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超魔法少女グレンオー  作者: 窓井来足
第四章
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10/19

「アバレハートはギンギン中 その1」

この章は、他の章に比べてメタな内容やパロディが強めになっている……気がします。

まあ、他も相当あるので、別段この章だけという訳ではないですが。

 前回の『超魔法少女グレンオー』は。


「グレンオー、ストーム。先輩として、この超魔法戦士シンがお前等に戦い方を教えてやる!」

「ちょっと。今、強かったのって、単なる新キャラ補正でしょ!」

「こういう暑苦しい人、僕、苦手なんだよね」

「大体、先輩で銃使いってヤバくない?」

「なんかよくてへたれるフラグ。いや、ひょっとすると死亡フラグっていうか。一応、魔法少女ものだし……」

「おい、お前等。いくら何でも、前回のあらすじで、こんな扱いは酷いんじゃねえか?」


 ☆ ☆ ☆


 さて、前回。

 先輩魔法少女で、現在は超魔法戦士シンとして活躍中の先野心(さきのこころ)から。

 色んな意味で厳しい修行を受けた超魔法少女グレンオーこと暮無桜(くれないさくら)と、超魔法少女ストームこと永礼嵐(ながれらん)は。

 今日もまた、虹華夢幻郷(こうかむげんきょう)に怪人であるネガティブハートが発生したのを感知したので、変身して現場に駆けつけていた。

 すると。

 その現場だと思われる場所にいたのは。

 サラリーマン? を、そのまま怪人にしたような奴だった。

 正直、あまり強そうではない。

 なんか、どこかの非公認なヒーローに出てきた、戦闘員にさえ思える。

 だが、グレンオーとストームはそんな外見だからって油断なんかはしない。

 何故なら。

 彼女たちが見てきた特撮では、例えば変身前の状態だったとはいえ、ヒーローの一人を殺害した戦闘員もいるし。

 あるいは少しハイレベルな戦闘員から、組織幹部まで成り上がった経歴のある怪人もいたのだ。

 つい最近は敵のボスの正体が戦闘員の集合体という事さえあった。

 なので、戦闘員だから大したことがないなんて事を二人は考えたりせず、ちゃんと構えをつくって、敵が何を企んでいるのか推測する。

 すると敵は、


「はぁ……もう、働きたくない……」


 とつぶやき始めたではないか。

 これを聞いたグレンオーはストームに、


「今回の怪人ってあれかなぁ? ほらあのブランク企業とかいう奴の――」


 と尋ねる。

 すると、ストームは


「ブランクじゃなくてブラック。っていうかブランクだとブラックとは逆っぽいんだけど」


と指摘してから、


「まあ、その可能性が高いだろうね」


 と返した。


「やっぱり!」


 納得したグレンオーは続けて、


「じゃああれだ。あたしたちが探している魔法少女はブラック企業の関係者ってことか」


 と言いながらうんうんと頷く。

 しかし、ストームは、


「いや、今の世の中、街を歩いたり、公園に行ったりしていれば、そういう企業の被害者はそれなりにいそうだから、そうとも言えない」


 と冷静に指摘。

 そして、何故か何があるわけでもない空を見て、その方向を指さし、


「諸君! ブラック企業の被害者は僕たちヒーローでは救えない。だから彼らにはみんなが手を貸してあげてくれ!」


 と宣言し始めたのだった。


「なにやってんの?」


 ストームの突然の行動に、思わずつっこむグレンオー。

 対してストームは、


「いや、一応。何となく」


 と答える。

 で。

 こんな二人のやり取りを見ていた怪人は、


「いいなぁ……お前ら楽しそうで……どうせ俺なんか……」


 と呟きながらグレンオーたちに絡んできた。


「何あんた? どっかの地獄の兄弟かなんか?」


 思わずそう反応するグレンオー。

 対して怪人も、


「お前、今俺のことを笑ったな?」


 と言いながら、グレンオーの肩を掴もうとした。

 これにグレンオーは咄嗟に反応し、

 相手の腕をつかんで投げ技を食らわせる。

 すると、怪人は「うぐっ!」と唸って地面に倒れた。

 だが、いくら戦闘員に似ているといっても怪人は怪人。そんな程度のダメージで爆発四散はしない。

 倒れた怪人はすぐに起き上り、


「何だ……ヒーローみたいな見た目しているから強いのかと思ったが……大したことないな……」


 とグレンオーを挑発した。

 してしまった。

 これに乗らないグレンオーではない。


「いってくれるじゃないの! よぉし、ならば喰らわせてやるッ!」


 グレンオーはポーチから〈ラッシュジュエル〉を取り出し、バックルに装着する。

 するとバックルから「Rush Jewel!!」という音声が。

 その直後グレンオーの両の拳が赤く発光!!

 そしてグレンオーは――


「ダァラララララララララララララララララララララララララララララアアァーッ!!」


 と叫びながら、突きのラッシュを怪人に叩き込んだのだった。

 しかし、怪人はそれを耐える。

 ただひたすら耐え、そして――


「お、俺はもう怒ったぞおおおおお――ッ!!」


 と怪人が叫んだとき。

 光を放ちながらその姿が変貌。


「うわっ……」

「ぐっ……」


 変貌した時に光と共に放たれた波動により、後ろに軽く吹き飛ばされた二人だったが。

 ここは流石にヒーロー。空中でバランスをとってから着地をし、即座に先程怪人がいた方を向いた。

 するとそこには。

 まるで酔っぱらってはっちゃけているサラリーマン風の容姿になった怪人が存在していた。

 そして、その怪人は。


「もう働かなくていいんだ!! お前らも働くな!!」


と叫びながら謎の光線を人々に向かって放つ。

 するとそれを受けた人々が、なんと!!


「あーあ。かったるい、今日会社行くの止めようぜ」

「塾とか面倒(めんど)くせー。さぼっちまうか」


 などと言ってだらけ始めたではないか。

 そう。

 あの光線は人々のやる気を奪って、働かせなくさせる光線だったのだ。


「なるほど、サラリマンからイカズマンというところか……」


 勝手に納得するストームに、グレンオーは、


「でもまあ、みんな頑張り過ぎだし。こういうのはいいんじゃない?」


 と提案する。

 ところが、ストームは首を横に振り、


「いや、駄目だ。世の中にはお医者さんとか、お巡りさんとか、運転手さんとか、休まれるとみんなが困る仕事も多くあるんだ」


 と答える。

 それを聞いたグレンオーは、


「でも、そういう人たちだって働き過ぎで問題なっているって、ニュースとかで言っていたような……」


 と返す。

 ストームはそれにまず「その通り」と返してから、


「だが、そういう問題を解決するのは、ヒーローではなくみんなの役目だ。みんな、明るい未来をつくるために頑張ってくれたまえ!」


 とまた先程のように何故か空を見ながら、見ている方向を指さして宣言した。


「あんた、さっきから何やってんの?」


 グレンオーは再びストームに尋ねる。


「いや、だから何となくだって」


 ストームは再び曖昧な回答をしてから。


「それより先輩、あいつを早く何とかしないと」


 と話題をイカズマンの方に切り返させる。


「そうだね。よぉし、こうなったらちょっとずるいけど、いきなり必殺技を叩き込みますか!!」

「ちょっと待ってくれたまえ。先輩、そういうのは作戦失敗の確率が高いんじゃないか?」

「いやいや、いくら相手があんな見た目だからってフラグとか気にしていたら始まらないってば」


 そう言うなりグレンオーはバックルに〈チャージジュエル〉を差し込んで操作。

 そして、ジュエルの効果で魔力がチャージされ全身が変色したグレンオーは、とび蹴りを放つための独特なポーズを取る。

 すると足元にまず、サイズの異なる五種類の光り輝く赤い魔法陣が、一番小さいものを真ん中にする形で重なって登場。

 そして登場した魔法陣の発光が強くなっていき――


「とうっ!!」


 とグレンオーが叫んでジャンプしたタイミングで、中央の魔法陣から順番に、まるでグレンオーを打ち上げるバネのような感じで上昇した。

 そしてグレンオーは空中で一度静止。

 それから姿勢を変えて、敵であるイカズマンに向かって足先を向ける。

 すると先ほどバネの様に空中に飛び出した魔法陣たちは、グレンオーとイカズマンの間に、規則正しく並んだ。

 ちなみに、グレンオー側が一番大きな魔法陣。

 イカズマンに近いところに一番小さな魔法陣である。

 で、グレンオーの体勢、魔法陣、両方がそろったところで。


「グレンオーキイィィィーック!!」


 と叫んでグレンオーは魔法陣をくぐりながらイカズマンに向けてとび蹴りを放った。

 ちなみに。

 この技の正式名称は〈ストライクグレンオー〉で、以前練習したときにオウリュウもそう説明していたのだが。

 グレンオーというか、桜はそんなことはすっかり忘れていたのだった。

 さて。

 このかなり解説が長くなった必殺技を受けたイカズマンは。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっーっ!!」


 と叫んで、後ろに下がった。

 が……しかし。

 蹴り自体は両腕で防がれてしまったのだった。


「うっそ……効いてない!?」


 蹴りが受け止められ、このままでは脚をつかまれると判断したグレンオーは、相手の腕を蹴った反動を利用して、空中に少し飛び上がり、わざわざ空中回転してからストームの前に着地した。


「ほら、やっぱりいきなり必殺技は無理だろう?」


 目の前に着地したグレンオーの背中に向かって、そう呟くストーム。

 これにグレンオーは、


「だって、やってみなけりゃわからないじゃない」


 と反論した。

 それを聞いてストームは少し考えてから、


「まあ、そうなんだけど。予測までは立てられるからね」


 と冷静に返す。


「予測って?」


 訊ねるグレンオーに、


「例えば……これだ」


 と言ってストームが取り出したのは、前回使い方を失敗した〈リフレクトジュエル〉であった。


「ねえ、ちょっとそれでどうするつもり?」

「うん? 前回の怪人はものを蟹にする光線を、自分が浴びて蟹になったよね?」

「まあ、そうだけど……だから?」

「じゃあ、もともとはやる気がない怪人だったあいつが、やる気がなくなる光線を浴びたら……」


 そう言いながら、ストームラインに〈リフレクトジュエル〉を入れたストーム。

 そしてストームラインから〈リクレクトジュエル〉と言う音声が発されたのと同時に、


「つまり、こうなるはずだっ!!」


 と叫んで鏃型の先端を飛ばした

 そしてその鏃は。


「ほらほら、みんな会社や学校なんか辞めちまえって」


 と言いながら光線を放っている怪人の目の前に飛来し、そこで光線を反射するバリアーを張った。

 そして、当然。

 怪人が放っていた光線を反射し、その光線は怪人に命中。

 すると。

 怪人の身体が光を帯び――


「はぁ……やっぱり光線でみんなを怠けさせても意味ないよな……世界中が怠けてくれるわけじゃないしな……」


 と再びやる気のないサラリーマン風の怪人に戻ったのだった。


「なるほど。まあ、確かにそうなるね」


 結果を見て納得するグレンオーだが、続けて、


「でも、何でそのジュエルが使えるって気がついたの?」


 と訊ねる。

 するとストームは人差し指をピンと立てて。


「ほら、だってここでうまく使わないと役立たずな装備が出来ちゃうからね」


 と解説。

 それを聞いて、グレンオーはうんうんと頷きながら、


「そうすると玩具の売り上げ的にまずいってことか」


 と呟く。


「ん? 玩具?」

「え? 違うの?」


 別に玩具のことまでは考えていなかったストームは、グレンオーになんていうのか考えてから、


「先輩、世の中には設定上や玩具の音声では存在するのに、実際には使われなかった必殺技もあるんだ。それを考えれば役立たずの装備だって普通に売るだろう?」


 とオウリュウたちが役立たずのジュエルも玩具にするかどうかについての意見を述べる。

 しかし、グレンオーはそれを聞いて、


「でも、そういうのってあんまり売れない気が……」


 と返す。


「いや、こういうのをゲームなんかで登場させて活躍すると逆に大きなお友達の関心を集めるし……」


 ゲーム版の内容について語るストームに、


「『超魔法少女グレンオー』って子ども向けでしょ?」


 ターゲット年齢層を確認するグレンオー。


「いや、どう考えても大きなお友達向けだよ」


 ストームはグレンオーに対してさらに反論する。

 さて、ここでおそらくなのだが。

 グレンオーが言っているターゲット年齢層とは虹華夢幻郷でのこと。

 ストームのそれは現実世界(われわれのせかい)のことになると思うのだが。

 いかがだろうか?

 なんて。

 グレンオーとストームが怪人そっちのけで喋っていると。

 怪人は、


「あーあ、今日はもうやる気でないから退散するか」


 と呟いて逃げようとし始めた。

 これを聞いたグレンオーはストームに、


「で、あいつどうするの?」


 と訊ねる。

 ストームはこれを受けて、


「先輩、こちらのエネルギーを吸収する敵を倒すときの定番ネタって何だと思う?」


 と返す。

 すると、その瞬間に、


「ああ、あえてエネルギーを……」


 と気がついたグレンオー。

 このあたりは二人とも流石はオタク。

 言えばすぐに解るのである。


「で、そんなことの出来る技っていうのは」

「前回の特訓の成果ってことになるね」

「じゃあ行きますかっ!!」


 そういって、グレンオーとストームはほぼ同時に二人とも自身のバックルに〈チャージジュエル〉を差し込む。

 そして、〈Full Charge!!〉と言う音声が鳴り終わり、全身に魔力が満ちた後。

サラリーマン風の怪人に接近しながら、グレンオーは魔力を右手に、ストームは魔力を左足に、それぞれ一点集中させて――


「これでも――」

「――喰らいたまえ!!」


 と叫びながら怪人に大量の魔力を帯びたパンチとキックを同時に叩き込んだ。

 さて。

 このとき、グレンオーが怪人に対して流した魔力は何かを引き寄せるプラスの魔力。

 ストームのは何かを引き離すマイナスの魔力であった。

 マイナスとプラスなら、普通、引き合ってゼロになりそうなものだが。

 グレンオーは怪人の皮膚や筋肉の細胞に染み込むように魔力を流し。

 一方、ストームのそれは怪人の骨や内臓に染み込むようにしていたのである。

 結果、怪人の体組織のうちプラスの魔力を帯びたものとマイナスの魔力を帯びたものが引き合って――

 怪人は、


「ウゴゥギグワァエアァァァァァァァッーーッ!!」


 というような名状しがたい断末魔をあげてから爆発四散した。

 かなりエグイ気がするが。

見た目は普通に必殺技を喰らって怪人が爆発したのと同じだからまあ、問題ないだろう……多分。


「よし、これにて一件落着」

「虹華夢幻郷は日本晴れ」


 二人は爆発する怪人を背後に急遽思いついたきめ台詞を放つ。

 急遽考えたので、パクリっぽいのと。

 虹華夢幻郷なのに何故か〈日本〉晴れだったりするのだが……まあ、気にしてはいけないのだろう。

 が、現実世界(われわれのせかい)の人が気にするまでもなく。


「ねえ、ストーム。そろそろちゃんときめ台詞やポーズを考えたほうがよくない?」


 と自分たちの台詞に違和感を覚えたグレンオーが、ストームに提案。

 対してストームも、


「そうだな。そうしないとちゃんとは決まらないからな」


 と言ってグレンオーの提案に乗ったのだった。

 そのストームの返答を聞いて、うんうんと頷いたグレンオーは、


「じゃあさ。嵐、今日うちに来ない?」


 とストーム、というより嵐を自分の家に呼んだのだった。

 ちなみに。

〈嵐を呼ぶ魔法少女〉と書くとなんか凄そうだなんて。

 ここを書いていて筆者(わたし)が思ったのは秘密である。

 まあ、それはさておき。

 ストームは少し考えてから、


「うーん。先輩の家の人たちに迷惑がかからないかい?」


 と訊ねる。

 するとグレンオーは即座に、


「大丈夫だって、今、家族全員留守だから」


 と返事をした。


「留守ねぇ……」


 ここでストームは。

 留守だと大丈夫と言うのは僕を家族に紹介したくないと言うことだろうかと心配になったのだが。

 結局、家族が留守のときでも家に呼べるぐらいに僕を信頼していると解釈して、不安を解消したのだった。

 まあ、それはいいだろう。どうでも。

 ともかく、留守だから大丈夫だと知ったストームは、


「じゃあお言葉に甘えて遊びに行かせてもらおうかな?」


 とグレンオーに告げる。


「よぉし、じゃあ決まりね」


 ストームが言葉を言い終わるより速いぐらいの速度でグレンオー、というより変身を解いた桜はそう答えると。


「じゃあ、今から三十分後にうちに着てね。あたしは片付けあるから。よろしく」


 といって、自分たちの世界にある我が家へと帰って行ったのであった。


「三十分ね……って、三十分!?」


 驚くストーム、というより変身を解いた嵐。

 何故驚いたかと言えば、嵐の家から桜の家まで約二十分かかるので、嵐は出かける準備を十分で済ませなければならないからである。


「……まいったね。これは」


 そう独り言を口にすると、嵐もまた自分たちの世界にある自分の家へと帰っていったのであった。


(続く)

さて(その2)では桜の家に嵐が向かうのですが。

彼女の家で二人は一体何をするのか……お楽しみに!!

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