表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超魔法少女グレンオー  作者: 窓井来足
第三章
PR
9/19

「鍛える鬼 その3」

さて、修業のために虹華夢幻郷に移動した三人。

果たして彼女たちが行う修業とは一体……。

 さて、三人が向かった先。

 そこは――


「え? ここってもしかして……」

「どうやら、あそこらしいね」

「ああ、そうだぜ。ここは――」

「採!!」

「石!!」

「場――!!」


 と、まあそういうわけで。

 彼女たち三人は、採石場に来たのだった。

 ちなみに、特撮版『超魔法少女グレンオー』は桜たちの世界の最近の特撮をモデルに作っているので、そこまで頻繁に採石場が出てくるわけではない。

 また、ネガティヴハートが採石場を狙って登場するはずもないので、実際の桜たちの戦闘でも採石場が舞台になることは滅多にないのだ。

 が、特オタである三人にとって採石場は埼玉県にあるアリーナぐらいに憧れの場所。

 これは興奮するというものである。

 とはいえ、しかし。


「ま、いつまでも採石場にいるだけで盛り上がっても仕方ねぇからな」


 とシンが言うように、彼女たちはあくまで修行のためにここを訪れたのである。

 決して、特オタの憧れの地を見学しに来たわけではない。


「って、わけで。早速始めるぜ……と」


 そう言いながら、どこからともなく燃えそうな木や乾燥した草、枯葉を持ってきたたシンは。

 それらを燃えやすいように工夫しながら敷き詰めてから、


「ハアァァァー!!」


 と叫びながら、マスクの口にあたる部分を開き、そしてそこから火を噴いた。

 この、変身ヒーローが火を噴くという行為に関して。

 特撮ファンでなければ「そんな馬鹿な」と思うかもしれないが。

 特オタであるグレンオーとストームは、


「まあ噴くよね」

「どう見ても鬼だからな」


 と至って冷静に対処したのだった。

 さて、火がやや収まった後、顔だけ変身解除したシンは、


「よし、お前ら。ここを歩いて渡れ」


 と、指示を出した。

 これを聞いたグレンオーは、


「なぁんだ。楽勝じゃん」


 と言って、変身したまま装甲で覆われた足で、燃える大地を歩く。

 だが、シンは、


「裸足でやれ」


 と追加で指示を出してきたのであった。


「は、裸足で?」


 変身したままの姿で渡り切ったグレンオーは振り返りながらシンに訊ねる。


「ああ、裸足っつうか、変身を解いて渡るんだ」


 分かりやすいように言い直すシン。

 だがしかし、シンが渡れと言っているのはまだ少し火の気もある、熱くなった石が敷き詰められている地面である。

 常識的に考えれば、こんな場所を変身前のただの特オタの少女である桜や嵐が渡れるはずがない。


「いや、無理でしょ。どう考えても」


 そういいながらも変身は解いた桜は、シンに近づきながら問う。

 それに対して、シンは、


「昔のヒーローだって、これぐらい危険な特訓をしていたぜ?」


 と返した。

 だが、桜はそんな一例を挙げられてすぐに納得する程度の特オタではない。

 すぐさま。


「作中でも、ヒーローはいつもちゃんと訓練をしているから出来るけど、普通の人は真似しちゃ駄目って言っていたじゃない」


 と反論し、続けて、


「それにあたし達は今時のヒーローなの。今のヒーローはあんまり特訓はしないの」


 と文句を言う。

 勿論、これはさっきまで「修行したい」と言っていた桜の意見とは全く違うものなのだが、さっきはさっき、今は今である。

 誰が自ら火傷をしたがるものかというところだ。

 さて、桜の反論に対して。

 あまり、特撮に詳しくない人なら「今は特訓しないのか」と納得したかもしれない。

 しかし、今回、シンもシンでまた特オタである。

 なので、彼女もまたすぐに、


「新フォームを使いこなすために特訓したヒーロー最近も大勢いるだろうが。それに、例えばあの最強男だっていずれ来る時のために鍛えていたし、逆に歴代最弱といわれたヒーローも特訓したりもしていたぜ?」


 と、今度はやや具体的なヒーローの例を挙げる。

 それを言われて少し黙った桜だったが。

 少し考えてから。


「先輩、自分にできないことを、人に無理強いしてはいけないって知ってました?」


 とヒーローものの作品から離れて、ごく普通の一般的な常識を口にした。

 それに意表を突かれたシンは、


「ん?」


 と無意識に口にしながら、桜の方を見る。

 すると桜は続けて、


「あたし達に勧めるってことは自分もできるんですよね? 手本としてやってみてください」


 とシンに手本を見せるように言った。

 ちなみに、先に説明したように、今現在シンが纏っているスーツは、現在魔力回路が機能していないので、性能的にはあくまでただの服である。

 なので、シンは一応文章上では、〈シン〉と変身後の名称で表現しているが、実際にはただの人間と同じ。

 つまり、今の状態で焼けた石の上を歩けば桜のいうところの〈手本〉にはなる。

 のだが――

 これを聞いたシンは、しばらくの間、黙った。

 が。

 ちょっと考えて。

 それから彼女は、思いついたかのように、


「去ってしまった者たちから受け継いだものは更に先に進める……」


 と呟いたのだった。

 さて、これを聞いて桜は。

 突然、有名漫画の名台詞めいたことを言われたために、


「へ?」


 と思わず口にした。

 そこにシンは、先ほどの呟きに続くようにして、


「俺はもう、魔法少女を引退した去って行った者だ。つまり俺にできないことをできるようにするのは――」


 と言いながら桜の方を見つめ、笑みながら桜の肩をポンポンと手の平で叩く。

 しかし、そうされた桜は、


「え? いや、無理無理、無理だからね先輩」


 と自分の考えを正直に伝えた。

 が、シンはそれを聞いて、


「無理だとか無駄だとか言った言葉は聞き飽きたし、俺たちには関係ないんだぜ」


 と再びスマイルを浮かべて、更にサムズアップとウィンクまでしながら告げたのだった。


「そ、そんなあ……」


 ショックを受けた桜はその場にへたり込む。

 それを見た、シンは「ちょっと後輩をからかい過ぎたか。まあ、今回は別に本当に渡らせたいわけじゃあ……」

 と思った。

 その時。

 焼けた石の道の上に人影が!?

 二人は何事かと思い、その人影の方を凝視する。

 するとその視線の先には、


「ほっ、ほっ」


 と言いながら道を渡るストーム……ではなく、変身を解いた嵐がいたのだった。

 果たして彼女はいかにして焼けた石の上を歩いているのか?

 それを知るために、時間をやや遡り、桜とシンが修行について言い合いを始めたあたりのストーム、嵐の行動を見てみよう。


 ☆ ☆ ☆


 ストームは先輩のシンが言うからにはこの修行には何かの意味があるはずだと推測し、言われた通り変身を解いた。

 しかし、変身は解いたものの変身ベルトは外さなかった。

 以前、嵐はとある特撮でベルトは変身アイテムである以外に、(キー)であるアイテムから取り出せるエネルギーを装着者に取り込ませるための装置でもあったという展開を見たことがあった。

 そして、その発想をもとに彼女は「ジュエルの魔力エネルギーをベルトを装着していれば、変身前でも身体に取り込めるのでは?」と考え。

 試しに変身用の〈チェンジジュエル〉を変身動作なしで装着してみた。

 すると、予想通り魔力が体に満ちてきた。

 変身前の身体に魔力を送り込んだのは初めてだが、変身後に技を発動するときの感覚と、その魔力の満ちた感覚は似ていたので、嵐はすぐにそれを「魔力が身体に供給されたのだ」と判断した。

 しかし、その状態で焼けた石の上に足をかざしてみたが、これではまだ火傷しそうだと思った。

 そこで、彼女は次の方法を考えた。

 それは魔力を全身に満ちさせるのではなく、足付近の焼けた石や熱気が当たる部分にのみ面積を最小限にして魔力防御を施すようなイメージをしたのである。

 すると、予想通り魔力は足元に集中した。

 ちなみに、彼女がこれができると予測できたのは、普段必殺技を使うときに魔力を武器や身体の一部にのみ蓄積(チャージ)していたためである。

 で、これならば渡れる。

 そう確信したので実際に嵐は焼けた石の上に足を延ばし……


 ☆ ☆ ☆


「先輩の言う通り、渡れたよ……ん? どうした? 先輩?」


 シンは当然、渡り方を知っているものと思っていた嵐は、彼女の方を見ながら不思議そうに首を傾げる。

 一方、傾げられたシンは少しの間「まさか、本当に渡る奴がいるとは……」と、動揺していたが。

 すぐに「先輩として、ここで取り乱してはいけねぇ」と思い直して、


「あ、ああ、よくやったぜ嵐。流石、俺の後輩だぜ!! うん、俺の指導のおかげだ」


 と嵐のことを褒めたたえたのであった。

 で、この様子を見た桜は、先ほどシンが自分は焼けた石の上を渡れないと言っていたことを聞いていたので当然、シンの反応に怒――


「うわぁ、すげぇ!! ねぇ嵐、どうやんの?」


 ――ってはいなかった。

 面白いことが大好きで、辛い事や問題のあることはたちまち忘れる。それが桜である。

 そして、「先輩である桜が自分を尊敬してくれている」事に気分を良くした嵐もまた、


「うん。まず、ベルトにジュエルを変身しないで差し込んで――」


 と桜の質問に対する解説の方に意識を切り替えたので。

 シンが「俺の指導」とか言っていた事はあまり気にしなかったのだった。

 と、こうして。

 怒られることもなかったが、相手にもされなくなってしまったシンは、


「……お、俺はそろそろ店の仕事に戻らないとならねぇんで、帰るぜ」


 と告げてから、先に帰ってしまったのであった。


 ☆ ☆ ☆


 と、まあこうして。

 シンの指導のおかげ(?)で。

 二人の超魔法少女は変身前の魔力の運用方法や。

 微妙な魔力のコントロール法などを鍛えることに成功した。

 そして、この修行の成果が果たして戦闘にどのような影響を与えるのか!?

 というか。

 いくら最初から強い追加戦士はそのうちヘタレる事が多いとはいえ。

 シンはたった一話のうちに何とも情けない扱いになってしまっているが、これでいいのか!?

 気になるところだが……第四章に続く!!

さて、今回の修業で覚えた魔力の扱い方。

これがちゃんと次回以降に役立つのか……こうご期待!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ