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転生したら武器が恵方巻きで山  作者: 鼻ふぇち
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第4章

知らない町がそこにあった。


ゲートの設置の為スクーターで先行したカッキーも目的地に町があるとは聞いていなかったので妙に思ったが、追って転移してきたレーヌや彩奈の驚きはそれ以上であった。


「場所はここで間違いありませんが・・地図には記されていませんよね?」


「ああ。そもそもここいら一帯は湿原のはずだ・・どういうことだ?」


埋め立ててその上に町を闢くにしたところで、その作業だけで十何年。町として栄えるには開拓を始めてから百年以上はかかるかも知れない。


大体、そうまでしてそんな土地を開拓しようということ自体が不自然なのだ。


一行は警戒しながらもまずはその町に足を踏み入れた。位置的にはここの祠もこの町の近くにある可能性は高い。


「見たところ、普通の平和そうな町だな。人もたくさん住んでるみたいだし・・」


ウッキー ウッキー!


都市ほど大規模ではないし、家の高さもせいぜいが二階建てで見渡す限りは宮殿や総督府のような象徴的な大建造物もない。

だが、カッキーには長い年月育くまれてきた『歴史』がこの町には感じられるような気がした。


「聞き込みで情報を集めてみるか?」


「待ってください彩奈。その前に、何人かに魔力探知を。」


霊獣・魔獣・そのハイブリッド、これまで戦ってきた相手の配下はどれもライカンスロープやその亜種である。

基本的には人間が、何かのきっかけや自分の意思で他の動物の能力を身につけた『獣人』に変身するもののことを言うが、中には動物をベースにしているのもいる。

共通しているのは、魔法的な力で変異した者たちであるということだ。


レーヌは、道ですれ違った人々にこっそりと魔力探知の魔法をかけていった。ライカンスロープ化している者が一般の町民にかなり紛れ込んでいるならば、何人かにひとりは反応があって良いはずだ。


「・・反応ありませんね・・」


「気は済んだかお姫様。では・・」


彩奈は、まず軒先で地面に絵を描いて遊んでいた小さな男の子に目を付けた。

後で聞いたところによると、得体の知れない場所での情報収集ならば年端もいかない子供からというのはけっこう常套なのだとか。

情報の質はともかく、子供は大人ほどには唐突に振られた話に嘘を交えて答えるのがうまくはない、というのがその理由だ。


「ふむ、上手だな。これは何の絵だ?」


先に上手いと言っておきながら、何の絵かを聞く。彩奈にはこのようにけっこうザックリとしたところがある。

だが、当初の目論見通り、子供はあまりそういうことまでは気にしない。それよりも『上手』と褒めてもらったことであっさりと彼女のことを『いい人』と認めたようである。


「リトロマインさま。お馬に乗って悪者をやっつけに行くところだよ。」


男の子はすぐに無邪気な笑顔を向けるとそう答えた。


「リトロマイン? あの、霊獣と共に敵対因子と戦ったという・・伝説の騎士リトロマインのことか?」


「? テキタイ・・? なにそれ分かんないや、でもリトロマインさまは騎士だよ。」


カッコいいんだ、ボク大きくなったらリトロマインさまみたいな騎士になりたい!


「そうか。きっとなれるからガンバるんだぞ。だが、そんな昔話に出てくるような伝説の騎士をよく知ってるな。お父さんに聞いたのか?」


彩奈は古い伝承に出てくるような、という意味で『昔話』という子供に分かりやすい言葉を使っただけである。

実際には、まだ幼稚園くらいの幼子が古事記や日本書記のスサノオだとかヤマトタケルだとか、ちょっと小難しい物語に出てくる英雄のことを話しているようなものだと思ってくれていい。


男の子は蝋石で絵を書いていた手を止めて、キョトンとした顔で彩奈を見ると首を傾げた。


「おばちゃんの言ってるのと違うかも?」


リトロマインさまは、ちょっと前にこの町に来たんだ。ボク握手してもらったもん。


『おばちゃん』という呼び方にちょっとこめかみをピクつかせながらも、彩奈はにこやかな笑顔を貼り付けていた。

まぁ、彼女の外見なら子供の目から見てもおねえさんが妥当なのだが。。いかんせん物言いや声のトーンがおばさんどころかオッサンくさい。子供というのは、視覚にだけ頼って世界を見ているわけではないので、致し方なしと言ったところか。


「そ、そうか・・よし、ではそのうち英雄騎士リトロマイン=ルベルブラストと敵対因子の戦いの物語も誰かに聞かせてもらうといい。そっちのリトロマインさまもカッコいいぞ。」


「あれえ? やっぱり同じなのかな? おばちゃんのお話ちょっと難しいケド・・」


ボクを撫でてくれたあの騎士さまも『リトロマイン=ルベルブラスト』っていうんだ。


その後、老若男女いろいろ話しかけてみたが、概ね会話はごく普通に交わされた。

かなり独自の文化も垣間見れたが、基本的な生活様式はどこの町や村とも変わらない。


だが、先ほどの男の子から聞いた騎士『リトロマイン』のことを尋ねてみると、町の大人たちは皆口を揃えてこう話した。


あのお方には我々の希望の全てがかかっている。悪しき闇にミリステランの全土が滅ぼされてしまう前に、あのお方が霊獣たちと手を結び立ち上がってくださった。

この町の祠で崇められてきた霊獣『ペリノニム』様を仲間へ迎えるため、あの方はこの地へやってきたのだ。


どの人が言うことも、かいつまむとこのような内容である。


「みんな、ずっと大昔の人みたいなこと言ってるってことだよね?」


「そうですね。。何者かに記憶を操作されているわけでもないとすると・・?」


この町の人と話をするにつけ、はるか伝承以前の時代に迷い込んでしまったような気になってくる。


「まぁ、総出で口裏を合わせて私たちをかつごう・・って風でもないな。で、どうするんだレーヌ。祠の位置は聞けたことだし、そこへ行くか?」


町外れにあるという祠の場所も、町の人は親切に教えてくれた。話しかけるごとにレーヌは魔力探知を行なったが反応は一切なし。みんな気のいい人たちだった。


「その前に、もう一箇所だけ尋ねてみてもいいですか? 出来るだけたくさんの本が集められているところに行きたいのです。」


図書館という施設があれば、そこはおそらくもっとも書物がある場所だろう。だが、聞いてみても町の人たちは皆首を傾げる。そういう厚生施設の概念がないようだ。


しかしながら、そこに人が住み何世代にもわたって生活を営んできた場所になら、大なり小なりまず存在しているものがある。

知識、倫理、道徳などを後世に伝えるためのその施設に本の蓄えは必要不可欠だ。

そう、『学校』である。


この町で、もっとも高度な教育を施している場所。そういう聞き方をすれば、その建物はすぐに見つかった。


「中央都市ダミナートより、見聞の為にこの町を訪れました。レーヌ・リネサキと申します。」


レーヌが胸からペンダントを取り出して見せると、応対に出てくれた壮年教師は、厚縁メガネをちょいと持ち上げながらしげしげとそれを見た。


「ダミナート? ああ、ダミナートからお出でですか。遠いところをわざわざ・・このペンダントがどうかしましたか?」


まぁ、よろしいですよ。生徒はみな帰りましたし、今は特に忙しいこともないので見学したいのなら私が案内しましょう。


レーヌがフルネームで名乗っても、ペンダントを見せてもそれらしい反応はなかった。ただ、ダミナートだけは知っている、そんな風だ。


「しかし、どこをお見せしたら良いのでしょうか? 先ほども申し上げました通り、今日は授業が全部終わっておりますし、放課後に試合などの予定もないのですが・・」


「実は、私は古今東西の書物に深く興味を持っておりまして。こちらの書庫を拝見させていただければ幸いなのですが。」


「図書室ですか? 構いませんが・・この町の書物も主にダミナートから仕入れた写本なので、ご期待に沿えるかどうか。」


そんなレーヌと壮年先生との会話を耳に入れながら、カッキーと彩奈はその後を付いて行く。

さすがにタカは校内NGだったので、校庭の遊具でしばし遊ばせておくことにした。生徒がまだ残っていれば物珍しさで人気者となっていたかも知れないが、廊下を歩いて行く途中に見えた校庭には人っ子ひとり残ってはおらず、タカはギャラリーのいない中で寂しげに鉄棒の大技を繰り返していた。


図書室ではカッキーはヒマだった。壮年先生のように適当に本でも見つけて待てばいいのだが、実は彼は基本的にこの世界の文字がまだ読めない。図鑑などの類をパラパラとめくっては、本棚と机を行ったり来たりするしかなかった。


対して、レーヌと彩奈はかなりのスピードでさまざまなジャンルの本を手にとっては棚のものと入れ替えていた。

同じくパラパラと目を通すだけでも、カッキーのそれとはまるで意味の違うことが気迫で伝わってくる。


「・・君は、本はあまり好きではないのかな?」


気を遣ってくれたのか、壮年先生が退屈さを隠しきれないでソワソワとしていたカッキーに話しかけてくれた。


「ハァ・・あまり本を読まずに育ったものでして。物語とかは嫌いなワケではないんですが・・」


「ほう! どんな物語が好きかね?」


カッキーは壮年先生の対応に、この人はきっといい教師なのだろうと思った。

あまり本を読まないと聞いても、あくまで少しでも興味のありそうな方へとうまく会話を膨らませてきた。


物静かな雰囲気の中に温かみをたたえるその低い声も手伝って、ついつい会話を続けてしまいたくなる。


「伝承とか・・この世界が出来たあたりの・・ですね。」


本当はもっと彼を喜ばせられるような話をしたかったのだが、残念ながらカッキーはそのくらいしか知らないのである。


「そうか、私もミリテスランの創世に関する物語は大好きだよ。特に9体の守護霊獣が生まれていくところなど、ロマンがあっていいとは思わないかね?」


やはり。この先生なら生徒の長所をうまく伸ばしてくれそうだ。


あれ? でも。。


「この世界に生まれた守護霊獣って、ぜんぶで8体じゃないんですか?」


確か、ダミナートの宮廷の庭でリネサキに見せてもらった物語ではそうなっていたと思うけど・・


「ん? 伝わり方によってはそうなっているのかな? いや、守護霊獣はぜんぶで9体生まれたんだよ。まず世界の東西南北に4体、それからその狭間に4体、そして世界の中心に最後の1体だ。」


もっとも君の言う通り、後に1体減って8体となり今に至るのだがね。もしかするとそれで混乱しているのかな?


いや違う。それは、レーヌのペンダントに記憶された物語では語られてはいなかった。


「。。減った。。? では、その9体目の守護霊獣はどうなったんですか?」


「それでは、改めて教えてあげよう。そこが創世物語の霊獣に関するくだりのなかでもいちばん面白く、そして怖い部分さ。」


最後に生まれた霊獣は、間もなく邪悪なる者に喰われ・・いや、取り込まれたと言った方が正確か。そして別な存在へと変わってしまったんだよ。

その守護霊獣『ドリガロニウス』はその後、人の世を苦しめる悪しき存在として歴史に君臨し続けているというワケだ。


だが、騎士リトロマイン様が見事打ち滅ぼしてくれたなら・・闇の歴史は光の歴史に塗り替えられ、この伝承に記念すべき新たな1ページが書き加わることになるだろう。


そんな話を聴いているうちにレーヌと彩奈はひとしきり本棚を見終え、その後壮年先生にお礼を言って別れた。

校庭へタカを迎えに行った頃にはすっかり日は傾いていた。


ムーキャキャッキャー・・グー グー


タカはすっかり待ちくたびれたのか、それともウルトラCの連続で力尽きたのか、器用にも鉄棒の上で横になり昼寝をしていた。

相変わらず変な寝言を発し、そのたびにグラグラと身体は揺れるのだが不思議と落っこちることはないのである。

まぁ、サルであるからには木からも鉄棒からも落ちることはあるのだろうが、まったく大したものだ。


「お待たせしました。ホラ、タカ行きますよ。起きてください!」


レーヌも鉄棒の上のサルをグイグイ揺り動かして起こそうとするなんて、よほどタカのバランス感覚を信用しているのか、それとも落ちるところが見てみたいのか・・まさかな・・


結局、タカは普通に目を覚ましてその状態から鉄棒の上にスックと立った後、なんと脚で大車輪を2、3度キメて見事着地した。


「そろそろ晩御飯の心配をしなくてはなりませんが・・どうしましょうか?」


レーヌの心配は分かる。この町にも宿や食事の出来る店はあるが、得体の知れないままここで飲み食いしたり寝たりして大丈夫なのかということだ。


「晩飯くらいはいいだろう。食べる前にお前の・・ホラ異常があるかどうかを調べる魔法があったろ。アレを使えば。」


確かにここに寝泊まりするのも勇気がいるが・・色々読み漁ってきたところでこの町にもう少し興味が湧いてきた。


レーヌも彩奈の言葉に同意して頷く。


「それでは・・ひとまずご飯の食べられるお店に入りましょうか。」


適当に選んだお店で出てきたのは一見何の変哲もない料理。レーヌのアブノーマルインスペクションにも、どんな色の反応も示さない。味つけの方もしっかり美味かった。


「あの図書室で見た本、やはりどれもこれも今の時代のものではありませんでした。」


正確に言い切れるワケではないのですが、その内容から推察するとしたら・・


「ああ、英雄騎士リトロマインが8体の霊獣と共に敵対因子へ戦いを挑む、その少し前の時代に出回っていたシロモノいうことになるな。」


今日この町で聞いた話の内容は、確かにどれもその考えと合致する。


「柿崎ゆうた。お前はこの世界の人間ではないと聞くからこういうことは知らないだろう。実はこの料理、今では使われなくなったスパイスを使っている。こいつだ。」


彩奈は煮込み料理の皿をスプーンでかき混ぜると、特徴のある星型の粒を取り出した。


「胡椒の仲間だが、古代種だ。昔は世界中どこにでもあったらしいが、今だと時々化石で発見されるくらいのヤツでもうとっくに絶滅している。」


私は少々考古学の心得があってな。まぁ、書物で学んだ程度だが・・それにしても、こんなに舌に障る形のスパイスを原型のまま料理にぶちこむメリットなど何もない。

これは多分、粉に挽く技術が未発達なためだろう。


「こういうことからも、この町が太古の時代の姿そのままに今ここに存在しているのではないか、という推測が成り立つんだ。」


確かに。人が作り出した文化だけではなく、絶滅したはずの植物までが料理に使われているとなるとそう考えて不思議はない。


「まぁ、ここの霊獣がなんらかの形で関わっているとしても・・どこにいるのかさえまだ分からないんだ。まずは、明日祠を見に行くことにしてだな・・」


夜はそれぞれの都市へ帰って休むことにしよう。これで、戻ってみたらウナートラやダミナートが影も形も無くなっていたとなれば、今私が考えているよりずっとヤバい状況なんだがな。


目立たない路地裏にゲートを設置し、まずは彩奈を送り届けたがウナートラは夜間の活気もそのままに何事もなく存在していた。


「では・・柿崎ゆうた・・」


「ええ、でもエロ河童が一緒に入っているんで気をつけてくださいよ。」


「分かっている。変なことに気を回すな。」


ちょっと頬を赤らめて、彩奈はカッキーから烏丸悟浄の宿るキュウリスティックを受け取った。

さすがに丸のままでは恵方巻きにセットするには太すぎたので、あの後恐る恐るちょっとずつカットしてみたが無問題。霊的なものが宿っているだけなので、依り代として形さえあればことは足りるのである。

まぁ、スタグホーンからしてソボロだからな・・


「ほんとは一本まるごとお渡ししたいのはやまやまでしたが・・」


烏丸さんの宿るキュウリスティックは、都市へ戻る夜は彩奈の元へ預けるという約束をしている。


「わ、私は悟浄様と話をしたいだけだ。そんな気は回さなくていい!


「・・はぁ?」


「もう、ユータさんったら何てこと言うんです・・」


???


カッキーには、彩奈が真っ赤になってムキになっているのも、レーヌが顔を両手で覆い隠しているのも・・ワケがわからなかった。


翌朝、一行はダミナートからウナートラを経由して再び謎の町へ出発する。


「彩奈。政の方は大丈夫なのですか?」


「お前だって、ダミナート放っぽって毎日出歩いているんだろう?」


「それは、そうですが・・」


「留守の間は、残りの4人がガンバってくれる。悟浄様も以前のように陰ながら力を貸すと言ってくれた。まぁ、せっかく気合いが入っているところだし、それは彼らには当面内緒の話だがな。」


内政も大事だが・・それはウナートラの者と協力しながらやってゆくよ。

柿崎ゆうた。私はお前に会って世界を救うというもっと大きな政にも目が向いた。

ミリテスラン全土の為にも、ドリガロンの野望は阻止せねばならないしな。


「だから。心配しなくていい。」


彩奈はフッと笑うと、先陣を切って祠へ向け歩き出した。

カッコいいじゃないか。。まぁ、烏丸さんの近くで、同じ志で行動したいというのも少なからずあるんだろうケド。


「やっぱりさぁ、台詞喋れるって存在感あるよ。タカ・・お前もたまには意味なくてもウッキーとか言っとかないといるの忘れられちゃうぞ?」


ウッキー! ウッキー!


そうこうしているうちに、3人+1匹は祠の跡へとたどり着く。


「・・安らぎ与う 永遠の眠り・・」


例によってレーヌが石に刻まれた文字を読み上げる。固定の役回りがあるというのは素晴らしい。しかし、それって・・


「永遠の眠りってことは、つまり『死』ってことなんじゃ?」


「ですね・・永遠の安らぎと言っても遠回しに『死』を表していることもありますし・・」


ウッキー! ウッキー!


おっ、タカが早速存在をアッピールか? なに違う? どうやら足跡を見つけたようである。


レーヌが魔力探知をかけると、鳥のものに似た蛍光ブルーの足跡が、祠の残骸の隙間から中へと続く形でスタンプされていった。


「まだこの中に潜んでいるってことだな?」


彩奈は目を閉じると、サッとその姿を河童に変じる。

この力は魔獣烏丸悟浄ではなく、あくまで烏丸さんにもらった力である為まだ変身可能だ。

烏丸さんがキュウリスティックに宿ってご健在な限り、彼女はいつでも自由自在にカッパッパーなのである。


河童となった彩奈は十人力だ。崩れた祠の石をなんなく傍へとよけていく。負けじとやや小さめの石を放り投げていくタカ。


カッキーはこれを見て少し不安になった。大奮闘するサルと河童。。まぁ、レーヌは僧侶ではないが・・回復魔法も使える近い存在となると、カッキーのポジションが・・

ブンブン! カッキーはかぶりを振ってその想像を追い払おうとした。


そんないらぬ心配をしている間に、祠の石は綺麗に退けられている。


その下には1メートル四方くらいの穴があいており、そこから地下へと続く階段が設けられていた。


「これは・・まるで、誘っているようにも見えますね・・」


「ふむ・・だが、これならほとんど追いつめたも同然じゃないか。足跡を追って行けば、屋外と違ってどこまでも逃げられるわけもないだろう。」


このスペースだと一列になって降りていかなくてはならない。


「明かりが必要ですね・・うっかりしていました。地下へ潜るなんて思ってもみなかったのでランプの準備がありません・・」


あ、でも・・


「ランプは魔力で発光させているので、仕組み的には光らせるものさえあれば代用出来ますよ。」


なにかこう、ツルッとして表面のテカテカしたものが丁度よいのですが・・ハッ!


みんなの視線が1人に集中する。


隊列はカッキー、タカ、レーヌ、そして彩奈の順である。一列になって早速階段を降りて行くことになった。


「確かに両手も自由だし重さもないから便利だが・・恥ずかしいぞ、これは・・」


今彩奈の頭の皿は蛍光灯ばりの光源となっているので、彼女を先頭に立たせると後列が眩しくて前を向いていられないのである。

まぁ、彼女を最後列にしても十分に視界を確保出来るだけの範囲は照らせていた。


周りの壁は、祠の下に掘られているにしては不自然に整っている。階段の部分を除けば、これは細長い四角柱の空間が急な勾配で地下に埋め込まれているようなものだ。


足跡は歩くと言うよりは、数段ごとに飛び降りるようにしながら先へと続いていた。


降りて降りて、いったいここはどれだけの深さに達しているのだろう?と、一行の顔に不安の色が表れた頃・・


ここまで何一つ変化のなかった階段の先に、不意に差し込むような明かりが見えてきた。


「彩奈、気をつけてください。近づいたら少し壁際に寄って進み様子を伺ってからですよ。」


間近で見てみると、果たしてその光はやや上の方から差し込まれていた。


壁に張り付いて覗きこむと、そこから階段がVの字型に折れており、数段だけ上に向かって伸びている。


「・・妙な造りだが、あそこまで昇らないとよく分からんな。みんな、ちょっとここに居てくれ。」


そう言い置くと彩奈はひとり階段を昇って行く。光源が離れるにつけ足元は暗くなったが、彼女自体の居場所は下から追うことが出来るはずだったのだ。


「!? なんだここは!?」


それが、最後に聞いた彩奈の声となった。


その頭の皿が放つ光が、差し込む光に紛れてしまうように、彼女自身の姿もまた周囲に溶け込むように消えていた。


「彩奈!? どうしたのですか!? ユータ、ちょっとすみません!」


レーヌが前列のカッキーを押し退けるように、その横をすり抜けて階段を駆け昇ってゆく。


「レーヌ! 危ないよ! 俺が先に・・」


!?


レーヌの姿も、光の下へ出た途端になんの前触れもなく消え失せていた。


「なんだ!?」


なんだかとてもヤバそうな気はしたが、2人が消えたままここで逃げ帰るなどという選択肢はない。


「タカ、俺に今ひとつだけ想像出来るとしたら・・あそこに転移ゲートみたいなものがあって、2人は強制的にどこかへ飛ばされてしまったんじゃないかってことなんだが・・」


ウッキー ウッキー!


「お前もそう思うか? なら、すぐに2人を追わなくちゃならないんだけど念のためにお前と俺とは手を繋いで行こう。はぐれないようにな。」


カッキーの差し出した手を、タカが頷きながらギュっと握る。相変わらずのクソ力! ・・緊張してんのか?


カッキーとタカは、しっかりと互いの手を握ったまま、2人の消えた光の下まで階段を昇りつめた。


!?


「ここは!?」


先ほど彩奈も消える直前にそう叫んだのは、この意外過ぎる光景を見たからだろう。


そこは、苔むした岩の小島にひっそりと佇む祠の入り口に繋がっていたのである。


そして、カッキーは己が手の先にも驚くべき光景を発見して絶句した。


カッキーの掌に、ちょうどその握った手の分の隙間だけを残し、タカの姿が跡形なく消えていたのだ。


何が起こっているのかすらも分からないまま、カッキーは呆然と小島へ足を踏み出した。

コケむした小島の下には、背の低い植物が密生する合間に浅く水が溜まっている。

湿原だ。辺りには霧が立ち込めていて、遠くまでは見通すことが出来ない。


振り仰いで見るとこの祠は破壊されてはおらず、本来の形を保ってはいたが。。


「同じ祠・・?」


入り口の横に縦書きで彫られた文字、カッキーには読むことは出来ないがその形には見覚えがあった。

ここへ来る前にレーヌが読み上げた、あの倒壊した祠で見たものと同じだったのだ。


『メメントモリ〜』


その時、上空からどこか能天気ではあるが不気味な声が聞こえてきた。甲高い声と重低音の声がハモっているような声である。

まるで、右左で男女が混ざっているのに男爵と名乗っちゃっていいの?でおなじみのあのお方のようだ。


バサリと大きな影が、霧に覆われているカッキーの上空を掠めるように飛来しそのまま飛び過ぎていった。


『メメントモリ〜』


これが何度か繰り返されるうちに、カッキーは霧の合間から次第にその影の姿を把握していった。


鳥・・翼竜・・いや、その中間に近いシルエットだろうか?

カッキーも図鑑などで見て知っていた元の世界の知識で例えるならば、それは恐竜から鳥へと進化する過程の生き物。


アーケオプテリクス『始祖鳥』である。


ただし、あれは・・『生き物』とは到底呼べないような姿とも言える。何しろその身体には肉という肉が付いていないのだ。

ムネ肉も、モモ肉も、臓物すらもすべて。

翼と尾に、かろうじて羽根が残っているだけの白骨・・いや、むしろ化石と呼ぶべきだろうか?

そういう、ひとことで言えば『死』を連想させる姿をそれはしていた。


まぁ、正確に言えば、簀巻きに巻かれた部分は見えないのだが、そこだけお肉があるとかいうムズかしい身体はおそらくしていまい。ひとまず、その簀巻きでアレが霊獣なのだということは分かる。


「とにかく、これじゃあ視界が良くない。」


カッキーは腰の恵方巻きを抜くと、霊獣烏丸悟浄の宿るキュウリスティックをセットした。


「バキューム恵方巻きディフュメディファイア!」


ベータカプセルのように高々と掲げた恵方巻きの切り口から、ものすごい勢いで周囲の水分が吸収されてゆく。


みるみるうちに霧は消えて視界が開け、それを察知した霊獣が次の飛来では飛び去らずに祠の上にバサリと降りった。


『メメントモリ! お前何モンよ? なぜ、時の摂理に従わずここにいる?』


あ、外見は不気味だがけっこう気さくなカンジだ。


「その前にひとつだけ聞かせろ! メメントモリってなんだ!?」


『俺の場合はこういう鳴き声だ、気にしないでもらおう。さぁ、質問に答えろよ。』


ああ、ボルトゥーナのケキョー!みたいなもんか、また輪をかけて妙な鳴き声しやがって・・

ちなみに、『メメント・モリ』は本来ちゃんと意味のある言葉なので、興味があったらググってみよう。


「俺は柿崎ゆうた! 時の摂理に従わず、とはどういうことだ! 分からんぞ説明しろ!」


あと、俺の仲間をどこへやった。レーヌたちはなぜ急にいなくなったんだ!?


『ひとつだけ聞かせろと言っておきながら後が長いな。。まぁいい。多少興味が湧いたから始末する前に付き合ってやるぜ、カキザキユータとやら。』


そう前置きをして、霊獣『ペリノニム』は語り出した。


『ここへ通じた道といえば、この祠の階段しかないはずだ。従って、お前もあの朽ちた祠の入り口から入りここへ出たんだろ?』


カッキーがコクリと頷く。


『こことお前が祠を見つけた町とは、実はまったく同じ場所なのさ。』


ただし、ひとつだけ違うものがある。それは『時』だ。

俺は『死』を司る者とされているが・・『死』とは概念、『生』とは現象に過ぎない。また、『生』以前にある『死』とは似て非なるもの『無』もまたひとつの概念以外の何でもない。


つまり、『無』という概念だけの状態に、『生』というひとつの現象が起こり、その現象を終えて『無』という概念だけの状態へと還っていくんだ。その不可逆的な流れの軌跡が、お前たち人間のいう『命』ってヤツだな。

『死』と『無』、異なる点は『命』から見た捉え方ひとつよ。


ここまで、理解したか?


「・・なんとなく・・」


『そうか・・それなりに賢くて助かるぞ。ならば、カキザキユータよ。ここでクイズだ。無、生、死、これらの本質とはなんだ?』


「・・分かりません・・」


大学で講義をする気さくな教諭みたいに話すもんで、ついカッキーも敬語になってしまう。


『分からんかー・・最初にチラッとヒント出してやったろうが。答えは、時だ。』


いいか?

今の『生』も未来から見れば『死』、今から見た『死』も過去のある時点では『生』、『無』もまた然りだ。


俺はこの場所の、もとの時と過去の時を入れ替えてやった。来たる時のために少々人材が入り用になったのでな。はるか昔滅びた町に人が溢れていた過去を、そっくりあの時代へやったのよ。


「ややこしいが、とすると・・もとは過去だったあの町が今に、本来今のこの湿原が過去になったということか?」


『その通り、理解出来たな。では、時が入れ替わった後で、あの時代からこの数千年前の過去へやってきた者がどうなるのかは自ずと知れるだろ?』


「・・そうか・・レーヌもタカも彩奈も生まれてさえいない・・『無』か・・」


『正解! 百点満点をやってもいいが。。ならば、俺の質問の意味もこれで分かったよな?』


お前だけがなぜ、この『過去』に来てそうも普通にあり続けていられるんだ?

カキザキユータ、何者だ? お前の名など、端から聞いてはおらんのよ!


そう叫んだが早いか、ペリノニムは仰け反るようにフワリと舞い上がり、次の瞬間思いっきり両の翼を振った。


その骨ばかりの翼に残った羽根が十数本、カッキーに向けて打ち出される!


身を翻して避けたカッキーの足元三寸にその羽根がカカカッと突き刺さると、その場に生えていた苔がみるみるうちにドス黒いグチャグチャとした物体へと変わってしまった。


「なんだ、質問しといて答えも聞かずに攻撃してくるのか?」


『フン、最初から殺るつもりだったさ。ワケも分からずに、というのにいささか同情したまでよ。そもそも、たった今理解したお前がその答えを知っているとも思えないがな?』


ご明察。レーヌたちが消えてしまった理由はなんとか分かったが、そちらはチンチンカンプンだ。


ペリノニムは続いてくるりと祠の上を旋回すると、カッキーの頭上へ飛んで来た。


『なかなかすばしっこいようなので、まずはこうさせてもらうとするか!』


ペリノニムの肋骨が真上から伸びて、カッキーを包み込む『籠』を形成しながら地面に突き立てられる。


強度的にはライジング恵方巻きブレードの横薙ぎで簡単に脱出することが出来ただろうが。。予期せぬ攻撃だった為にスティック交換が遅れてしまった。


真下の『籠』に獲物を収めたことを確認したペリノニムは、肋骨でその身体を支えたまま再びその翼を大きく振った。

あの恐ろしい羽根が宙をUターンし、肋骨の間を抜けてカッキーの身体に全弾突き刺さる。


「ガッ! ガッ! ガッ! 痛って!」


『ククク・・果たして痛い、で済むかな?』


ペリノニムはシュっと肋骨を引き戻すと、文字通りの高みの見物を始めた。

・・だが、羽根を引き抜くたびに呻き声はもらしたものの、ついにカッキーの身体には何の変化も現れる様子はなかった。


「メチャクチャ痛かったが、それだけだ! これがどうした!?」


『!? なんだとォ!? その羽根は刺したものの時間をあっという間に進めるんだぞ!?』


よくて一瞬で老いさらばえ、抜くのが遅れればたちまち死に至るというのに・・お、お前ホントに何モンだアァーー!!?


なるほど、そーゆーコトね?

コイツ、どうにも説明的な台詞回しが身にしみてる。根が親切なのか?


「知るかよ。お前もついさっき自分でそう言ってたじゃないか!」


おや・・?


とりあへず何事もなさそうなのに安堵し、頭上のペリノニムを見上げて恵方巻きを構えた時カッキーにはそれが分かった。


慌てて位置を変えようと羽ばたいたペリノニムは、事が起こってからようやく己の犯した愚行に気がついたのだった。


その身に巻かれた簀巻きの糸が、飛び出した肋骨によってほとんど切り離されていたのだ。


ペリノニムの身体から外れかかって、端の方がはためく簀巻き。残る糸僅か1本!


「自慢の技はちゃんと考えて使わないと!」


カッキーが真上に向けた恵方巻きの切り口から、ものすごい圧力の噴水が慌てふためくペリノニムに向けて発射された。


「レイジングストーム恵方巻きファウンテン!」


この技は予め吸い集めた水を一気に放出する。霧とはいえ、ここいら一帯を晴らしてしまうほどの量を溜め込んでいたのでかなりの水圧である。

噴水は残る糸を難なく引きちぎり、簀巻きのついでに憑依させられていた霊獣まで弾き飛ばした!


その瞬間、祠の入り口に現れる3つの人影。

・・まぁ、1つはお察しの通りサル影だけど・・

同時に祠は音もなく倒壊後に石を避けられた、あの出発前の状態へと変わった。


「ハッ!? ユータさん? 私一体・・」


ウッキャー!?


「ゴメン! 今戦闘中だから、あいつを片付けたら話すよ!」


メメントモ〜リィ〜!!!


霊獣が抜けて本能丸出しの魔獣と化したペリノニムが、急降下しながらバカのひとつ覚えの羽根を打ってくる。


気さくだがなかなか知的なこと言ってたというのに、すっかりバカっぽくなっちゃって・・

・・魔獣って基本的に霊獣が抜けた途端に知的じゃなくなるんだよな・・


余裕でかわしたカッキーは、チラリと羽根が刺さった場所の苔に注目・・変化なし!

思った通りだ。時に関する能力は全て霊獣の力を借りていたのだ。


素早く恵方巻きを鹿肉ソボロに換装!


「スコール恵方巻き如意スピアー!」


伸縮自在の空気の矛は、魔獣ペリノニムの肋骨の中間を抜けて背骨に直撃!

軽量のその身体を一撃で地面に叩き落とした。


メッメッメッメメントメメント!


羽根のある翼や尾をバタバタさせてもがく魔獣ペリノニム。

・・こいつ、魔獣体の方はそれほど強くないよな・・? いや、むしろ・・


「柿崎ゆうた。状況はハッキリしないが、とりあへずこのザコを始末すればいいのか?」


彩奈が水掻き付きの指をポキポキ鳴らしながら、カッキーの横に並んだ。


「それでは、このザコを軽く捻りますんで、その後何があったのか聞かせてくださいね。」


レーヌが後ろから攻撃魔法の詠唱に入る。


ウッキー! ザコッキー! ホキャア!!!


あー・・じゃあ、俺はもういいかな・・とカッキーはスッと身を引いた。

どうぞ、みなさん活躍出来なかった怨みをここで晴らしてください・・


チーン


ものの数秒で、魔獣ペリノニムさんはお亡くなりになりました。

まぁ、もともとホネホネロックな見た目してたからあんましカタルシスないんだけどね。


「では、あの町の方たちは、今はもうこの世を去ってしまった・・ということになるのですね・・?」


詳細を聞いたレーヌは寂しげに目を伏せた。つい昨日言葉を交わした人たちである。

この殺風景な湿原の下に、おそらくは彼らの骸と共にあの町が埋まっているのだ。


カッキーの心にも同じ感傷があった。特にあの壮年先生には親しみを感じていたただけに、たったひとときの触れ合いではあったにせよもう永遠に会えない人なのだと思うと胸に込み上げてくるものがある。


だが、カッキーはこう考えることにした。あの町は何千年前の過去にまだ存在しているのであり、町の人々もまたその時代で生き続けているのだと。


異なる時代に生きている者同士が、たとえひと時でもああして触れ合い話せたのは、きっと何かの縁があったからなのだ。


遥かな時を超え巡り会えたのには、なんらかの意味があったのではないか、と・・


ー後日談ー こいつがけっこうホネでね


そのすぐ後。。早速帰って身体を休めようとした一行は、とんでもないことに気が付くことになる。

転移ゲートの場所が分からないのだ。

町が跡形もなく消えてしまうなど夢にも思わなかったので、あの路地裏へ設置したまま祠へ向かったのが災いした。

何もない湿地で夜明かしする羽目になるのは死んでもイヤなので、全員半泣きになりながら霧だらけの湿原をジャブジャブ歩いて総出で捜索した。

暗くなりかけてからようやくドロだらけのロールが発見された時は半ば絶望ムードが漂ったものの、それでもちゃんと帰ってこれた時はみんな感動したものだ。



魔獣ペリノニムから吹っ飛ばされた霊獣ペリノニムはエネルギー体でありながらショックで気絶していたらしい。


「あのう・・大丈夫ですか・・?」


霊獣ペリノニムは、白鳥のような優雅な姿をしていた。こちらは肉?付きもいいぞ。

まぁ、鳥形のエネルギー体がぐってりと羽をおっ広げて地に仰向けで転がっているのを見た時はさすがに全員あんぐりだったが。


『おぬし、派手に麻呂をぶっ飛ばしてくれたの・・ホッホ、だがの、あんな品位の欠けた輩に縛りつけられていたのを助けてくれたことには礼を言うでおじゃるぞ。』


十回言うでおじゃる。『れい、じゅう』だけに。ホッホホホホ・・麻呂、雅。


おじゃるキャラにして、オヤジギャグ好きかぁ・・か、絡みにくい・・

ゴザルといい、この世界のどこで使われてたんだこんな言葉。


ともあれ、霊獣ペリノニムも無事同行して協力してくれることになった。


「でも、魔獣ペリノニムってどこか宿ってもらう食材になりそうなとこあんのかな?」


『少年、よく見よそやつの尾を。それは羽根ではない、1枚1枚がすべて紫蘇の葉じゃ。それを刻んで麻呂の依り代とするがよい。ホッホ・・』


え!? あ、ホントだ。あ、なるほど・・紫蘇ね・・


『「始祖鳥」』だけに!! ホッホッホ


おお・・意外と気が合うかも!?



あと、なんかひとつ・・んー・・


あ、そうそう、あれから3日くらい経って、ようやくカッキーは、『キュウリ』の意味に気がついてひとり赤面しましたとさ。

今回の冒険では長い長い階段を降りましたが、彼はまだまだ長い大人の階段を昇らなくてはならないようです。


おしまい(いや、もちろん第5章には続く)

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