡になんて行きたくなかったんだ。

--パレード--


あらすじ:冒険者の格好で喜んでいたらジルに笑われた。

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遺跡に行くために王宮に行ったら、豪華なパレード用の馬車に乗せられた。


前に勇者様達が乗っているのを見たことがあるアレだよ。馬車の上の姿が見えるようになっていて、周りの人に手が振れるようになっているんだ。あの時のボクは道の端から見ているだけだったけど、今回は勇者様といっしょに乗ることになってしまった。


何も聞かされていなかったから、てっきり普通の馬車に乗ってそのまま遺跡に行くと思っていたんだ。


勇者様達と馬車に乗せられて王宮の前の広場まで連れて行かれる。ここは勇者様が『雷鳴の剣』のお披露目会をして魔獣を風に消していた広場で、あの時のように勇者様達を一目見ようと街の人たちが大勢詰めかけてきて歓声を上げている。


勇者様が街の人たちの歓声に応えていると、ファンファーレが鳴ってバルコニーに立つ王様の演説が始まった。


(いわ)く、今使っている『雷鳴の剣』は素晴らしい剣だけど魔王軍を押し返すには至らなかった。もっと力のある『勇者の剣』が見つかったから手に入れてその力を示して欲しい。今回の旅の目的を街の人にも解るように説明しているようだった。


つまり、勇者様が『勇者の剣』を取りに行く出発を大々的に宣伝するセレモニーをしているんだね。ひっそりと街を出ても変わらないと思うんだけど。


「勇者のために作られた伝説の剣だ。勇者よ、『勇者の剣』を手に入れて迫りくる魔王の手から王国を護って欲しい。」


「はっ、必ずや『勇者の剣』を手に入れて、更なる力を得てきます!」


バルコニーから響く王様の演説に勇者様が応えると、街の人たちの歓声はひときわ大きくなった。音楽と共にセレモニーは終わり、今度は楽隊が出てきてパレード用の馬車はゆっくりと進んで大通りを街の入り口に向かって行った。街の人は皆、勇者様に期待するかのようにコールを送る。


本当にパレードになってしまった。


(え?まさかコレで魔王の森まで行くの?)


ジルに聞いても解らないだろうけど、ボクは聞かずにはいられなかった。パレード用の馬車は(ほろ)も屋根もない、上に立って手を振るために作られたような飾りだけの馬車なんだよ。ずっと太陽に晒されていて、これから何日も旅をするのに向いているようには思えない。


(いや、後ろに屋根の付いた馬車が居るだろ。街を出たらアレに乗り換えるんだ。)


後ろを見ると、街で見かけるモノより1周り大きい馬車が静かに付いて来ていた。周りをすっぽりと覆われた箱型の馬車で綺麗な青色で塗られているのだけど、馬では無く魔獣が引いていた。


(魔獣が引いているの!?)


魔獣を手なずけたなんて話は聞いた事もない。パレード用の馬車は普通の馬に衣装を着せて豪華にしているんだ。


(いや、魔法使いが作った物らしいぞ。詳しくは知らないけど、普通の馬車の倍のスピードで目的地に着くらしいぜ。)


(それはすごいね。)


ボクは乗っているパレード用の馬車の周りをなるべく見ないようにして返事をする。パレードをしているんだから周りには人だかりができているんだ。王様が言ったように勇者様が新しい力を得て魔王を倒すことを期待している声が聞こえる。


「勇者様~!がんばって~!」


と言う勇者様一行を称える声の中に、小さくボクの噂話が聞こえてくるのが解る。


「アイツが『勇者の剣』の場所を言い当てたらしいぜ。」


「まさか、占い師なんかに場所が判る訳ないだろ?」


「アイツ、裏路地で見た事があるぜ。どうやって勇者に取り入ったんだ?」


こんなに目の前で噂されるとは思っていなかったので、すごく恥ずかしい。


(気にするなよ。前を見て堂々と行こうぜ!お、そろそろ冒険者ギルドの前だぜ。誰かいるか?)


誰からも注目を浴びないジルが今日ばかりは羨ましい。


(ん~、みんな居るね。)


(ヒョーリも手を振り返したらどうだ?相棒!)


マッテーナさんをはじめソーデスカにアーノネネ、ハイデスネもみんなが手を振ってくれているけど、これだけ注目を浴びた状態で手を振り返すのも恥ずかしい。悩んでいるとボク達が乗る馬車の前に小さな人影が飛び出してきた。


馬車を引く馬が人影に怯えていななく。


「オジちゃん!」


小さな人影がボクに呼びかけるけど、返事をする前に馬車からすばやく飛び降りた勇者様が人影に声をかけた。


「お嬢ちゃん。馬車の前に飛び出すなんて危ないじゃないか。オレに何の用なんだ?」


「ううん。勇者なんかに用は無いの。迷子探しのオジちゃんにプレゼントがあるの。」


小さな人影は勇者様に(おく)すことなく言い返す。そう、孤児院の小さな女の子、コロアンちゃんだ。相変わらず元気いっぱいで、勇者様には目もくれずにボクに近づいてきた。


「院長先生から街の外にお出かけするって聞いたからね。お守り作って来たの。」


急いで馬車から降りたボクにコロアンちゃんは小さな布の袋を渡してくれた。この布は見たことがある。もっと小さかったころに彼女が着ていた服のモノだろう。少し荒っぽい縫い目で袋を作った跡が見える。


「ありがとう。早めに帰って来れるように頑張るよ。」


「気を付けて行って来てね!待ってるから!!」


元気よく手を振る彼女に感動していたボクには、勇者様の表情が見えていなかった。



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次回:静かな『魔獣の馬車』





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