後日談「終われない物語」
さて、急に劇場版になって第六章が終わってしまい……
その次が後日談という扱いなのですが、果たして戦いはどうなったのか!?
後日談「終われない物語」
「……と、いうわけで、めでたしめでたし」
「いや、めでたくないし。というか、あんなラストで読者が納得すると思っているのかね?」
髙高。文芸部部室。
ここに名誉部員かつOGとして遊びに来た桜は、今までの超魔法少女の活動を、小説化して持ってきていた。
のだが、そのラストが全く締まりのないものだったので、嵐はおもわず原稿に「え? これで終わり!?」と書き込み。
それに対して桜は咄嗟に、映画由来のネガティヴハートとリュウオウダークの部分を付け加えたのだった。
ちなみに。
桜が持ってきた、印刷された原稿は、ここまで読者が読んでいたものと、大まかな内容は同じなのだが。
この小説に、桜の知りえない、桜以外の人物の内面などが書いてあることからもわかるように、この小説と桜の書いた小説は別物である。
が、桜が文芸部に持ち込んだ時のラストの部分だけに関して言えば。
この小説でいうところの、オウリュウから事の真実を知らされ、どう対応して良いのか周囲が迷い。
一方のオウリュウもそんな周囲に困惑するという状況。
つまり正直、ヒーローもののラストとしては微妙なラインで終わっていたのである。
「いや、しかし最後アクションシーン書くの面倒になって、いきなり劇場版に持っていこうとするのはどうかと思うんだけど?」
桜が急遽付け加えた内容を読んで、そう指摘する嵐。
だが、それに対して、桜は、
「だって、小説でアクションシーン書いても読み飛ばす読者って結構多いじゃん」
と反論する。
「いや、それは桜先輩の場合だろう? 僕は普通に状況を想像しながら読むんだけど」
桜の反論に納得できない嵐は再び、ラストについて指摘するが。
桜も、
「だったら嵐がアクションシーンを書いてよ。正直、特撮とかアニメ知らない人にまで伝わるような文章で、そういうの、あたしに書けるとは思えないから」
と答える。
「別に私はいいと思いますけどね? 最後までパロディ全開だったってことで」
そう口を出して来たのは、二人のやり取りを横で見ていた魂輝である。
彼女は、この小説の序章でもわかるように、オウリュウが事情を明かした後、戦力が欲しいからという理由で第三の超魔法少女、ガイストとしてスカウトされたのだ。
ちなみに。
彼女が部活を休んでまで怪人を生み出す闇の魔法少女活動にはまっていたのは。
本来、彼女も中二病的価値観が好きなのだが、先輩に嵐がいるため、キャラ被ることがし辛く。
それが闇の魔法少女を演じることで満たされていたからである。
また、ネガティヴハートの見た目が偶然にも特撮怪人を手掛けるデザイナーさんのデザインに似た雰囲気だったのは。
彼女がヒーローも好きだが、それ以上に怪人のデザインが好きなタイプの特撮オタクだったからである。
余談だが、裏話をすると。
この小説を書いている最中、魂輝の行動理由のモチーフは筆者の中で〈痛さは強さ〉な特撮作品に出てきた怪人マニアのイメージだったが。
この小説を公開するまでの間に、クラスメイトの女の子が怪獣作ったりしている作品や。
ヒーローは実は虚構ではないかみたいな作品など。
彼女の行動や思考と関連付けられる作品が多く出たので、ちょっと要素を入れたいとは思ったのだったが。
あまりに最近過ぎて、今回はほとんど入っていないのだった。
いや、こんな感じで後付けでパロディ入れていたせいで、大元の文章を書いた時期にはまだない作品のネタもいくらか……いや、それはいいとして。
話を文芸部部室に戻すと。
桜は魂輝の発言を聞いてからしばらく考えて、
「んまあ、でも、劇場版作ろうかなぁ?」
と、真顔で言っていたのだった。
それに対して嵐も、
「先輩、同人作品の小説の続編が劇場版になるわけないだろう?」
真面目に返す。
が、しかし一方の魂輝は、
「いいんじゃないですかぁ? ほら、劇場って言っても文化祭の劇場ってことで」
などと言ってしまったので。
桜も調子に乗って、
「どうせなら、文芸部OB・OGにも声かけて、大作にしようよ!! ほら、例えば『劇場版☆超魔法少女グレンオー★オウリュウダークと銀凱の魔法少女』みたいな感じで」
と言い出した。
このままだと厄介なことになるとか、そもそも銀凱の魔法少女って自分たちの作品に『宇宙魔法少女 銀凱のメタリオン』のキャラでも登場させるつもりなのか? とか、思った嵐は、
「いや、流石にどうかと思うがね」
と否定的な回答。
が、これに桜は、嵐が「いつも先輩が主役なんてずるい」と思って劇場版を止めているのだ。
そう思い込んだため、
「ごめんごめん、劇場版はトリロジーにして『超魔法少女ストーム』と『超魔法少女ガイスト』もちゃんと作るから」
と、より一層、無茶のある提案をする。
そしてこれに対して――と、まあ。
こんな感じで書くときりがなく、特にオチもないのでので。
ここらで一旦閉めさせてもらうと。
髙高の文芸部、そして超魔法少女のメンバーは。
彼女たちが望む限り、フィナーレでも終わらない物語を元気に進んでいくのだった。
☆ ☆ ☆
――おっと、言い忘れが一つ。
読者は当然気がついているだろうが。
この物語は〈どこまでが作中においてもフィクションか〉という部分に対して。
いくつかの解釈ができる。
さて、では筆者がそれをどう解釈しているかと言えば――とまあ。
それはまた、続編で話題にするとしよう。
……そんなものがあればね。
続編の構想は……あるといえばあるのですが。
まあ、いわゆる「頭の中にはある」状態なので。
人気が出れば書く。みたいな状態です。
現状ではですが。




