第六章「禁断のベルトのゆくえ その3」
最終決戦!! と、いう感じですが。
登場した敵も、それっぽい奴……のようで。
【第六章「禁断のベルトのゆくえ その3」】
さて、虹華夢幻郷の商店街。
その映画館の前に、ネガティヴハートがいた。
目のところにカタカナで「オワリ」という文字が。
そして全身には「おわり」「終」「OWARI」や。
あるいは「END」「FIN」「ENDE」「конец」「FIFIS」などの文字が入っている。
その姿を見てグレンオーは顔にある文字から。
「目の部分にカタカナで文字とか、どこかのヒーローっぽいな」
と思い。
一方のストームは中二病設定を作るため……いや、自身の創作のためによく「ネーミング辞典」で外国語も見ているので。
「なるほど。日本語以外もフランス語やドイツ語、ロシア語にラテン語などなど……でも〈終わり〉を表す文字が全身にデザインされているのか」
と理解した。
とはいえ、まあ。顔にデカデカと日本語で「オワリ」と書いてある以上、外国語は英語ぐらいしかわからないグレンオーでも、この怪人が何かの終了から生まれた怪人だというのはわかる。
ので、
「よし、丁度いいからこいつを今回の話のラストってことにしよう」
と決め、ストームも、
「まあ、そうだな。我らの戦いの終わりを飾るのに相応しい怪人のようだしな」
とその提案に乗った。
だが、この怪人。
文字以外のところを見ると、映画のフィルムのようなデザインになっており。
頭部や肩には映写機のような形があることからもわかるように、映画に関係する怪人で。
その能力も、物語のラストに関係するものなのだが。
グレンオーもストームも、自分たちの解決した闇の魔法少女事件のオチが微妙という状態で出会ったので。
彼が「終わりに関係する怪人」というところだけ注目していて、怪人のデザインから能力を推測するという方には頭が回っていなかったのだ。
そのためこの「見ていた映画の自分好みの展開が、ラストのどんでん返しで微妙な展開になってしまった気持ちから生まれた怪人」に彼女たちは「どうせいつものように雑魚でしょ」と勢いだけで突っ込んでいってしまったのだ。
が、そんな彼女たちに向けて、怪人は突如、腕の先端をカメラ型の銃に変え、
「ふふ、馬鹿め。これでも喰らえ!!」
と、怪光線を放つ。
いくら反射神経が良いグレンオーと、普段から武術で鍛えているストームでも、突然腕が変形して攻撃してきたものは回避できない。
……いや、普段の彼女たちの、特撮やアニメに影響された価値観ならば。
「腕から光線とかエネルギー弾とか放つなんてよくあるじゃん」という発想から、腕を伸ばしてきた段階で察して、回避できたのかもしれないが。
今は、先に言ったように、微妙なテンションの憂さ晴らしをしたいという事で、頭がいっぱいだったので、そういう方の頭の回転が鈍かったのである。
つまり、
「ちょ、これもしかして……」
「まさか、こんなところでピンチとか、ぶっちゃけありえない……」
というように二人の危機という事になるのだった。
ちなみに。
いきなり光線を撃たれているはずなのに、台詞喋る余裕があることに関しては。
漫画などでは数秒しか経っていないと示されているシーンで、舌を噛みそうなぐらいに長い台詞をしゃべるキャラクターとかもいるので。
まあ、今回のこれも文章上の表現と思って、気にしないでいただきたい。
で、話を戻すとそういうわけで。
グレンオーとストームは、敵の特殊能力である〈大どんでん返し光線〉をもろに受けてしまったのだった。
「ハーッハッハッハッ!! これで貴様らは、自分たちがイメージしたラストとは違う終わり方しかできないのだ!! つまり俺に勝とう考えたお前らは俺に勝てない!!」
光線を受けたグレンオーとストームに、怪人は勝ち誇りながらそう説明する。
そう、この怪人の能力。
それは通常ならば超強力なもの。
何故ならばで、相手が光線を受けた際に抱いていた、ラストの展開を捻じ曲げるというこの能力を、彼に対して勝利というイメージを持って戦いを挑んだ戦士が浴びれば、当然彼らに待っているのは敗北の未来になってしまうからだ。
つまり、この能力は相手の持っている勝利のイマジネーションが高ければ高いほど、効果があるわけで。
グレンオー達のように、敵に対して勝つことが当たり前になっているような奴ならば、普通ならば、受けた段階で致命的なのだ。
……そう、通常ならば。
「ウワアァァァァァァァ!!」
突如、街に響きわたる叫び声。
だが、この声は敗北を決定されたグレンオーのものでもストームのものでもなく。
また、彼らが敗北すると知って、絶望した人々のものでもない。
叫び声の主。
それは……オウリュウだった。
☆ ☆ ☆
驚いた二人がオウリュウの声のした方を見る。
するとそこには、意識を失ったオウリュウと。
オウリュウをヒト型にし、悪役面にしたような、メカドラゴン怪人がいたのだった。
「貴様!? 何者だ!?」
突如、謎の怪人、おそらくはネガティヴハートですらない奴が現れた事に驚いたグレンオーはどちらかと言えば悪役っぽい言い方で、謎の怪人の正体を問う。
すると謎の怪人は「クックックッ……」と笑い、いかにもダークな悪役がやりそうな、自身の顔の前に手をかざし、指の間から相手を覗くポーズをしながら、
「俺か? 俺はリュウオウダーク……オウリュウを操って、魔法少女のベルトを悪に売りさばき、虹華夢幻郷の秩序と平和を乱そうとした、真の黒幕だァ!!」
と、案外素直に答えた。
「…………え? え? 何、この超展開!?」
これに、話の流れが理解できないグレンオーは、予想外の黒幕登場にますます動揺。
一方のストームも、内心では「そんな馬鹿な!? 無茶苦茶な展開すぎる」と思いつつも、
「さっきまでオウリュウが言っていた説明は、貴様に操られたために言っていた偽りの記憶だったのか!?」
と、超魔法少女の頭脳担当らしく現状で与えられた情報からの推測を自称黒幕の怪人に投げかける。
すると、その質問に対して自称黒幕怪人は、
「その通り、俺が全てを計画していたのだ……魂輝のやつの心の闇につけ込み、ベルトを渡し、計画を指示したのも全て俺の仕業よぉ」
などと、隠す様子もなく、堂々と余裕たっぷりに返した。
「いやいや、ありえないでしょ!?」
「というか、そんな複線どこにあった!?」
謎の怪人リュウオーウダークの答えに、驚く二人。
だったが一方、
倒れたオウリュウの傍に駆け寄っていたフーコーはそれを聞いて、
「はて? 共有しているデータなどからしたら、オウリュウが魂輝殿にそのような指示をする余裕などなかったはずだが……?」
と首を傾げた。
勿論、そのデータをリュウオウダークが改ざんしていたり、更にはグレンオーやストーム、フーコーの記憶さえ操作している可能性もあるが。
それで騙せるのは物語中の人物だけ。
ここまで読んでいた読者を、しかも地の文が三人称視点なのに騙せるわけがないのである。
というか、それをやったら流石に筆者が非難されてしまうであろう。
つまり……そう。
察しのいい読者は気が付いているだろうが。
先のネガティヴハートが〈大どんでん返し光線〉を放った際に。
グレンオーとストームが〈物語のラスト〉として考えていたのは、あくまで「闇の魔法少女のベルトを取り返す」という、言うならばこの、読者が読んでいる小説としてのラスト。
つまり、今回現れた映画関連のネガティヴハートを倒すというのはあくまでおまけ要素で、ラストではないのである。
イメージとしては「〈映画のラスト〉の展開と言われた際に、スタッフロール後にちょっと流れる部分の展開を答える人は少ない」というようなことである。
もちろん、発想としてはまだ見つかっていない二つのベルトの部分を終わらせたのがラストともいえるが。
こちらに関しては、二人とも「あくまで続編」といった扱いで考えているので「シリーズのラスト」ならともかく、今回のラストとしては考えていなかったのだ。
ので、結果として。
実はオウリュウのうっかりミスで事件が起きたというのが明かされたという、なさけないラストが。
オウリュウに黒幕が憑りついていて、そいつのせいだったという、それなりにラスボスらしい奴が登場するラストに変更されたのだ。
とはいえ、既に起きてしまった事実は、流石の〈大どんでん返し光線〉でも変更できないので。
結果、ありもしないラスボスとして黒幕風怪人が生み出されたというわけである。
まあ、そんな事情はともかく。話を戻すと。
意外な展開に驚いていた二人だったが。
筆者が読者に状況を説明している間に気持ちが切り替わっており、
「よっしゃあ! これで最後の戦いっぽい雰囲気だ!!」
「フッ……邪悪に憑依された仲間を救う……悪くない」
とリュウオウダークとの戦いにやる気を出していた。
この気持ちの切り替えの早さ。
魔力というのを精神エネルギーと考えると。
状況を自分たちに有利な意味に解釈し、すぐにポジティブ思考になるあたり。
超とはいえ、やはり魔法少女というところである。
対して、リュウオウダークも、
「フハハハハ!! よいぞ!! 来い!! さあ、最後の決闘だァ!!」
とやる気である。
彼の場合、最後を盛り上げる悪役として誕生したので、最初からそれらしい思考なのだ。
で、ちなみに。
「え? ちょっと待て、俺、俺の出番は!?」
と、状況に全くついていけなくなっていたネガティヴハートは、オウリュウダークに、
「フン! 雑魚など不要!!」
と、エネルギー弾を軽くたたきこまれて、
「お、俺のラストはやっぱり悲惨だーーッ!!」
という断末魔を上げて、爆発四散した。
まあ、こうして。
超魔法少女二人対、オウリュウダークの激しいバトルが始まった
……のだが。
この続きは劇場で! という事で。
☆ ☆ ☆
まあ、そんなもの、当然制作されるはずがない事もあって。
どこぞの作品以上に「続きは劇場とは問題だ」と非難されるかもしれないけど!!
誰か映像版とか作りません?
……いや、それは流石に無理でもせめて漫画版とか……駄目?




